東京ローカル・ホンクの木下弦二さんから初めて電話をもらったのは もう二年ほどまえの夏だったろうか その時にどういう会話をしたのかは忘れてしまったが 僕たちのバンドを知って欲しい 聞いてみて欲しいという彼の気持ちだけはまっすぐに伝わってきた これも何かの縁(えにし)かと思いその後の僕は彼らのライヴに幾度となく足を運び またこれからも もっとライヴに行ってみようという思いは募るばかりだ 東京ローカル・ホンクの良さをどう表現すればいいのかはよく解らないのだが 今日もまた僕と同じように東京の空を眺め 同じような街並を歩き 戸惑いながらも呼吸をしていることは間違いなかった そんな風に自分の側にいるという親しみを持てるバンドに出会ったことに奇跡にも近いような感慨を抱いた まるで広告代理店が書いたような気取った歌詞や 見せかけのポーズや虚勢 あるいは英雄的な態度に終始しがちな日本の音楽シーンのなかで 彼らはいつもの商店街を行き交う人々を観察し 各駅停車の窓から流れる雲を追いかけたりしていた 彼らの織りなすサウンドスケープもまた大向こうを張るのではなく 微妙な感情や陰影そして日向の匂いをデリケートに運び込んできた ときには伊豆半島まで遠出したり草の燃える匂いを嗅ぎながら 結論を急がない心のありようみたいなものは形になりにくい でも僕は東京ローカル・ホンクの答えとか結論を求めない音楽のあり方に惹かれ続けている そうまるで池に投げられた小石のように (小尾隆 2009年6月23日:記)

2008/3/30

コヨーテは歩いていく〜3月29日  Rock N Roll

佐野元春&ホーボー キング バンドのツアー ファイナルを
渋谷のNHKホールで見た
今回は僕としても 関東の計5カ所でツアーの部分部分に触れ
とても いい体験をした

彼ほどのキャリアになると
時代時代に鮮やかな刻印を残していった広範な楽曲を
3時間のステージに落とし込んでいく作業自体とても大変なのだろうが
それぞれの曲が連鎖し合って大きな流れを作っていく様は
とてつもなく逞しいものだった

意図してシリアスなナンバーを外していき
ハッピーな感情をもたらしていく曲を並べる構成にも
かえって 今という時代が抱えた困難さと対峙するかのような
そんな切なく懐かしい響きをもたらせていったようにも思う

ときどき どうして僕はこれほど佐野元春のことが気になるのか
そんなことを考える夜がある
眠れない夜に考えることがある

そんな気持ちは
歳を重ねるごとに 高まっていく
そんな感情は
行く道が閉ざされるほどに 強くなっていく

たとえ風向きが変わったとしても
きっと 彼は歌い続けるだろう
きっと 僕は彼を聞き続けることだろう





















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