「RYOってオトコのコがいてさ」
青い空の下。学校の屋上。ゆるやかな風が吹いている。
ナナは、あたしの横顔を見ながら、言葉を待っている。
あたしは、ナナに、ネットでRYOと出会ったことや、どんどん惹かれている自分がいることを、順を追って話した。
「あたし、2回しかチャットで会ってないのに、なんかすごいRYOのこと気になっちゃってさ」
「うん」
ナナは黙って、うなづいてくれる。
そして、RYOに嫌われたかもしれないことも・・あたしはナナに話してるうちに、なんだか泣けてきた。目から涙が勝手にあふれてきてしまうのだ。
「あたし・・どうしたらいいか、わかんないよ・・」
RYOとのチャットで何もできなかった自分を思い出し、胸のあたりで、感情がザワザワと騒いでいる。
「のぞみ・・」
ナナが、心配そうにあたしの肩に手を回り、優しく抱き寄せてくれた。昼休みの終わりまで、ナナはあたしを慰めてくれたのだった。
学校の帰り道。
あたしとナナは、いつも寄るファーストフード店で話しを続けることにした。
「あたし、コーラ」
「ぼくはホットミルクにしよっと」
店内の禁煙席につき、あたしとナナは向かい合わせで座った。
「元気だしてよね。のぞみがしょんぼりしてると、ぼくまで暗くなっちゃう」
「うん・・」
あたしはまだ、RYOのことの余波で気持ちが沈んだままだった。
「ナナは・・学校へ行ってない人がいたら、なんて言ってあげる・・?」
あたしは、ナナを見ながら、ストローで、コーラの入ったカップを意味なくゆっくりかき回している。
「そうね、まずは、なんで学校へ行ってないかが大事よね」
ナナはホットミルクに砂糖を追加して、スプーンでかきまぜる。そして少し考える時間があり、ナナは、ショートカットの髪をかき上げた。
まじめな顔で、あたしをまっすぐに見る。
「もしね、のぞみが登校拒否になったとするじゃない? ぼくだったら、まずその理由を聞いて、いっしょに苦しんで、いっしょに考えてあげたいな。のぞみがなんで苦しんでいるのか、どうしたらそこから抜け出せるのか。いっしょに、光の見える方向へ歩いていってあげたい」
ナナは本気であたしのことを心配してくれている。
「ナナ・・」
ナナの言葉にうそはなかった。ただひたすらに、優しかった。
「ホントだよ。ぼく、のぞみが困ってるなら、どんなことでも相談に乗ってあげたい。だって、大事なトモダチだもん」
あたしは、また泣いてしまった。目に再び涙が溢れ出す。それを見てナナは、にっこりと笑顔になる。
「本当いうとね、ネットで知り合って、2回チャHしただけのオトコのコに、そこまで本気になれるのかなって思ってたの。でも、のぞみがここまで真剣に悩んでるの見たら、ぼくものぞみを信じる。いっしょに考えてあげたいの」
ナナも、あたしにつられて、笑顔のまま、瞳の端に涙をためている。
「ありがと・・ナナ・・」
あたしは、ナナの手をとり、両手で握りしめた。ナナの手は温かかった。
あたし、がんばる・・。RYOのこと、もっと知りたい。もっと知って、一緒に悩んであげたい・・。
RYOに嫌われてるかもしれない。でも、せめて力になりたい。
あたしは決めた。

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