東京ローカル・ホンクの木下弦二さんから初めて電話をもらったのは もう二年ほどまえの夏だったろうか その時にどういう会話をしたのかは忘れてしまったが 僕たちのバンドを知って欲しい 聞いてみて欲しいという彼の気持ちだけはまっすぐに伝わってきた これも何かの縁(えにし)かと思いその後の僕は彼らのライヴに幾度となく足を運び またこれからも もっとライヴに行ってみようという思いは募るばかりだ 東京ローカル・ホンクの良さをどう表現すればいいのかはよく解らないのだが 今日もまた僕と同じように東京の空を眺め 同じような街並を歩き 戸惑いながらも呼吸をしていることは間違いなかった そんな風に自分の側にいるという親しみを持てるバンドに出会ったことに奇跡にも近いような感慨を抱いた まるで広告代理店が書いたような気取った歌詞や 見せかけのポーズや虚勢 あるいは英雄的な態度に終始しがちな日本の音楽シーンのなかで 彼らはいつもの商店街を行き交う人々を観察し 各駅停車の窓から流れる雲を追いかけたりしていた 彼らの織りなすサウンドスケープもまた大向こうを張るのではなく 微妙な感情や陰影そして日向の匂いをデリケートに運び込んできた ときには伊豆半島まで遠出したり草の燃える匂いを嗅ぎながら 結論を急がない心のありようみたいなものは形になりにくい でも僕は東京ローカル・ホンクの答えとか結論を求めない音楽のあり方に惹かれ続けている そうまるで池に投げられた小石のように (小尾隆 2009年6月23日:記)

2010/8/26

8月26日  文学

宮部みゆき『小暮写眞館』(講談社 2010年)を読了
全700ページの大作で 読み終えるまでにおよそひと月
かかってしまったけれども 圧倒的に素晴らしかった
今年37册めの読書であり たぶん今年のベスト


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主人公の英一が高校一年から三年までに経験する出来事
を追うクロニクルであり 彼の視界に出入りする様々な
人々の物語でもあろう それらが重層的に折り重なり合
っていく 物語はけっしてドラマのように動いていくわ
けではないが 登場人物たちが奥に秘めているものは複
雑だ それらを宮部みゆきは力強く ユーモアを交えな
がら束ねていく そう、これは動かないけれども濃密な
”普通の人々”の物語だ

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自分を他者との関係性のなかで捉えようとする態度は
袋小路から人を連れ出してゆくけれども この小説でも
それは例外ではない
英一にとっては 年上のやや風変わりな女である恒本
順子との交信も この物語の核となり どこまでも視界
を押し広げ 生と死のことを暗黙のうちに浮かび上がら
せていく

美しい

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2010/9/10  0:36

投稿者:coba

ひさしぶりにお邪魔させていただきました。
『小暮写眞館』カバーのレトロ列車は、
わが故郷のローカル線・小湊鉄道ですね。
宮部みゆきさんの人の描き方、すきです・・・
あと、森絵都さんの「カラフル」アニメ化しましたね。
小尾さんのことをふと、思い出しました。。
それでは、また今度...☆

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