“ヒント”というと、まるでボク=ghostが予め“あるべき答え”を知っているような印象があるかも知れないが、もちろん、ボク自身もこれからどうなるかが皆目わからないので、とりあえず自分の考えをまとめるために本稿を書いているのだ、と理解して欲しい。そして、読者諸兄と共に“何か”を改めて作っていきたいと思っている。
この時代については、ネット上に残っている資料が少なく、ボク自身がリアルタイムに経験していないので、やや予断が含まれることは否めない。一家言ある方には、コメント欄等で補足をお願いしたい。
総じて言えることは、当時存在したVRMを扱うWebの多くは、いわゆる“鉄道ホームページ”であり、VRMについて書かれたコンテンツはその部分でしかなかった点である。これは、それぞれのホームページ作者が想定していた読み手が、広い意味での鉄道ファンであり、そういった人たちに「VRMを紹介すること」が書き手の目的であったことを意味している。
一方で、いささかチグハグではあるが、当時のコンテンツの主力は、第一にレイアウトファイル・編成ファイルの配布であり、続いてテクニックの紹介、僅かにスクリーンショット、という按配であった。これは、前述した(本人が意識していたか否かはともかくの)目的と、その実現の手段が噛み合っていなかった、と評さざるを得ない。この矛盾への問題意識が、続く時代のネットVRMユーザーの在り方の伏線になった、とボクは考えている。
この頃から、VRMを専門に扱うWebが増えてくる。コンテンツの主力はスクリーンショット、動画といった視覚に訴えるものが目立つようになった。これは、時期的にはVRM3パッケージの拡充とシンクロしている。
ネットVRM界隈、ネットVRMユーザーという語法が生まれるキッカケともつながるが、ネット上にコンテンツを公開するVRMユーザーと、そうではなく個人的にVRMを楽しんでいるユーザーとの間に、質的な隔絶が生まれたのもこの時代の特徴と言える。今では当たり前になった無理矢理ストラクチャ・地形テクスチャを使った建物表現・スクリーンショット加工、といったテクニックの萌芽はこの時期に集中している。
逆に、当時のネットVRMユーザーは現在ほどコミュニケーションすることには関心がなかった。厳密に言えば、自ら誰かに声をかけることは少なく、誰かに声をかけられるのを皆が皆待っていた、と評すべきかも知れない。お互いに、公開したテクニックを参考にし合い高め合っていたことは事実だが、それに言及・批評したり、リンクによってコンテンツの読み手に参照手段を提供するということは皆無に近かった。突き詰めれば、この時代のネットVRM界隈は、良くも悪くも読み手を無視した、それでいて濃厚な情報発信を続けているアンバランスな状態であったと言えるだろう。
いわゆるブログがネットVRM界隈に普及し始めたのがこの時期であり、以降新規参入したネットVRMユーザーの多くは、いわゆるホームページ型のコンテンツを持たないことが普通になった。
その中でも特にこの2年間を“日記”の時代と呼ぶのは、それまで浅深の差はあってもホームページとして体系化されていたコンテンツが、無秩序に日々垂れ流される状態へと一気に移行したからである。ネットVRMユーザーは“ネタ”を消費するようになった。この傾向は、ネットVRM界隈全体として考えれば改善されつつあるものの、個々人に注目する限りにおいては現在にも当てはまる。
同時に、VRMユーザー同士のネット上での会話が見える化されるようになったのもこの時期の特徴であり、これを以って“掲示板”の時代とも呼びたいと思う。そして不思議なことに、ブログの流行と個人掲示板の流行は、ネットVRM界隈についてはほぼ同時に起きており、ブログのコメント欄がコミュニケーション目的で多用されるようになるのは、もう少し後の話である。
前時代にネットVRMユーザーはコミュニケーション志向を示すようになったが、その時点でのそれは雑談の域を出ていなかった。これが、相互批評・議論と呼べるレベルに達したのは、つい最近の話である。
そして、その流れの必然として、ネットVRMユーザーは、ある種の“プロジェクト”を主催したり、あるいは、それに参加するようになった。“募集”を訴える活動は前々時代から存在したが、多くのそれが応募を待つ一方で自然消滅していたのに対し、現在のネットVRMユーザーは自らネタの“収集”に動くという点で大きく異なっている。これは、前時代の悪癖であった“ネタの消費”に対するカウンターカルチャーと言えるだろう。
一方で、そうして濃縮されたネタの多くは、理解するのにかなりの前提知識を必要とするものになってしまっている点は否めない。つまり、ネットVRM界隈は体系化されたかなりの情報を抱え込んではいるが、それをネットVRMユーザーではない人に伝える力は未だ十分ではない、と評さざるを得まい。
これは、現在のネットVRMユーザーのコミュニケーション志向が、専らVRMユーザー、特に、自分と同じネットVRMユーザー限定に絞り込まれたものとなっていることの裏返しである。と同時に、拡大を志向するプロジェクトが、限られたネットVRMユーザーのリソースを明に暗に奪い合うという危うさをも孕んでいる言えよう。
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