「新旧の「視点職人」から見えてくるVRM4スクリプトの可能性」
誉め殺し
toukaidou211氏の
tetsudougazou VRM MOVIE館に、VRM4から生成した動画が5つ掲載されている。一見して、コンセプト立証型っぽいシンプルな作りなので、気付かない人は「だから何?」で終わってしまうかも知れないが、toukaidou211氏本人が「V4ならではのムービー」とコメントしている通り、VRM4でないと出来ないことが実現されている。
具体的には「複数の編成の速度が同時に変化する」こと。注意深く見ていると、動画の中で山手線車輌と京浜東北線車輌の速度が独立して変化していることがわかる。VRM3では速度変化を起こすことが出来る編成は選択中のそれだけだったし、同時に複数の速度を変化させるにはスクリプトのような制御方法を取らざるを得ないから、まさに「VRM4ならでは」。この機能のデモとして山手線と京浜東北線の併走をチョイスするあたりに、作者のセンス、というか「鉄」的な生活感が滲み出ていてちょっと嬉しくなってしまった。
さて、これらの動画を見ていて気付いたのだが、複数編成の速度をそれぞれ変化させる場合に特有の難しさがあるようだ。それは「視点」の置き場。速度がそれぞれに変化するということは、お互いに近づいたり離れたりすることを意味しており、それはとりもなおさず、「両方の列車が美味しい構図で収まる視点の設定が難しい」ことを意味している。氏の動画では、マニュアル操作で視点を動かしたり、運転台視点の列車を故意に併走する列車から遅れて発車させるといった工夫がおこなわれているようだ。このへんは、拙者も自身の課題として研究していきたいところ。
これで思い出したのが
Tatsuo氏の以下の文章。
VRM4ではレイアウトの作成作業が極端に簡単になり、レイアウトの作成に要する時間もこれまでのVRM3の時の半分くらいで済むようになってしましました。
[TatsuoのVRMレイアウト・2005/3/21付VRMへの想いあれこれ]より
どちらかと言うとVRM4レイアウターの仕様に対して否定的な言辞の方が目立つ昨今、なかなか異色な発言である。が、前述の「視点」の問題のことを考えるとTatsuo氏の言わんとする意味がわかってきた。
氏の作品を一度でも見たことのある人には自明と思われるが、Tatsuo氏はこれまで走行中の運転台視点からの風景と、それにも増してすれ違ったり追い抜いたりする列車との絡みにこだわってきたレイアウト作家だ。つまり、Tatsuo氏はVRM3(もしくはそれ以前)から「移動する視点から眺める走行する列車」という困難なテーマにずっと取り組んできたので、そうでない人が「VRM4のこの機能はどう使おうか?」と悩むところをとうの昔に先取りしていたのだ。
動画として公開するにせよ、自動運転スクリプトを組み込んだレイアウトとして配布するにせよ、見る側が作った側の工夫に気付くには適切な視点の設定が欠かせない。新旧の視点職人の作品を通して、古くて新しいこのテーマに気付かされつつ、拙者は黙々と真鍮板を切り刻むので御座候。