東京ローカル・ホンクの木下弦二さんから初めて電話をもらったのは もう二年ほどまえの夏だったろうか その時にどういう会話をしたのかは忘れてしまったが 僕たちのバンドを知って欲しい 聞いてみて欲しいという彼の気持ちだけはまっすぐに伝わってきた これも何かの縁(えにし)かと思いその後の僕は彼らのライヴに幾度となく足を運び またこれからも もっとライヴに行ってみようという思いは募るばかりだ 東京ローカル・ホンクの良さをどう表現すればいいのかはよく解らないのだが 今日もまた僕と同じように東京の空を眺め 同じような街並を歩き 戸惑いながらも呼吸をしていることは間違いなかった そんな風に自分の側にいるという親しみを持てるバンドに出会ったことに奇跡にも近いような感慨を抱いた まるで広告代理店が書いたような気取った歌詞や 見せかけのポーズや虚勢 あるいは英雄的な態度に終始しがちな日本の音楽シーンのなかで 彼らはいつもの商店街を行き交う人々を観察し 各駅停車の窓から流れる雲を追いかけたりしていた 彼らの織りなすサウンドスケープもまた大向こうを張るのではなく 微妙な感情や陰影そして日向の匂いをデリケートに運び込んできた ときには伊豆半島まで遠出したり草の燃える匂いを嗅ぎながら 結論を急がない心のありようみたいなものは形になりにくい でも僕は東京ローカル・ホンクの答えとか結論を求めない音楽のあり方に惹かれ続けている そうまるで池に投げられた小石のように (小尾隆 2009年6月23日:記)

2009/2/26

2月26日  文学

昨日から読み始めたのが 天童荒太『悼む人』
著者が作品に向かうまでの動機や過程などは
下記ページに書かれている

http://bunshun.jp/itamuhito/index.html



2009/2/22

2/21プレイリスト@高円寺  

1 spencer davis group/ blues in F
2 joe jackson/ jumpin with symphony sid
3 brian setzer orch. / lets live it up
4 dave edmunds & stray cats /the race is on
5 dave edmunds/ warmed over kisses( left over love)
6 elvis presley / i got stung
7 willie bobo /its not unusual
8 archie bell& the drells /there gonna be a showdown
9 同/ tighten up prt.1
10. the marvelettes/ too many fish in the sea
11. martha & the vandellas/ dancing in the street
12. wilbert harrison / lets stick tigether

モータ−ヘッドからDEに行ったラモーンズ好きの女子が二つ前
チャック ベリー度数で勝負した山内氏が一つ前
ならば 私は以上なりと 実に美しく 感動的な流れとなった

いつもながら 隅田監督に感謝する
サンクス










2009/2/19

俯き加減のストラトキャスター  

「ギターリフに著作権はないからなあ」と言ったのは
キース リチャーズだっただろうか
彼がどんな文脈でそう発言したのかは解らないけれ
ども 作詞や作曲に発生する保護権利に比べれば
演奏するという行為は 遥かに一回性が強いし
たとえどんなに優れたプレイを行ったとしても
現実面での実入りは  ずっと少ない

演奏家の弱さや危うさを すぐそこに結び
付けるのは いささかの問題があるにしても
僕だって 仕事がうまく行かないときはお酒に
逃げるし ”自分” という厄介な迷宮を彷徨う
こともしばしばだ

どうして人はそんなに善悪を決めつけるのだろう
どうして人は勝手に白黒を付けるのだろう

そのギタリストの俯き加減の表情が
僕は今も大好きだ










2009/2/16

2月16日  

イスラエルの文学賞であるエルサレム賞を
受賞した村上春樹氏が同賞に出席したことに
対してはさまざまな意見があろうが
村上氏は「私は沈黙するためではなく ここで
意見を言うことを選択した」と受賞および出席
の理由を述べた上で イスラエルのパレスチナ
攻撃を以下のように批判した

*    *     *

「高い壁に挟まれ 壁にぶつかって壊れる卵を
思い浮かべた時 どんなに壁が正しく どんな
に卵が間違っていたとしても 私は卵の側に立つ
壁は私たちを守ってくれると思われがちだが
私たちを殺し また他人を冷淡に効率よく殺す
理由にもなる」

*    *     *

個人というものが わかりやすくもっともらし
い全体へと取り込まれていくことを思う時
村上氏が用いたこのメタファーは 表現者
らしく また有効なものであると私は考える


2009/2/15

2月14日  

上記リード文で紹介したポール ウィリアムスのよう
に 自分の感性で受け止めたことをそのまま文章化し
ていくような論評が育ちにくいことは 不幸なこと
だった

ウィリアムスの別書『ニューヨーク ブルース』の
訳者が あとがきでいみじくも書いているように
ロック博士というか周辺の豆知識的なことばかりに長
け 音楽や歌の核心を突くような評論は 
残念ながら 日本では稀なのである
近年で言えば『ロック検定』なる本がそうした偏向を
象徴するのではないだろうか

そんな意味では現状に絶望しています


*多くの批評家や研究者が歴史的認識や史実の
確証に汲々としているなか ウィリアムスは最初
に音楽を聞いた時の感動へと立ち返らんと常に思
っているようだ



2009/2/13

2月13日  

「音楽が聞こえてくる小説というテーマでミニ特集を
しませんか」と塚本ヒロユキさんからメールを頂い
たのは 今年に入ってまもなくのことだった

音楽とはそれ自体が独立したものではなく 聞き手
によって育っていくもの(日々の営為から時代まで)
だと考える僕にとって それは嬉しいお誘いであり
その瞬間に僕は 書く本をオブライエンにしようと
決めていた

塚本さん、大城譲司さん、そして僕の三人が選んだ
書物は 作家も 描かれた時代も そして聞こえて
くる音楽も異なるものの 音楽の周りに人々がいて
彼らの物語が語られ 大きくいえば時代といったもの
があぶり出されていくといった意味では 共通する

音楽と言語との関係性については塚本さんによる序文
が簡潔に言い含めていると思うが いずれにしても
人という営為のなかに 言葉があり音楽があるという
僕の見方にも重なるものだ

よろしかったら 読んでみてください

http://bookjapan.jp/search/feature_detail.html?id=F28





2009/2/12

2月11日  文学

横山秀夫『クライマーズ ハイ』を半分ほど読む

85年の日航機御巣鷹山事故を地方紙記者の立場から
追ったもので マスコミの魑魅魍魎とした世界も
自らの体験から 生々しく描かれている

なお御巣鷹山事故に関しては 吉岡忍『墜落の夏』や
山崎豊子『沈まぬ太陽』が もはや古典だろう

2009/2/10

2月10日  

7日に続いてコスモポリタン カウボーイズのライブ
を 今回は沼袋の美容室ROMEにて またまた

場所柄 音量面での物足りなさは残ったものの
どんな場所でも演奏出来るのがコズモズの強み
編成自体も本日は4人&ゲストのハーモニカ奏者
と やや小編成ながらも
その分 一音一音の丁寧なプレイが良かった

いずれにしても
手垢に塗れているかもしれないカントリー曲(註1)
に自分の歌詞をぶつけていく、生命を投げかけてい
く ハル宮沢に 僕は共感する

そのような洋楽受容から
その人の音楽が始まる
そのような温故知新から
彼の歌が広がっていく

酒量:ビール 3

註1「手垢に塗れているかもしれないカントリー曲」

ちなみに本日のコズモズは ハンク ウィリアムズ
の「アイ ソウ ザ ライト」と「泣きたいほどの
寂しさだ」あるいはクリーデンスの「ローダイ」な
どを選曲していたが それらに乗せていく日本語の
リズムなどに 自然な感情を僕は覚えた


2009/2/9

2月8日  

東京ローカル ホンクのライヴを東小金井の海風で
およそ半年ぶりに味わった

昨日のコスモもそうであるように
この人たちは自分の側にいる
この人たちは自分と同じような景色を見ている
そんな風に思えるバンドと出会えること
一緒に杯を重ねることが出来ることは
僕にとって かけがいのないことだ

彼らの強さは僕の強さにもつながっていて
彼らの弱さ(註1)もまた 僕自身のものだろう

ホンク、 どうもありがとう


酒量 : ビール2 泡盛2

註1「弱さ」

自分たちの音楽に対する 控えめで 
押しつけがましくない態度と言ってもいい
強いことが必ずしも長所を言い当てるわけではないし
弱いことがそのまま短所に結びつくわけでもない
人の機微とは そんな風に出来ているのかもしれない





2009/2/8

2月7日(昼の部)  文学

近頃はもの思いに沈むことも多いので
読書といっても途中で文面とは別のことを考えていたり
また文面に於いても引っ掛かる部分を反芻したりと
とかく集中力に欠けてしまうのだが
小川洋子の新刊『猫を抱いて象と泳ぐ』を読了
いつもながら静謐な世界を味わった

例えば人間以外は生き物ではないという見方をする人と
猫や象も同じように生きているという見方をする人とで
は おのずから世界の成り立ちが違ってみえると思う
小川さんがどちらの種類(註1)に属するのかは
自明であるにしても
声のないもの 沈黙するものにこれだけ心血を注ぐ作家
というのも珍しい

「おじいちゃんが無口なのは 死んだ人と話しているから
なんだ」といった感じ方にも
小川洋子の人となりが 端的に言い表されていると思う



註1 「どちらの種類」
より正確には 常日頃から絶えずそういう感じ方をして
いるか 身に処しているかどうかの違いだろう



2009/2/8

2月7日  

コスモポリタン カウボーイズのライヴを池袋の
フリーフロウ ランチで楽しんだ
彼らのファースト アルバムのライナーを書かせて
いただいた縁もあって その付き合いも3年くらい
になるが カウパンクとでもいうべきハル宮沢の奔放
な個性に いつも圧倒される
少なくともカントリーという音楽の輪郭をなぞるような
演奏ではないだろう

知らない方に一応説明しておくと
ハル宮沢は渋さ知らズの創始時のメンバーであり
札幌で音楽を始めた頃は パンク バンドを組んで
いた

酒量:ビール3 ワイン 7




2009/2/7

2月6日  文学

森絵都の新刊『架空の球を追う』を読了
前作『ラン』が渾身の長編だったから
今回の短編集は 時期的にもちょうどいい

恐らくイスラエル・パレスチナ問題を背景とした
「太陽のうた」が 僕はとくに好きになった

 *          *

神は時として善よりも悪を施しになる
人間が竹を裂くように人間の絆を裂き
人間が布を裁つように人間の愛を断ち
人間が作物を刈るように人間の幸福を刈りとり
人間が井戸を掘るように憎しみの歴史を掘り起こす
だからってそれがなんだろう
明日にはまた東から太陽が昇り
この荒れ果てた大地を照らすよ
この罪深き世界をとこしえに照らすよ

「太陽のうた」より




2009/2/3

水曜の朝、午前三時  文学

http://bookjapan.jp/search/review/200902/obi_takashi_01/review.html

2009/2/1

1月31日  

渋谷の li-poで天辰保文さんのトークイベントに参加
今回は御本人も実際に体験された「ラスト ワルツ」
に関する話だ

その時には解らなかったことが後から次第に意味を
帯びてくる 確かそんなようなことを淡々と話され
ていたのが印象に残った
いたずらにロック伝説に付加するような言説はそこ
らに溢れているが そうではないところで言葉を生
み出していくことこそ 重要なのだと思う

指摘されていたことだが マーティ スコセッシ
とビル グレアム(註1)との間で起こった”ライヴ” 
をめぐっての見解の相違も いかにもという感じだ
グレアムにもっと発言権があれば
「ラスト ワルツ」は恐らくまったく異なる映画
になっていただろう

そんなこと(註2)も含めて妙に感じ入ってしまった



註1 ビル グレアム
60年代からフィルモア オーディリアムを運営する
などロック文化に大きく貢献したプロモーター
またマイルス ディヴィスやアリーサ フランクリン
など異なるジャンルのブッキングにも尽力した
「聴衆とともにある」が彼の信条だった
その軌跡は『ロックを創った男』(大栄出版)に
詳しい

註2 そんなこと
「優れた映画ではあるが やり過ぎだ」という
のが『ラスト ワルツ』に対する小尾の感想
過去「神棚に祭り上げられたラスト ワルツ伝説
から抜け出して 再編ザ バンドは堂々と町に降
りてきた」といった旨の原稿を書いたこともある


酒量:ビール2 焼酎1












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