この本との出会いは少し変わっている。私は藤原正彦先生のファンなのだが,藤原先生と小川洋子氏との対談の本をまず読んだ。その本の中で小川氏の書いた『博士の愛した数式』が話題になっていたので面白そうだと思って買った。「本屋大賞受賞」というのはあとで知った。文章が静かできれいだった。
1箇所,気になったところがあった。「愛するNへ」とある部分は,ひょっとしたらNではなくてアレフ(ヘブライ文字の1番目,無限の濃度を表わす記号)の誤植ではないかとかんぐったのだ。
今日,映画を見てきた。その部分は確かにNで,アレフではなかった。考えすぎだったらしい。見に行く前は,映像化は難しかろうと思っていたが,原作の本質的な部分は捉えていたと思う。ただ1箇所,円周率πと自然対数の底eは「無理数」で間違いはないにしても,やはり「超越数」と言ってほしかった。
静かできれいな文章が好まれるってことは,きっと,今が騒がしくて汚い時代なんだろうな。
陳腐な感想だ。>オレ
もともと,騒がしくない時代なんてあったのか?
「静かできれい」でもう1冊。同氏の『貴婦人Aの蘇生』(朝日文庫)オススメです。特に,最初に俗物だった人物が心を入れ替えるところが泣ける。泣けるのは,きっと,私が救いがたい俗物だからだろうな。

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