東京ローカル・ホンクの木下弦二さんから初めて電話をもらったのは もう二年ほどまえの夏だったろうか その時にどういう会話をしたのかは忘れてしまったが 僕たちのバンドを知って欲しい 聞いてみて欲しいという彼の気持ちだけはまっすぐに伝わってきた これも何かの縁(えにし)かと思いその後の僕は彼らのライヴに幾度となく足を運び またこれからも もっとライヴに行ってみようという思いは募るばかりだ 東京ローカル・ホンクの良さをどう表現すればいいのかはよく解らないのだが 今日もまた僕と同じように東京の空を眺め 同じような街並を歩き 戸惑いながらも呼吸をしていることは間違いなかった そんな風に自分の側にいるという親しみを持てるバンドに出会ったことに奇跡にも近いような感慨を抱いた まるで広告代理店が書いたような気取った歌詞や 見せかけのポーズや虚勢 あるいは英雄的な態度に終始しがちな日本の音楽シーンのなかで 彼らはいつもの商店街を行き交う人々を観察し 各駅停車の窓から流れる雲を追いかけたりしていた 彼らの織りなすサウンドスケープもまた大向こうを張るのではなく 微妙な感情や陰影そして日向の匂いをデリケートに運び込んできた ときには伊豆半島まで遠出したり草の燃える匂いを嗅ぎながら 結論を急がない心のありようみたいなものは形になりにくい でも僕は東京ローカル・ホンクの答えとか結論を求めない音楽のあり方に惹かれ続けている そうまるで池に投げられた小石のように (小尾隆 2009年6月23日:記)

2010/3/10

3月10日 晴れ  文学

佐々木譲『警官の血』(07年新潮社)を読了しました
上下巻で全778ページに及ぶ巨編で
今年11、12冊め 会社を辞めてから101,102册め
の読書でした

警察小説というジャンルは 一定の人気があります
刑事もの 公安偵察ものは人物造形がしやすいし
キャリア組とノンキャリア組との確執 権力構造
管理部門と現場との温度差 内部腐敗
ヤクザとの抗争劇など 状況設定も組みやすいから
かもしれません
テレビドラマの『踊る捜査線』なんかも
ユーモアを込めて警察という組織をおちょくって
いましたね

本書がユニークなのは 祖父、父、息子と家系の
三世代が現職の警察官として主役になっているこ
とでしょうか 謎の死を遂げた祖父の背後にある
闇を解明すべく その子孫たちが警察官になるこ
とで その内部へと分け入っていきます

そこに戦後の混乱期 高度成長時代 バブルとそ
の後日談と それぞれの時代も描かれていきます
が とくに父(民雄)が優秀故に内偵(スパイ)
となり 学生運動のセクトに紛れ込んで暗躍する
場面などスリリングですし ヤクザに深入りした
刑事が ズブズブと裏社会の中毒になっていく樣
は 恐ろしいほどリアルです

警察には白黒をはっきりさせるだけでなく グレイ
な部分を黙認〜泳がすという側面もあります
より大きな巨悪に立ち向かうために小さな罪を
容認しなければならない そんな逆説的な場面
もあるのでしょう また清廉潔白であることの
難しさは 企業人の多くの悩みとも重なります

時効がとうに過ぎても 祖父の悔恨を晴らそうと
する親と子の警官 それを他にも様々な事件と絡
めつつ あぶり出していくエンタテイメント巨編
引退した元警察官が独白していく終盤には
善悪では語り尽くせない人間の ”業” のような
ものを感じずにはいられませんでした

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2010/3/10  13:18

投稿者:obin

短編の端正な味わいも好きなのですが                長編〜大河小説は やはり読み応えがあります

kameさんもよくお読みになってるじゃないですか
読書の春です^0^

2010/3/10  12:58

投稿者:kame

長編いきましたね!軟弱なんで「警察の血」は、まだTVドラマしか見ていません。
今度読んでみたいとは思うのですが。。積読が多くて。。

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