東京ローカル・ホンクの木下弦二さんから初めて電話をもらったのは もう二年ほどまえの夏だったろうか その時にどういう会話をしたのかは忘れてしまったが 僕たちのバンドを知って欲しい 聞いてみて欲しいという彼の気持ちだけはまっすぐに伝わってきた これも何かの縁(えにし)かと思いその後の僕は彼らのライヴに幾度となく足を運び またこれからも もっとライヴに行ってみようという思いは募るばかりだ 東京ローカル・ホンクの良さをどう表現すればいいのかはよく解らないのだが 今日もまた僕と同じように東京の空を眺め 同じような街並を歩き 戸惑いながらも呼吸をしていることは間違いなかった そんな風に自分の側にいるという親しみを持てるバンドに出会ったことに奇跡にも近いような感慨を抱いた まるで広告代理店が書いたような気取った歌詞や 見せかけのポーズや虚勢 あるいは英雄的な態度に終始しがちな日本の音楽シーンのなかで 彼らはいつもの商店街を行き交う人々を観察し 各駅停車の窓から流れる雲を追いかけたりしていた 彼らの織りなすサウンドスケープもまた大向こうを張るのではなく 微妙な感情や陰影そして日向の匂いをデリケートに運び込んできた ときには伊豆半島まで遠出したり草の燃える匂いを嗅ぎながら 結論を急がない心のありようみたいなものは形になりにくい でも僕は東京ローカル・ホンクの答えとか結論を求めない音楽のあり方に惹かれ続けている そうまるで池に投げられた小石のように (小尾隆 2009年6月23日:記)

2009/4/7

doctor, my eyes  

パキスタンの宗教音楽家、ヌスラットのことは
ピーター ゲイブリエルとの交流などでロック
ファンにも広く知られたと思うが 彼の音楽が
ジェイムズ ブラウンのそれに似ているという
指摘に 思わず納得してしまった

フェラ クティにしてもそうだが JBにしても
ヌスラットにしても 曲という時間軸よりは
集団音楽としてグルーヴを持続させていくこと
を主眼としている訳で マッシヴアタックが
ヌスラットをサンプリングしたという話にも
合点が行く 私は晩年のヌスラットのライヴ
盤『スワンソング』しか持っていないが この
97年作でさえ トランス感はもの凄い!
全盛期のレコーディングも今度 聞いてみよう
正確な名前は ヌスラット フェテ アリ
カーン

  *    *     *

女性ジャズ歌手に惹かれたことは殆どないが
カサンドラ ウイルソンはブルースの素養がある
興味深いシンガーだ 幾らか知的に処理された
サウンド プロダクションが気になるのは 私が
黒人音楽愛好家だからだろうか そんなことを思い
ながら 02年作『ベリー オブ ザ サン』を
聞いた

 *     *     *

キューバ音楽の日溜まりのような匂いが好きで
ときどき聞くのが イブライム フェレールの
ワールド サーキット盤 ちなみに制作はライ クー
ダーで すぐ彼と解るギターも聞こえてくる
ライのキューバ音楽へのアプローチに文句を言う
人もいるようだが まずは彼がキューバへと向かった
柔らかな心の流れを考えてみるべきではないだろうか?

 *     *      *

ロック音楽への教条的な言説にうんざりさせられるのは
今日に始まったことではないが 自分や時代を検証する
こともなく 空疎な言葉ばかりを振りかざしている人に
は さすがに 気分が悪くなってしまう 「こいつ、
言っていることと やっていることが全然違うじゃん!」
と 書店である本を見て 思わず苦笑されられた













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