東京ローカル・ホンクの木下弦二さんから初めて電話をもらったのは もう二年ほどまえの夏だったろうか その時にどういう会話をしたのかは忘れてしまったが 僕たちのバンドを知って欲しい 聞いてみて欲しいという彼の気持ちだけはまっすぐに伝わってきた これも何かの縁(えにし)かと思いその後の僕は彼らのライヴに幾度となく足を運び またこれからも もっとライヴに行ってみようという思いは募るばかりだ 東京ローカル・ホンクの良さをどう表現すればいいのかはよく解らないのだが 今日もまた僕と同じように東京の空を眺め 同じような街並を歩き 戸惑いながらも呼吸をしていることは間違いなかった そんな風に自分の側にいるという親しみを持てるバンドに出会ったことに奇跡にも近いような感慨を抱いた まるで広告代理店が書いたような気取った歌詞や 見せかけのポーズや虚勢 あるいは英雄的な態度に終始しがちな日本の音楽シーンのなかで 彼らはいつもの商店街を行き交う人々を観察し 各駅停車の窓から流れる雲を追いかけたりしていた 彼らの織りなすサウンドスケープもまた大向こうを張るのではなく 微妙な感情や陰影そして日向の匂いをデリケートに運び込んできた ときには伊豆半島まで遠出したり草の燃える匂いを嗅ぎながら 結論を急がない心のありようみたいなものは形になりにくい でも僕は東京ローカル・ホンクの答えとか結論を求めない音楽のあり方に惹かれ続けている そうまるで池に投げられた小石のように (小尾隆 2009年6月23日:記)

2008/2/11

one man dog , one man parade  

「不可解なのは曲が出来てからの最初の録音が標準になってしまうことだ」とは最新アルバム「ワン マン バンド」にジェイムズ テイラー本人が寄せているコメントである 締め切り間際に書いた曲がその時のレコーディングメンバーとともに固定化してしまうことを懸念し 曲が歳月や聴衆とともに成長していくことを願い
実践しているJTならではの見解だが 彼(g)とラリーゴールディングス(p)
の二人によるライヴ作「ワン マン バンド」は確かに素晴らしいアルバムだと思う より正確にはクワイアのダビング〜同期なども施されているのだが
フルバンドと”ワン マン バンド”を自在に使い分けて近年も積極的に活動しているジェイムズもまた ”パフォーミング アーティスト” という冠が相応しい 
これは単にアンプラグドだからいいとか リズム隊がいないから曲の骨格が映えるからいい ということではまったくない むしろ重ねてきた年月が彼の音楽と聴衆との間に親和力を生み出したのだ





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