「連載小説「ドタバタ 新米刑事とベテラン刑事」13話目(その4)」
小説

* story *
新川も意外な展開に驚いたようだ。
「彼女もホステスか・・・」
剛田は溜息をついた。
「そうだ、ホステスなんて汚らわしい職業の女は
みんな死ねばいい。
俺は世の中の汚れた雌豚どもを抹殺してやるんだ。
それが俺のお袋に対するプレゼントなんだよ」
時男は上体をのけ反らせ、
おもしろそうに笑い始めた。
「そんな事をして何になるんだ。
風俗に働いている女性がみんなお前の母親と
同じだとでも思っているのか。
だいたい、お前の話しを聞く限り、
悪いのはひがみ根性を持ったお前であって
お袋さんに罪は無いぞ。逆恨みも大概にしろよ」
剛田の声が怒りのあまりに震えている。
「どいつもこいつも女って野郎は皆同じで最低さ。
特にホステスは色と欲しかありゃしないのさ。
刑事さん、最近のニュースで
小学生の子を持つ母親が
我が子に殴ったり蹴ったりの虐待を加え、
飯も食わさず餓死をさせようとしたのを見たよ。
最低の母親だな、あんなやつ死刑にしてやりゃいいのさ。
あのニュースを観た時も痛快な気持ちになったなぁ。
最も俺の方が酷い暴力だったけど?
母親殺しの事件は賛成するぜ。
いらない母親は皆消せば世の中のためになるもんよ!
俺は良い事をしようとしたんだ、
逮捕さえされなかったら
俺はバンバン不良ババア達を殺しまくり、
正義の味方になっていた筈なのになぁ!!」
剛田の止めも間に合わず、
怒りが頂点に達した新川が
いきなり時男に踊りかかり
何度も頭突きを食らわし始める。
ガハッ!と口から血泡を吹き出し
時男は椅子ごと後ろに倒れて行った。
「ふざけんなぁあ!お前はただの殺人鬼だ。
自分に何処まで甘えれば気が済むんだ。
あの人はたとえ自分は殺されても、
我が子だけは守ろうと思っていたんだ。
母親とはそういうものだ。
お前の母親も多分お前のことを
大事に思っていたに違いない、
お前はただ寂しかったから、
グレていただけなんだ。
そんなことも分からないお前は大馬鹿者だ!」
新川は肩で大きく呼吸をして、
床の上で伸びている時男に向かって叫んでいた。
「新川、もういい・・・」
剛田はそっと新川の肩に手を置いた。
・・・つづく
電子出版「大人の絵本 クロド」 著者:白河甚平
電子出版「短編集 闇の中の住人」 著者:樋口裕子

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