東京ローカル・ホンクの木下弦二さんから初めて電話をもらったのは もう二年ほどまえの夏だったろうか その時にどういう会話をしたのかは忘れてしまったが 僕たちのバンドを知って欲しい 聞いてみて欲しいという彼の気持ちだけはまっすぐに伝わってきた これも何かの縁(えにし)かと思いその後の僕は彼らのライヴに幾度となく足を運び またこれからも もっとライヴに行ってみようという思いは募るばかりだ 東京ローカル・ホンクの良さをどう表現すればいいのかはよく解らないのだが 今日もまた僕と同じように東京の空を眺め 同じような街並を歩き 戸惑いながらも呼吸をしていることは間違いなかった そんな風に自分の側にいるという親しみを持てるバンドに出会ったことに奇跡にも近いような感慨を抱いた まるで広告代理店が書いたような気取った歌詞や 見せかけのポーズや虚勢 あるいは英雄的な態度に終始しがちな日本の音楽シーンのなかで 彼らはいつもの商店街を行き交う人々を観察し 各駅停車の窓から流れる雲を追いかけたりしていた 彼らの織りなすサウンドスケープもまた大向こうを張るのではなく 微妙な感情や陰影そして日向の匂いをデリケートに運び込んできた ときには伊豆半島まで遠出したり草の燃える匂いを嗅ぎながら 結論を急がない心のありようみたいなものは形になりにくい でも僕は東京ローカル・ホンクの答えとか結論を求めない音楽のあり方に惹かれ続けている そうまるで池に投げられた小石のように (小尾隆 2009年6月23日:記)

2009/11/8

ダン・ベアード〜彼が掌に握ったロック音楽のこと  Rock N Roll

とくに話題になることもなく昨年リリースされていた
ダン ベアードの新作を やっと購入することが出来た
”Dan Baird & Homemade Sin " とバンド名をセルフ
タイトルとしたアルバム名は素っ気ないが 
逞しいアメリカン ロックの本流に 思わず笑みがこ
ぼれてくる

あの懐かしいジョージア サテライツ時代に溯って思い
起こしてみれば  殆ど聞くべき音楽がなかった80年代
の半ば  彼らやファビュラス サンダーバーズそして
ロング ライダーズやロス ロボスの存在にどれだけ
救われてきたことだろう

とくにジョージア サテライツの場合 バンドの楽しさ
がそのままロックの興奮として殆ど伝わりにくい時代に
あえて孤軍奮闘していったような
そんな響きがある

あの時代は私自身 東京の住人でありながら 
バブルに沸き立つトーキョーに馴染めなかったことを
思い起こす
土地転がしが暴利を貪り
自称プランナーが企画書をでっち上げるだけで
100万円が転がってきた時代(そこら辺は奥田英朗が短
編連作集『東京物語』に活写しているのでご参考まで
に)の話である

孤軍奮闘 確かにそうだろう MTVがヴィジュアルロッ
クを推進していた ジャーニーがまるで大風呂敷のよう
な産業ロックを謳歌していた あの垢抜けないテキサス
のロック トリオであるZZトップでさえ カメラをまえ
にポーズを取っていた
ヒューイ ルイスはまるで自虐のように「ヒッピーも
やがてスクエアになるんだぜ」を歌っていた
おい ドラムスにゲート エコーなんか施すなよ(笑)

そんな時代にあって ダン ベアード率いるジョージア
サテライツは もう殆ど愚直と呼べるくらいに かつて
のロックの偉人たちへ敬意を払った チャック ベリー
やジェリー リー ルイスらのオリジネイターはむろん
大いなる道しるべとしてのクリーデンスや
愛すべき酔っぱらいバンドであるフェイシズ(イアン
マクレガンが録音に駆り出されることもあった)らへ
の共振を隠そうとはしなかった 自分たちの音楽が過去
の偉人たちに多くを負っていること それなしでは自分
たちなど ちっぽけな存在であること
そうしたことに対して 少なくとも彼らは驚くほど
真剣だった

今こうして ダン ベアードの最近作を聞いていると
彼の周りで時代が勝手に流れ去ったような印象を受ける
無邪気さゆえに他人から愛されるタイプの人がたまに
いるけれども ダン ベアードもまさに そんな一人か
と思う

彼が掌で温めてきたロック音楽が いつしか
人々の信頼を呼び戻していたのだ






















2009/11/9  20:40

投稿者:obin

ここにまたダンベの理解者あり!
KTさま、ご声援ありがとうございます^0

めちゃくちゃ嬉しいっす!
あのカッティングが聞こえてくるだけで
血沸き肉躍るあの感じ こればっかりは
理屈ではありませんね
私にとっても 体が覚えているこのビー
トといったところです
しかも 何かとてつもないことに賭けて
いくようなロマンティシズムを 私は
感じてなりません

cheers!


http://www.danbaird.net/

2009/11/9  19:38

投稿者:KT

「殆んど聞くべき音楽がなかった80年代の半ば」
当時私も全く同じように感じていました。ホント、デュラン・デュランを聞いた時は、暗澹たる気持ちになったものなぁ。
同時に、だからこそ『信用出来るヤツ』は容易に見分けがついた、とも言えました。ジョージアサテライツは、正にそのひとつでした。ギミックのカケラもないその音は、子供の頃から知らぬ内に身体に染み付いていた『ロックンロールの真実』そのものでした。
今レコードに針を落とす、あるいはプレイボタンに押した瞬間に私の耳に届くベアードのギターは、今彼が掻き鳴らした『現実〜真実』そのものです。
私の『音楽の心』は、そう感じさせてくれる幾人かの音楽家達とその音楽のお陰で今日まで生き延びて来た、ということなんですよね。
小尾さん、ありがとうございます。ベアードの新作の件知りませんでした。早速聞いてみようと思います。

2009/11/9  1:15

投稿者:obin

almostさま

確かに二極化の時代だったかもしれません
まだオルタナ〜グランジのシーンも表には
出てこなかったわけで そういう意味で
ソニック ユースが果たした役割は重要で
したね 表は産業ロックのクズの集まりだ
った80年代にあっても 必ずそうした地殻
変動があることはロックの面白さのひとつ
だと思います ロス ロボスがここまで大
きくなったのも感慨深いです

ち〜くん

80年代ソウルで絶賛されたアルバムが今
聞くに耐えないという感覚は私にもよく
解りマス(苦笑)結局そうしたライター
買いをしていく場合 自分の感性と一番
ズレのない筆者で選んでいくしかないの
かもしれません 

サテライツはやはり最高ですね
嘘か誠か知りませんが ジョン レノン
が殺された日に結成されたというエピソ
ードも残っていますから(笑)
それにしても唯一の来日公演をご覧に
なったとは羨ましい!(私は一体何ピン
ボケをかましていたんでしょう)音の
デカさは半端じゃなかったみたいですね
(笑) ダンベの新作 最高っす!
一生付いていきます!

2009/11/8  18:19

投稿者:ちーくん

先日レコード屋の安売りコーナーで、80年代ソウルのレコを1枚買いました。
ソウルものの紹介本でさる著名なライターさんが高く評価していたレコで、以前から興味はあったので帰宅後すぐ聴いたのですが、1曲目の出だしから、「ドッカーン」と打ち込みドラムが響き渡り興醒め。
そりゃこちらも打ち込みだから駄目ってほど偏った考えはありませんけど。

ああ、やっぱり80年代はこういう時代だたんだと、あらためて悲しく思いましたね。
商業ロック、商業ソウル。予定調和。

ただダン・ベアードのようなある意味「愚直」なロックは予定調和とはまったく別世界のもの。継続こそ力なり。
J J ケイルとも共通するようなシンプルであるがゆえの生命力であると感じます。

こういう飛び道具やトリッキープレイに頼らない音楽こそが、時代の頂点に立つことは無くとも、真に人々に愛され続けるものだと確信しております。

来日時に生で観たジョージア・サテライツは爆弾が落ちたみたいな轟音で、コンサート終了後の2時間くらいは難聴になりましたっけ。凄かったな。

2009/11/8  17:37

投稿者:Almost Prayed

あれは忘れもしない1980年代のいつだったろう、あの時代。おそらく小学生だったわたくしは、「キン肉マン」や「タミヤRCカーグランプリ」とかに傾倒していた、あの時代。当然ながら、R.E.M.やソニック・ユースやヨ・ラ・テンゴやロス・ロボスなどという存在など、これっぽっちも知る由もなかったものの、カジャグーグーとか、ああいうののMTV作品がどこかしらのテレビ番組で流されていたので、そういうものは何となくながら見ていました。

今になって、あの時代のロック/ポップ音楽を振り返ると、表向きは産業ロックとポップ・アイドルの時代という感じがしますが、インディー・シーンの隆盛や、ヒップ・ホップにモダン・ソウルなど、探せば良質のバンドや作品が相当にあった時期とも感じます。社会状況の変化により単純に比較はできませんが、ある意味では、現在よりも地下水脈のシーンはずっと豊かだったかもしれませんね。けれど、最近、一部で「80年代に戻ろう」的な再評価の動きもあるようですが、あの時代に戻りたいなんて、自分はこれっぽっちも思いませんね(笑)。

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