東京ローカル・ホンクの木下弦二さんから初めて電話をもらったのは もう二年ほどまえの夏だったろうか その時にどういう会話をしたのかは忘れてしまったが 僕たちのバンドを知って欲しい 聞いてみて欲しいという彼の気持ちだけはまっすぐに伝わってきた これも何かの縁(えにし)かと思いその後の僕は彼らのライヴに幾度となく足を運び またこれからも もっとライヴに行ってみようという思いは募るばかりだ 東京ローカル・ホンクの良さをどう表現すればいいのかはよく解らないのだが 今日もまた僕と同じように東京の空を眺め 同じような街並を歩き 戸惑いながらも呼吸をしていることは間違いなかった そんな風に自分の側にいるという親しみを持てるバンドに出会ったことに奇跡にも近いような感慨を抱いた まるで広告代理店が書いたような気取った歌詞や 見せかけのポーズや虚勢 あるいは英雄的な態度に終始しがちな日本の音楽シーンのなかで 彼らはいつもの商店街を行き交う人々を観察し 各駅停車の窓から流れる雲を追いかけたりしていた 彼らの織りなすサウンドスケープもまた大向こうを張るのではなく 微妙な感情や陰影そして日向の匂いをデリケートに運び込んできた ときには伊豆半島まで遠出したり草の燃える匂いを嗅ぎながら 結論を急がない心のありようみたいなものは形になりにくい でも僕は東京ローカル・ホンクの答えとか結論を求めない音楽のあり方に惹かれ続けている そうまるで池に投げられた小石のように (小尾隆 2009年6月23日:記)

2010/9/4

9月3日〜着実に駒を進める東京ローカル・ホンク  Rock N Roll

渋谷のB.Y.Gにて 東京ローカル ホンクのライヴを見た
ぼくにとっては6月18日の横浜サムズアップ以来 少しだけ
久しぶりという感じだが この日もまたバンド アンサンブル
の妙味 オーガニックなグルーヴをたっぷりと堪能した

四人が鳴らしていく音は 緊密に結びつき 補完し合いながら
音色にまで常に配慮しながら 鮮やかな風景を描き出していく
リズムは「引っ越し娘」のハバネーラから新曲「はじまりの
歌」のメンフィス(ハイ)サウンドまでの音楽幅を伝えるが 
こうしたボトムに日本語の綺麗な響きを溶け合わせていくこ
とに関して もはやホンクは独自の領域に達しているようだ

BYGならではの音響/ミックス技も「昼休み」でのワン ド
ロップのダブ処理に象徴されるように冴えまくる それは
トップシンバルの残響までに神経が行き届いたサウンドスケ
−プだ そこに説明的ではない歌詞が見事に合致しながら
すくっと全部を見渡してゆく


第二部では ホンクのメンバーたちが二階の客席から登場し
アカペラで「伊豆半島」と「生きものについて」を歌う
という特別な場面もあった マイクなしで地鳴りのように
展開するコーラスワークにも このバンドの音楽的素養の
片鱗が

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後半の「ハイウェイソング」や「車のうた」などでは
ややリズムがアッパーに走る展開もあったが
そんな部分さえこのバンドが生きている証拠(スタジオマンに
は出せない奔放なノリ)なのだと信じさせる そう、音楽は
生きものであるという確信をかえって運び込んでいくのだ
一見何の屈託もない歌詞が音楽によって膨らみを増すといっ
た構造も まさにホンクならでは

音楽が終わってから音楽が再び鳴り出す
そう感じさせるライヴアクトはそれほど多く体験出来るもので
はないが 現在のホンクはどうやらそんなミラクルな領域にま
で 確実に駒を進めているようだ

本日のアンコールに選ばれたラストは「おいのりのうた」
木下弦二のなかにあるもっとも素直な部分が溢れ出していった

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田中クニオが使うスティック、ブラシ、そしてマレット
彼が叩き出すドラムスは木下の歌にとって生命線だ
10代の頃に知り合ったというが
かつては箸の置き方ひとつ取っても喧嘩になったとか


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10月からは友部正人との全国ツアーも始まるホンク
友部がホンクの音を欲しがったという気持ちは
花にとっての雨であり
ディランにとってのザ バンドなのかもしれない

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ライヴ終了後の打ち上げにて
西早稲田にあったロック喫茶Jerry Jeffのママと語り合う筆者
初めて店を訪ねてから いつの間にか長い歳月が過ぎていった
(撮影協力:uta氏)

当日のセットリストです

http://d.hatena.ne.jp/QRR/20100903






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