少しこれまでと毛色の異なる話題なのでフリースタイルでいきます。
VRMテンプレート構想の自明の前提として「相互に接続できる複数のテンプレートが存在する」があります。が、この前提は実はいささか怪しげです。ボクの言葉で書くと小難しくなるので、foxさんの言葉を拝借することにしましょう。
「えーっと、このfoxさんとかいう小文字だけの人の複線踏切Aを使ってみよ〜。」
ビギナーの狐くんはOKを押してレイアウトウィンドウにテンプレートを取り出した。
「おろ?右隣にはRYOMAさんやghostさんの作ったテンプレートが接続できるって。どれどれ……」
以上は引用元でfox氏が描いて見せた、テンプレートの恩恵に授かろうとするVRMビギナーの体験記の一節ですが、思うにfox氏がこれを書いた理由、さらには
実装希望図の補足説明の欄に「互換性」が言及されているのは、fox氏の脳裏に「複線間隔や線路と線路際構造物(フェンス/道路等)の距離が少しでも異なれば相互接続が出来ないじゃん!!」という問題意識があったればこそ、と思うワケです。その問題意識への解法の1つとして、テンプレート作者は相互接続が可能な既存テンプレートに言及する、というスタイルが描かれたのであろうと推察します。
で、援用させておいていただいてアレですが、このような運用はテンプレート作者にかかる作業負荷と、何よりもテンプレートの増加に伴い収拾がつかなくなることは明らかなので、あまり現実的であるとは思えません。が、fox氏がこのようなアイデアを提示するに至った問題意識は適切である、とボクは考えます。そこで思い浮かぶのは、相互接続を保証するためになんらかの規格、レギュレーションを設け、テンプレート作者たちに準拠を呼びかける、と言う手法です。
つまり、複線間隔は〜mmですよ、線路からフェンスまでの距離は〜mm、道路までは〜mm、架線柱の設置間隔は〜mm、などなどを定め、そのレギュレーションに沿ったものだけをテンプレートとして認めることで、相互接続性を保証しよう、という考え方です。
で。
一気に結論へ飛びますが(しかもまた手のひらを返しますが)ボクはレギュレーションを設けることに基本的に反対の立場を採ります。一方で、ほんの少しだけではありますが、これだけは欠くことのできないレギュレーションが必要となることも認めます。
レギュレーションに反対する理由から挙げてみましょう。
第一に、ボクは「VRMテンプレート構想をもってVRMレイアウト作りのすべてに代える」つもりは
毛頭ありません。うまくつながらない部分があれば、それは利用者が工夫すればいいことであり、また、むしろそれがVRMビギナーにとっては良いトレーニングになると考えます。
第二に、仮にレギュレーションを定めたとして、それがVRMレイアウト作りにベストである保証はありません。むしろ、テンプレート作者間で各自の流儀に関して競争が起きた方が良いと考えます。この競争の結果、特に優れているとテンプレート作者間で認められた流儀に自然に収斂していくのではないか、と思います。
第三に、
VRMユーザー紳士録で何人かの方が証言してくださっていますが、過去にVRMモジュールレイアウトの規格を策定しようとして為せなかった教訓に学ぶべきです。具体物(テンプレート)を作らずに抽象論(レギュレーション)を弄ぶと、間違いなくVRMモジュールレイアウトの二の舞になります。すなわち、議論半ばでの立ち消えです。
もし、自分の考えたレギュレーションが優れていると思う人がいるのであれば、彼はそれを議論するのではなく、まずはそのレギュレーションに準拠したテンプレートを大量に作ってネットにバラまき、既成事実にしてしまうべきです。もし、あなたがそのレギュレーションに不備をみつけたり不満があったりするのであれば、それに抗議するのではなく、より良いと思うレギュレーションに準拠したテンプレートをやはり大量にネットにバラまくべきです。
ボクの中で、VRMテンプレート構想の受益者は徹頭徹尾VRMビギナーです(もちろん、究極的にはビギナーがVRMコミュニティに定着することでI.MAGiC社の利益が増え、その分がボクらにフィードバックされるのですが)。テンプレート作者となり得るVRMエキスパートが口ばかり動かして手を動かさなければ、VRMビギナーに利益はありません。一方、テンプレート作者が様々な思惑を込めたテンプレートをバラまくことは、たとえ相互接続に問題があったとしても、それを利用するVRMビギナーにとっては物量の面において歓迎されることでしょう。
一方で、テンプレート作者にどうしても遵守してもらわなければならないレギュレーションもいくつかありそうです。それは、複線間隔がどうのといった表現上のものではなく、現行VRMレイアウターの仕様からくる要請です。
すぐに思いつくのは「テンプレート(グループ)に含まれるすべての部品に対して高度固定設定をしておくこと」です。こうしておかないと、テンプレート作者の環境では意図通りの高さに存在した部品が、利用者の手元ではハチャメチャな高さに再設定されてしまう危険性が出てきます。また、この原則を守る限り、利用者は「テンプレート(グループ)全体の高さを相対移動」することで、平地用に作られたテンプレートを高台に移設することが可能になります。
この例のように、
純技術的・仕様的な制約から遵守すべきレギュレーションは他にも存在しそうな気がします。気付いた方は、例によってコメント・トラックバック等でご指摘くださるとありがたいです。また、本稿では表現上のレギュレーションの必要性を否定しましたが、これに対するご意見・ご批判もよろしくお願いします。