現在のVRMレイアウターは、決してビギナーに優しいと言える代物でないことは、誰も否定しないでしょう。一方で、一旦その「癖」に慣れてしまえば、精密かつ自由な仮想レイアウト作りが楽しめることも、これまた事実です。そこで、現行のVRMレイアウターの仕様を否定しないことを前提に、何か一捻りを加えてビギナー落伍率(VRMを購入してはみたがレイアウターの操作に慣れることが出来ずに挫折するユーザーの割合)を軽減できないか、を考えてみることにします。
先に、
結果指向UIという話題を取り上げました。「ゴールに到達するために求められる操作に意識を向けるのではなく、望む結果をまず特定してもらおう」というのが結果指向UIの基本的な考え方となります。VRMについてこれを展開すれば「1つ1つの部品の置き方/地形の作り方に意識を向けるのではなく、どんなレイアウトを作りたいのかを特定してもらおう」ということになります。これを具体的に実現する1つの方法としてモデルになり得るものに、
マイクロエースのジオラマレールがあります。ハイ、そこ。笑わない。
Nゲージ鉄道模型に詳しい方ならばご存知かとは思いますが、ジオラマレールは必ずしも商業的に成功した例とは言えませんし、実のところ私自身も間違っても購入して使うことはない部材だと思っています。が、この製品の着想からは学べることがあるのではないか、と思い、敢えて取り上げます。その学べること、というのは、良くも悪くも思い切った「割り切りの思想」です。
ジオラマレールの基本構造は、バラスト部のみならず地面となるベース部までもが一体化した組み線路です。この線路と一体化したベース部に、地面やストラクチャを載せて組み合わせる、というのが基本的な使い方になります。この商品の面白いところは、線路の組み合わせ、すなわちトラックプランの自由度を大きく放棄してまで、地面や情景作りの手軽さを追求した点にあります。この「自由度の放棄」が不成功の原因であることは明らかに思われますが、一方で、「自由度を放棄」しているという点においては、フレキシブルレールと比較した場合に長さやカーブ曲率が限定される道床付線路(
TOMIX FineTrackや
KATO ユニトラック)も同じです。そして、それらが当然のようにNゲージャーに受け入れられていることを思えば、ジオラマレールにとってネックになったのは「自由度の放棄」自体ではなく、その「度合い」であると考えられます。
一方で、とりあえず「マイクロエースのジオラマレール」というトラウマ的な商品名を棚上げして、この発想を改めて「情景付き組線路」として見るとどうでしょうか。完成品ビネットを買うことと比較すれば、そこには自分の表現したい風景を作る自由があります。モジュールレイアウトを組み合わせることと比較すれば、小さなストレート/カーブ単位で組み立てるという手軽さも魅力的です。
さて、ここから我らがVRMに目を転じてみましょう。
VRMビギナーを躓かせるのは、誤解を覚悟で言えば、VRMレイアウターのクソ真面目なまでの自由さです。レールがつながろうがつながるまいが、建物が列車の進路に立ち塞がろうが、好き勝手に部品を配置できるのですから。そして、使い慣れない人にとっては、ビュワーを起動するまでそれが実際にどんなレイアウトになっているのか、すなわち結果はまったくわからないに等しいと言って良いでしょう。とは言え、既に他人の手によって完成されたレイアウトをボンッと渡されても、それは「自分のものではない」という不満足感が募るばかりです。
そこで、折衷案としてジオラマレールの発想を取り入れてみます。つまり、情景付きのストレート/カーブ区間が何種類かあって、それをつなげて自分好みのレイアウトを作る、という割り切りです。もちろん、情景を含むレールを1つの部品としてVRMに収録しろ、などと言うつもりはありません。そんなことをすれば、
45-50s氏が懸念を表明されているように折角のVRMの自由度が死んでしまいます。
幸いにして、VRM4から実装された「グループ管理機能」を使えば、レールその他複数の部品の組み合わせを、あたかも1つの部品であるかのように扱うことができます(これには現時点ではいろいろな制約がありますが、後日改めて論じます)。
これを利用すれば、VRMビギナーに「ジオラマレール的な部品」を提供することが出来ます。以降、このジオラマレール的な部品を便宜上「テンプレート」と呼ぶことにしましょう。既にこれに近い実践はネットVRMユーザーの一部で始まっています。記憶に新しいところでは、
fox氏が公開している
架線柱の組み合わせセット等が良い例です。私が提案しているのは、これをもう少し拡大し、トラックプランの自由度をやや奪いつつも、ビギナーが手軽に組み合わせて、とりあえず始めてのVRM体験を楽しむことができるテンプレート的な仕組みを作れないか、というアイデアです。
想像してみてください。レイアウターを起動すると「テンプレートウィザード」が立ち上がるとします。そこには「都心風」「郊外風」「田舎風」等々とジャンル分けされたアイコンが並んでいます。好みのジャンルをクリックすると、テンプレートがプレビュースクリーンショット付きで表示されます。これをレイアウトウィンドウにドロップすると、グループ化された一塊の部品がポンと置かれます。後はこれを繋いだり、場合によってはグループを解除して細部を修正したり・・・これが「結果指向UI」の話に繋がることはご理解いただけますね?
「そんなもん、オマエが勝手に部品レイアウトを配ればいいじゃないか」とあなたは思うかも知れません。もちろん、それで済むならば、私は勝手に始めています。が、実際にはこのアイデアを実行に移すにはいくつかの「壁」があり、また、その壁を克服しないで見切り発車してしまうと、ジオラマレールの「二の舞」を踏む恐れがあります。
かのジオラマレールについては、口さがない人たちの中には酷評して笑い話にする手合いもおいでですが、前述したように私はその発想自体は間違っていないし、むしろ優れたものであったとすら考えています。問題は、発想そのものではなく、技術的な詰めの甘さとユーザーニーズの読み誤りにあったのではないか、というのが私の考えです。
そこで、その二の舞を踏まないために、読者諸兄のご意見やご賛同を賜るべく、こうして愚にもつかない妄想を書き連ねる気になった次第です。仮に私のアイデアに一分の理があるとして、それを実現するためには、第一にアイデアのブラッシュアップ、第二にネットVRMユーザーのご賛同、第三にそれらを受けてのI.MAGiC社の協力が欠かせません。我こそはと思われる方は、どのような形(コメント・トラックバック・自Webでの展開etc...)でも結構ですので、ご自身の見解を御披瀝いただけますようお願い申し上げます。