「Developing Town/MOTOKI氏 & H島ニュータウン/Ytig氏」
霊魂補完計画
以下はI.MAGiCレイアウトコンテスト2007参加作品のレビューです。作品は結果発表のページからダウンロード可能です。
努力賞の2作。

<Developing Town by MOTOKI氏>

<H島ニュータウン by Ytig氏>
作風は異なるものの、いずれもVRM4の基本テクニックをしっかり押さえた上で、スクリプトによる各種ギミックも組み込まれた意欲作。
「Developing Town」は、
十衛門氏の「山麓温泉」同様にリアル鉄道模型準拠の作風で、俄かに真似がたい突飛なところがなく、それでいてそつなく仕上がっているという意味において、初心者から一歩抜け出したいとお考えのVRMビギナー諸兄には、是非参考にしていただきたい作品である。
駅前の工事の雰囲気や、下掲スクリーンショットの鉄橋を中心とした立体的な造形は、MOTOKI氏の地力の存在を予感させる見事な仕上がりだ。しかしながら、レイアウト中央の、見るからに「処理に困ったので水田にしてみました」的な空間や、規則的に過ぎる建物配置が、全体としての印象に冴えを失わせている。
対して「H島ニュータウン」は、スクリプトギミックとしては難度の高い“折り返し/機回し”まで組み込んだ労作である。加減速や信号制御に不自然さがあるものの、コーディング力はVRMユーザー全体の平均を大きく上回っていることは疑いない。
一方で、おそらく作った本人であるYtig氏からすれば「やった、ここで思った通りのことが起こった!」と面白いのだろうが、見る側からすると、それぞれのギミックがあまりに唐突で「何が起こっているんだ?」という不安感を覚えてしまう。
両作品に共通して欠けているものは「まったく作品について前提知識を持たない第三者の視点」に尽きる。言い換えると、これらのレイアウトには、そのレイアウトにゲストとして訪れる鑑賞者に対する「もてなしの心」がない。
もっとも、本質的にVRMを含む鉄道模型レイアウトは個人的な趣味なのだから、常にそのような観点に立脚せねばならないという法はない。されど、レイアウトコンテストである以上、作品は必ず衆目に晒されるのであって、その衆目をして何をどう見るべきか、楽しむべきか、が一見してわからない作品、というのは、どうしても、それを意識した作品、すなわち「ゲストに対するもてなしの心」がこもった作品に遅れを取ってしまう点は否めない。
既に十二分なVRMスキルをお持ちのご両所だけに、次年度はそこらへんを意識してリベンジを図っていただきたい。本年の
45-50s氏の手になる大賞作は、まさにそこを究めた作品なのであって、無論そこへ至る道程は決して短くはないが、隔てる壁は実は紙一重なのである。