最近よく行く食堂のメニューの中で、僕を悩ませるものがある。
豚汁。
これって本当はどう読むのが正しいのだろう。
いつもは「とんじる」と言っているのだが、食堂のメニュー書かれているのは「ぶたじる」である。
ぶたじる…。
なんだか武骨だ。
作る過程を想像してしまう。それは生きた豚を大きな鍋の上で逆さまに吊し、絞るという絵である。そんな生々しさが「ぶたじる」という響きにはある。発音するのが恥ずかしい。
それに比べて「とんじる」というのはスマートだ。きちんとした手順を踏み、衛生面にも気を付けて調理した感じがする。
「とん」という音もいい。軽やかだし、「ぶた」よりもはるかに爽やかだ。
なので個人的にはぜひとも「とんじる」でお願いしたいのだが、その食堂におけるオフィシャルな通り名は「ぶたじる」なのである。だから恥を忍んで小声でぽそっと注文している。
一度、とんじるでも行けるのではと思い、大声で「とんじる下さい」と言ってみた。
清々しさに、思わず胸を張ってしまった。
けれども店員は「ぶたじるですね」と返してきた。
い…言い直しよった…。
そう来たか。
これには少なからず傷付いた。やはりこの食堂では「ぶた」なのか。
以来、注文が億劫になっている。
*
そんな僕の悩みを知って、友人が某オンライン百科事典で調べてくれたところ、以下の事が判明した。
豚汁は、主に東日本では「とんじる」、西日本と北海道では「ぶたじる」と呼ぶ地域が多いらしい。僕は今まで東日本スタイルで発音していたわけか。
しかし、今は西日本に住んでいるのでスタイルもそれ相応に変えるべきかもしれない。
郷に入れば郷に従え、かな。

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