東京ローカル・ホンクの木下弦二さんから初めて電話をもらったのは もう二年ほどまえの夏だったろうか その時にどういう会話をしたのかは忘れてしまったが 僕たちのバンドを知って欲しい 聞いてみて欲しいという彼の気持ちだけはまっすぐに伝わってきた これも何かの縁(えにし)かと思いその後の僕は彼らのライヴに幾度となく足を運び またこれからも もっとライヴに行ってみようという思いは募るばかりだ 東京ローカル・ホンクの良さをどう表現すればいいのかはよく解らないのだが 今日もまた僕と同じように東京の空を眺め 同じような街並を歩き 戸惑いながらも呼吸をしていることは間違いなかった そんな風に自分の側にいるという親しみを持てるバンドに出会ったことに奇跡にも近いような感慨を抱いた まるで広告代理店が書いたような気取った歌詞や 見せかけのポーズや虚勢 あるいは英雄的な態度に終始しがちな日本の音楽シーンのなかで 彼らはいつもの商店街を行き交う人々を観察し 各駅停車の窓から流れる雲を追いかけたりしていた 彼らの織りなすサウンドスケープもまた大向こうを張るのではなく 微妙な感情や陰影そして日向の匂いをデリケートに運び込んできた ときには伊豆半島まで遠出したり草の燃える匂いを嗅ぎながら 結論を急がない心のありようみたいなものは形になりにくい でも僕は東京ローカル・ホンクの答えとか結論を求めない音楽のあり方に惹かれ続けている そうまるで池に投げられた小石のように (小尾隆 2009年6月23日:記)

2007/2/28

リリー、ローズマリーそしてハートのジャック  Rock N Roll

ボブ・ディランは難しいという人がいる
ディランってラップ ミュージックみたい! と感動する若者も知っている
そんなことも全部ひっくるめて ディランという気がします

俺はディランのアルバム全てを聞いてきたわけではないが
一番好きなのは「血の轍」(74年)

あえて 解りやすく言うのですが
「ハイウェイ61再訪」が強情な 突っ走った作品だとしたら
「血の轍」には とても弱虫で 素直なディランがいます
(勇ましい「愚かな風」もあるのですが)

ジョン・レノンと対応させると 彼の「壁と橋」アルバムにすごく
近い匂いがする 何だか「弱い」人間に寄り添ってくれるような歌が詰まっているのだ
弱い人間が アコースティック主体のサウンドから
零れ落ちてくる
そんな感じだ

弱いとか強いとかも 人間の方便に過ぎないことを
俺はこの半年巡った 自分の逡巡のなかで
思い知らされました

強い人間が実は弱くて
弱い人が実は力を持っている
そんなことを 実感させられたこともあります

当たり前だ
この俺のなかのたった1日のなかでも弱さと強さが繰り返している

どうか このアルバムに収録された「リリー、ローズマリーとハートのジャック」を
聞いて頂きたい
髪の染色を洗い落として ただ「ぼんやりと」しているリリーのことすら
言葉にならない言葉で
歌われているのだから






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