
<MGB BDSeh 4/8>
先にも書きましたが、ツェルマットは内燃機関付道路車両の進入が制限されています。とは言え、自動車でツェルマットへ向かう人もたくさんいるワケで、そういう人は峠を1つ越えた手前の駅、ティーシュ[Täsch]で車を乗り捨て、上掲写真のシャトル列車を利用することになります。ティーシュの大きな駐車場は
衛星写真でも確認できます。
形式名中の“S”は見慣れないものですが、これはサロンカーの意です。“4/8”という軸配置表記(動軸4、全車軸8)も妙ですが、これは、3車体連接だからです。前後の運転台付車体の運転台下台車が電動台車で、無動力台車2つで挟まれたパノラマ窓付の車両がサロンカー、というワケです。写真の編成は、これが2ユニットつながった状態。
で、別にこれが表題の“妙なヤツ”ではありません(これはこれで妙ですが)。
上写真は、ツェルマットの宿を引き払ってブリーク[Brig]へ向かう列車の車中から後方を振り返って撮影したものです。HGe 4/4IIが後ろから押しているのがわかりますね。で、よく見ると、機関車のさらに後ろにもう1両客車が連結されています。
この列車はやたらと混んでいたので(座れない、なんてことはないですが)それを事前に予測したであろうMGBがつないだ増結車です。まぁ、これもスイスではよく見る光景なので“妙なヤツ”ではありません。
妙、だったのは、この列車の車掌です。
「これから、どこ行くの〜?」
あまりに唐突だったので咄嗟に言葉が切り替わらず、英語で応答してしまったんですが、検札に来た車掌さんから日本語で話しかけられました。正確に記憶してないんですが、We're going to Grindelwaldみたいに応えたような気がします。それに対する彼の応答は、
「ブリークで乗り換えてね〜」
実は、ツェルマットの駅構内では「次のブリーク行きの列車は5番ホームから出発します」みたいな日本語アナウンスが流れています。それくらい、日本からの観光客が多いんですね。この車掌さんも、それを受けて片言の日本語をお使いになるようです。それにしても、とりあえず敬語は使おうよ、と。っつーか、誰よ、彼に日本語教えたの?
それ以前に。
ツェルマットから北へ向かうMGBの列車は、前述のティーシュ行のシャトル便を除けば全部ブリーク行で、そこで乗り換えないことにはどこにも行けませんから、
「ブリークで乗り換えてね」は、ほとんどすべての乗客に該当する、まったく意味のない案内です。
今思えば、この時点で「他にどないせぃっちゅーんねん!」とか突っ込むべきだったんじゃないか、あるいは彼の日本語はそれを期待しての確信犯だったんじゃないか、と妙なことを考えてしまうワケですが。。
でも、こっちがちゃんと言っていることを理解していることが伝わったときの彼は、やたらと得意満面で楽しそうだったので、ボクらも思わず楽しくなってしまいました。職業柄、とはいえ、せっかく歩み寄ってきてくれているワケですから、次回以降は、こういう咄嗟のときに日本語の突っ込みで切り返せるようにしとこう、と思います。一番妙なのはボクですか、そうですか
以下、オマケ。

<ツェルマットの街から見た、朝日を浴びるマッターホルン>