東京ローカル・ホンクの木下弦二さんから初めて電話をもらったのは もう二年ほどまえの夏だったろうか その時にどういう会話をしたのかは忘れてしまったが 僕たちのバンドを知って欲しい 聞いてみて欲しいという彼の気持ちだけはまっすぐに伝わってきた これも何かの縁(えにし)かと思いその後の僕は彼らのライヴに幾度となく足を運び またこれからも もっとライヴに行ってみようという思いは募るばかりだ 東京ローカル・ホンクの良さをどう表現すればいいのかはよく解らないのだが 今日もまた僕と同じように東京の空を眺め 同じような街並を歩き 戸惑いながらも呼吸をしていることは間違いなかった そんな風に自分の側にいるという親しみを持てるバンドに出会ったことに奇跡にも近いような感慨を抱いた まるで広告代理店が書いたような気取った歌詞や 見せかけのポーズや虚勢 あるいは英雄的な態度に終始しがちな日本の音楽シーンのなかで 彼らはいつもの商店街を行き交う人々を観察し 各駅停車の窓から流れる雲を追いかけたりしていた 彼らの織りなすサウンドスケープもまた大向こうを張るのではなく 微妙な感情や陰影そして日向の匂いをデリケートに運び込んできた ときには伊豆半島まで遠出したり草の燃える匂いを嗅ぎながら 結論を急がない心のありようみたいなものは形になりにくい でも僕は東京ローカル・ホンクの答えとか結論を求めない音楽のあり方に惹かれ続けている そうまるで池に投げられた小石のように (小尾隆 2009年6月23日:記)

2008/2/19

1メートル手前の彼  

理知的な人である
相手の話をよく聞き ゆっくりと丁寧に
静かな声で話始める

自分の音楽を文章にしてくれたことに
彼は感謝の言葉を述べ
その夜の演奏にそっと感想を求めた

彼が導いてきた輝きがあり
彼をもってしても報われなかった思いがある
その途上に彼はいて
きっと これからも物語を紡いでいくことだろう

1メートル手前の彼が話しかけていた
1メートル手前の佐野元春が微笑んでいた
       











2008/2/19  9:42

投稿者:obin

ありがとうございます
音楽ライターのなかには文体にあまり心を砕かない人もいますが 心掛けていることが僕にあるとすれば 対象との距離を把握することであったり 抑制された
なかにニュアンスを出すといったことかも知れません
俺はミックの友達だキースとは酒を飲んだこともある
といった自慢話を書きたがる人もいますが 芸能記者
じゃあるまいし まったく恥ずかしいことですね
僕はともかくとして 佐野さんの周囲にはファンを
含めて優れた理解者や書き手がたくさんいます その
すべてを彼の音楽はたぐり寄せてきたのです


2008/2/19  7:59

投稿者:Osamu

ブログを読ませてもらい、
簡潔な文章だけど、
オビさんと彼との心温まる交流…
きっととつとつと話すだろう彼と
それをゆっくり噛み砕くように受け止める
オビさんの姿が目に浮かびました。
きっと、それは100万の富を得ることより
崇高で、至福な時間なんでしょうね。
朝から感激し、
思わず書き込んじゃいました。

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