昨日「空気人形」を観たんだが、想像以上にせつないというか、せつなさを通り越して観終わったあとは嫌な気分にさえなってしまい、悪い意味で打ちのめされた。
映画館を出て、コンビニで酒買って、メソメソしながら呑んでアメ村を横切った。
猛烈に悲しくて、胸が痛んで。
女の子にふられたような気分。
ペ・ドゥナのこと考えると胸が苦しくなり、気がつけば悪酔い・・・。
ふらふらでどうにか帰宅して、それでもまだブツブツと言うてるうちに10時くらいに寝落ちしてしまった。
何回か目が覚めて、枕元に立てかけてた映画のパンフ(ペ・ドゥナの顔のアップ)と目が合い、そのたびに「自分があの映画の中の登場人物だったら彼女のために何ができてたのか」ともがく気分を夢の中に持ってった。
※以下、「空気人形」を心底気に入った人やこれから観ようって人は読まぬように。
「空気人形」は中年の独身男の所有するダッチワイフがある日心を持ってしまうという物語。
映画自体、「そりゃないでしょ〜(それがアリなら整合性のある説明描写入れてくださいよ)」(ダッチワイフがいきなり心を持ち出すとか他いろいろ)の連続で、やがて「なんでそうなるの?!」に。
心を持ってしまった空気人形を演じるペ・ドゥナはめちゃめちゃに可愛かった。
ヌードもきれい。あどけないしぐさで町をさまようペを観てるだけであまずっぱいものがこみあげてきたし、恋人あるいは娘を見守るような気持ちになれた序盤は良かったんだが。
「孤独」をテーマに、空気人形さながら、心に空白を抱えた登場人物が次々描かれてゆき、そうした人たち(どいつもこいつも自分のことしか考えてない!!怒!!)と真っ白な心で関わってゆくペ・ドゥナに、俺的に一番起きて欲しくないことが起こってしまう(店長・・・!!)。
あれ?あら?あらららら?
元々は人間の性欲を処理するために作られた人形とはいえ、不本意なセックスの相手をさせられたペ・ドゥナが股間に埋め込まれたオナホールを外して水道の水で洗うシーンとか、こっちが泣きたくなったよ・・・あんなかわいい娘になんてことを(そして映画を観てて憤ったことが、解決できない形で自分にもそのままはねかえってくる)。
役割上、ペ・ドゥナには「のぞみ」という元の主人がつけた呼び名がついてるが、その名は印象に薄い。
韓国から邦画の現場に一人でやってきたペ・ドゥナと、大人の体に少女の心を持ったのぞみが重なってしまう。
映画を観て、結局、人形には心なんか無いほうが良かったんじゃないかと思った。
もともとペをダッチワイフとして買った中年男の板尾はそれこそ彼女を溺愛し、ペを毎晩着替えさせ、食卓に座らせて晩酌の相手させたり、一緒にお風呂入ったりするが、ペを押し入れにしまいこみ、新しいダッチワイフに買い替える。
そのとき初めて、ペは心を持った存在として板尾の前に現れ、
「自分じゃなくても良かったのか」
と詰め寄る。
板尾はそんなペに、
「悪いけど、前ののぞみに戻ってくれへんか?心とかそういうの、めんどくさいんや」
と懇願する(おまえ!それは!そんなことは!言うなよ!泣!)。
空気人形の創造主としてダッチワイフ工房の職人オダギリジョーが出てくる。
ジョーはダッチワイフが大量に廃棄処分された倉庫にペを連れてゆき、
「愛されたかどうかが捨てられたときの顔に出る」
と言う。
ペ(のぞみ)はどうだったのか?
心を持ったペは自分の意思で歩き回り、ときには好きな男の息でいっぱいの体で部屋をふわふわと飛んで楽しそうに舞う(ここは泣けた)。
そう、空気の抜けたペが好きな男に息を吹き込まれながら感じるシーンのいろっぽさといったらなかった。
そういう映画だったら良かったのにな〜。
ラストなんかもうヒドすぎたよ。ネタバレしたくないけど、なんじゃそれ?!その妄想がどんな救いになるっつうの?!
心を持ったとはいえ、ペ自身の欠落感(勘違い)が招くとんでもない事態とか観たくなかった。
これ、ペ以外の女優がやってたら成り立たん企画だったはず。
ペの存在感と可愛らしさだけで持たせてるだけにきつかった。
心を持ちつつも、実態は人形というペ・ドゥナが、そういうハンデを彼氏と一緒に強力して現実を乗り越え、自分たちなりの幸せの形を掴む話であってほしかったわ。
中途半端にドス黒い現実や不幸せを突き付けられてもやりきれなさとやるせなさが積もるばかり。
それならそれでそっち方向もきっちり描けよ、と言いたい(いいことも悪いこともなんとなくのムードだけ)(もちろん俺はムード派ではあるがこれはいただけんかった)。
いっそペ・ドゥナを出さず最初から最後まで本物のダッチワイフ使ってたら良かったのでは。
(余談だが、地元の同級生の宇川直宏が高校の頃作った自主映画「名探偵ダッチ」は本物のダッチワイフが墓場で暴れるめちゃくちゃな内容だったの思い出した)
邦画ハスラーの宇多丸先生ならこの作品をどう評するだろう?
結論。
「空気人形」、ペ・ドゥナは最高にいいけど、映画自体は星ひとつ!!
多分DVDになっても見返しません。
サンハウス風にいえば「夢見るボロ人形」かと思ったら中期ルースターズゆうところの「SHE BROKE MY HEART'S EDGE」だったというか。
「萌え」を期待して行ったら「焦げ」た、って感じ・・・あぶりすぎか?
観んでええわ!!!!!

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