東京ローカル・ホンクの木下弦二さんから初めて電話をもらったのは もう二年ほどまえの夏だったろうか その時にどういう会話をしたのかは忘れてしまったが 僕たちのバンドを知って欲しい 聞いてみて欲しいという彼の気持ちだけはまっすぐに伝わってきた これも何かの縁(えにし)かと思いその後の僕は彼らのライヴに幾度となく足を運び またこれからも もっとライヴに行ってみようという思いは募るばかりだ 東京ローカル・ホンクの良さをどう表現すればいいのかはよく解らないのだが 今日もまた僕と同じように東京の空を眺め 同じような街並を歩き 戸惑いながらも呼吸をしていることは間違いなかった そんな風に自分の側にいるという親しみを持てるバンドに出会ったことに奇跡にも近いような感慨を抱いた まるで広告代理店が書いたような気取った歌詞や 見せかけのポーズや虚勢 あるいは英雄的な態度に終始しがちな日本の音楽シーンのなかで 彼らはいつもの商店街を行き交う人々を観察し 各駅停車の窓から流れる雲を追いかけたりしていた 彼らの織りなすサウンドスケープもまた大向こうを張るのではなく 微妙な感情や陰影そして日向の匂いをデリケートに運び込んできた ときには伊豆半島まで遠出したり草の燃える匂いを嗅ぎながら 結論を急がない心のありようみたいなものは形になりにくい でも僕は東京ローカル・ホンクの答えとか結論を求めない音楽のあり方に惹かれ続けている そうまるで池に投げられた小石のように (小尾隆 2009年6月23日:記)

2010/8/18

いつも考えていた  Rock N Roll

ーー小尾さん、まずはダイエット成功おめでとうございます

小尾:「ありがとうございます 自分でも信じられないこと
なのですが 8キロ体重が減りました」

ーー5月13日からウォーキングを始めて ほとんど1日も
休まずに三ヶ月ひたすら頑張りましたね

「最初は辛かったんです ぼくジョギングで一度挫折してい
るから 最初は全然自信が持てなくって でも始めて2週め
くらいからどんどんハマッていったんです jogは駄目だっ
たけれどwalkは大丈夫なんじゃないか、なんて呪文を自分に
課しながら 今は毎日楽しいくらい歩けています」

ーーそもそもの動機は?

「ぼくは以前に比べてミュージシャンに会う機会が増えました
たとえば中村まり、東京ローカル・ホンク、佐野元春にはわり
と定期的に会っています もっとも会うと言っても 彼らのラ
イヴ演奏のときに 終わってから雑談する程度ですけれども
そのときに彼や彼女の音楽に相応しい自分でいたかったという
気持ちがすごく強かったんです そのとき自分がもしも弱点を
抱えていたなら 彼らと対等に話は出来ない 彼らが放つ言葉
に関して素直に反応出来ない ぼくはそういう事態だけは避け
たかった」

ーー批評は二義的なものではない、という小尾さんの思いがそ
んなところにも感じ取れます

「賢い音楽家ほど 音楽は聞き手に届いてこそという思いが強
いですね もし仮にぼくが信頼を得られるのであれば 聞き手
に徹することじゃないかな とも思っています 彼や彼女の音
楽のいい部分をしっかりと見渡していきたいです」

ーー曇っていた部分もあった?

「チケットが高過ぎるという問題は考慮しなくてはなりません
が ぼくにとって今年の春 キャロル キングとジェイムズ
テイラーのジョイント ライヴを見たことは すごく大きな
体験でした ああ、この人たちはすごい志をもって音楽に取り
組んでいるんだな、と 全然すれていない 全然始めた頃の
気持ちを失っていない ぼくはむしろ自分が恥ずかしくなりま
した その帰りに一人飲みながら思うことは少なくなかったで
す おい、小尾 お前はまだ全然駄目じゃんかと」

クリックすると元のサイズで表示します

渋谷『国境の南』の羽田野純夫さんと

ーー音楽評論家といってもなかにはヒドいのもいます

「言っていることに一貫性がなかっったり 単なるお調子者だ
ったり 長いセンテンスの文が書けない 機を見るに敏なだけ
とか もう荒れ果てていますね(苦笑)まあぼくは自分の仕事
をやるだけなのですが、、、小尾っていうのは売れてもいない
し有名でもないけどコツコツやっているな と思っていただけ
れば嬉しいです」

ーー佐野元春さんもそこら辺を見ていてくれたと思います

「自分のことは解らないですけれど あの人の触覚というか
直感力というのはいつも研ぎ澄まされています たとえ無名で
それほど実績がなくっても ひらめいたら指名する 登用する
そういう意味でも常に行動的な人であることは間違いないです」

ーー健康に気を付けてワイルドライフに別れを告げた?

「ワイルドライフがロックンロールだと未だに勘違いしている
ひとたちもいますが ぼくはもうそういう時期はやり過ごしま
した すごく象徴的に言えば自由になりたいという願望は深酒
を誘発しますが 本当に自由になってみると(社会から放り出
されてみると)お酒との付き合いも自制をもったものへと変化
していくんですね まあ現実面でそれほどお金が使えないとい
う側面も大きいのですが(笑)」

ーー早寝早起き 和食中心 ウォーキング

「だから夜型の編集者とは真逆の生活だから彼らに合わせるの
は大変です(笑) ぼくが仕事を終えて一杯やり出す頃 彼ら
は出社してきたりしますから」

ーーそんなに小説が好きだったら小説家になれば? と皮肉を
込めて小尾さんを攻撃した音楽評論家もいましたね 小尾さん
のドニー フリッツ取材にいちゃもん付けたりして(苦笑)

「だからそもそもものごとの見方が狭いし 貧しいと思う
そんなことを言っているから音楽馬鹿になっている 井の中
の蛙になっていることに気がつかない ディランのことを書い
てもディランの音楽がまったく伝わってこない 可哀想な人
だとぼくは思っています これから和解することもないだろ
うし 付き合っていくつもりもありません」

ーーまあイヤなことは忘れて 今日も歩きましょう

「歩く 本を読む 音楽を聞く 文章を書く 食事を作る
友と語らう そのどれもが等価であるんですね まあ地味で
すけど それを大事にしていきたいと思っています
長生きしたい もっと本を読みたいなって ここ数年やっと
思えてきたんです」

クリックすると元のサイズで表示します

レコード店『ペットサウンズ』の森勉さんと
お茶の水のウッドストック カフェにて

クリックすると元のサイズで表示します

編集者のバシコちゃんと 中目黒のバードソング カフェにて



トラックバックURL

トラックバック一覧とは、この記事にリンクしている関連ページの一覧です。あなたの記事をここに掲載したいときは、「記事を投稿してこのページにお知らせする」ボタンを押して記事を投稿するか(AutoPageを持っている方のみ)、記事の投稿のときに上のトラックバックURLを送信して投稿してください。
→トラックバックのより詳しい説明へ



teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ