東京ローカル・ホンクの木下弦二さんから初めて電話をもらったのは もう二年ほどまえの夏だったろうか その時にどういう会話をしたのかは忘れてしまったが 僕たちのバンドを知って欲しい 聞いてみて欲しいという彼の気持ちだけはまっすぐに伝わってきた これも何かの縁(えにし)かと思いその後の僕は彼らのライヴに幾度となく足を運び またこれからも もっとライヴに行ってみようという思いは募るばかりだ 東京ローカル・ホンクの良さをどう表現すればいいのかはよく解らないのだが 今日もまた僕と同じように東京の空を眺め 同じような街並を歩き 戸惑いながらも呼吸をしていることは間違いなかった そんな風に自分の側にいるという親しみを持てるバンドに出会ったことに奇跡にも近いような感慨を抱いた まるで広告代理店が書いたような気取った歌詞や 見せかけのポーズや虚勢 あるいは英雄的な態度に終始しがちな日本の音楽シーンのなかで 彼らはいつもの商店街を行き交う人々を観察し 各駅停車の窓から流れる雲を追いかけたりしていた 彼らの織りなすサウンドスケープもまた大向こうを張るのではなく 微妙な感情や陰影そして日向の匂いをデリケートに運び込んできた ときには伊豆半島まで遠出したり草の燃える匂いを嗅ぎながら 結論を急がない心のありようみたいなものは形になりにくい でも僕は東京ローカル・ホンクの答えとか結論を求めない音楽のあり方に惹かれ続けている そうまるで池に投げられた小石のように (小尾隆 2009年6月23日:記)

2007/11/25

祝! 世界文学全集刊行〜reason to believe  文学

作家の池澤夏樹が個人編集した” 世界文学全集” が
河出書房新社より発売され始めた
全部で24巻
第一回はケルアックの「オン ザ ロード」を青山南による新訳で という試み
以降どんなタイトルが出てくるのか楽しみにしている

ある意味ロック音楽に於ける批評性や同時代性が失われ
”趣味”の領域に堕落してしまった現在
(このblogの賢明な読み手ならもうご存知のように)
私が興味を抱く主題は 文学へと向かいつつある


文学こそがロックだと詭弁を使うつもりはないが
果てしない自己探求や世界認識といった
かつてロック音楽がもたらしてくれた知的な興奮は
今や現代の日本作家にバトンが手渡されているようだし
この際 名作といわれる古典に
触れ直すのは  いい機会かもしれない

池澤氏は今回のシリーズについてこうコメントしている

「世界はこんなに広いし人間の思いはこんなに遠くまで
飛翔する それを体験してほしい」

言うまでもなく 人生は短い
娯楽的に音楽を消費するのも自由だろう
己の欠落を見つめることよりは埋め合わせを
するほうが楽でもあろう
しかしそれでは生を生きていることにはなるまい

かつてティム ハーディンという素晴らしい歌手がいた
彼は歌った reason to believeと











2007/11/25  17:53

投稿者:obin

路傍さま

確かに相対的な関連でいえば文学にかつてのパワーが感じられないというのは 本当かもしれません 読書することが唯一の楽しみであり 心の糧だった時代は
遥か昔の出来事になり 今や”アミューズメント”のツールは溢れ返っています そのような時代のなかで小説という作法がどう機能していくのか 新たなる物語性
を獲得出来るのか 興味は尽きません 村上龍の「半島を出よ」などの力作を読むと 文学はまだまだ大丈夫だと思いを新たにすることも しばしばです

とくにモノを書く立場の人間は(どんな分野であれ)
本を読んでいないことには使い物にならない世界で
あり たとえ遠回りであっても 音楽も本も あるいは映画も 同じ表現として虚心に接しなければ いい文章 人の機微に触れる文章は書けないと思っています まあ私の場合は映画よりも本の方が性に合うといった傾向は大いにありますが、、、

音楽でしか出来ないことをやるのが本物の音楽
文章でしか想像出来ないような領域で勝負するのが
本当の文学
映像でしか喚起出来ない構造を持つのが本物の映画

言葉にすると簡単ですが これが難しい
しかし語り継がれていくような名作は こうした条件をクリアしていると思います

話が飛躍してしまいましたが
私のような末席のライターであっても やはりどこか
で ”言葉の力” を信じていたい気持ちがあるのでしょうね 

今年20冊読破!の目標にもう一歩です(笑)






2007/11/25  13:58

投稿者:路傍の石

小尾さん

最新のエントリを拝読させていただいて、
改めて感じたこと。
かつて文学というテリトリーが
すべてのカルチャーに及ぼしていた影響力の大きさが
現在は失われつつあるという事実。
一介の評論家であっても、
そこに文学的な匂いのする書き手との出会いを渇望する拙ですが、
そんな人も少なくなっているのでしょうか。

そこで、このブログを紹介します。

http://teaforone.blog4.fc2.com/blog-category-10.html

拙の友人でmickmacさんというのですが、
この方の映画批評の説得力はどうでしょうか。
上では外国映画のページをリンクしましたが、
日本映画の批評でのリアリティには絶句させられます。

http://teaforone.blog4.fc2.com/blog-category-13.html

実は、すでにHotwax誌(日本の映画・歌謡曲主体のサブカル系雑誌)で批評活動を始められているのですが、
こんな人にもっと活動の場が広がればいいと感じています。

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