東京ローカル・ホンクの木下弦二さんから初めて電話をもらったのは もう二年ほどまえの夏だったろうか その時にどういう会話をしたのかは忘れてしまったが 僕たちのバンドを知って欲しい 聞いてみて欲しいという彼の気持ちだけはまっすぐに伝わってきた これも何かの縁(えにし)かと思いその後の僕は彼らのライヴに幾度となく足を運び またこれからも もっとライヴに行ってみようという思いは募るばかりだ 東京ローカル・ホンクの良さをどう表現すればいいのかはよく解らないのだが 今日もまた僕と同じように東京の空を眺め 同じような街並を歩き 戸惑いながらも呼吸をしていることは間違いなかった そんな風に自分の側にいるという親しみを持てるバンドに出会ったことに奇跡にも近いような感慨を抱いた まるで広告代理店が書いたような気取った歌詞や 見せかけのポーズや虚勢 あるいは英雄的な態度に終始しがちな日本の音楽シーンのなかで 彼らはいつもの商店街を行き交う人々を観察し 各駅停車の窓から流れる雲を追いかけたりしていた 彼らの織りなすサウンドスケープもまた大向こうを張るのではなく 微妙な感情や陰影そして日向の匂いをデリケートに運び込んできた ときには伊豆半島まで遠出したり草の燃える匂いを嗅ぎながら 結論を急がない心のありようみたいなものは形になりにくい でも僕は東京ローカル・ホンクの答えとか結論を求めない音楽のあり方に惹かれ続けている そうまるで池に投げられた小石のように (小尾隆 2009年6月23日:記)

2007/2/3

放たれる言葉たち 輝き出す音楽たち  Rock N Roll

  「ブリクストンは彼女の町」

ブリクストン おお ブリクストン
うす曇りの空のもと この町の朝が始まる
青果の市場が立つ 七面鳥売りが大声を出す
うす曇りの空のもと この町の朝が始まる

キャロンのお父さんはジャマイカに生まれた
キャロンのお母さんもジャマイカに生まれた
お父さんは仕事を探してロンドンに辿り着いた
お母さんもお父さんと一緒に この町にやってきた

ブリクストン おお ブリクストン
午後になり 窓に薄光りが差し込む
この町にはネイルアートの店やヘアカットのショップがいっぱい
キャロンの自慢は 幾多にも織り込んだドレッドヘア

ある日 キャロンは学校で男の子たちに言われた
どうしてきみの肌は茶褐色なの?
ある日 キャロンは学校で女の子たちにも言われた
どうしてあなたはジャマイカに戻らないの?

町では暴動が起こっていた
ナショナルフロントやネオナチが 白人優位主義を唱えていた

家に帰ると キャロンはお父さんに訊いてみた
家に帰ると キャロンはお母さんにも訊いてみた
「ねえ どうしてこんなに寒い町にやってきたの?」
彼らはただ黙っていた 外には雪が降り積もっていた

ある日 キャロンは歌い始めた
彼女が作って歌ったのは 「UKブラック」という歌だった
それは とても誇らしい歌だった
私はロンドンに住むジャマイカ人 そんな歌だった

ブリクストン おお ブリクストン
うす曇りの空のもと この町の朝が始まる
青果の市場が広がる 七面鳥売りが大声を出す
町の片隅で  レゲエ音楽が鳴り響いている
それは まるで祈りのように鳴り響いている



  ☆小尾が作ったスポークン・ワーズ作品です☆

   勇敢なロック・グループ、クラッシュと
   可愛いガール・グループ、ブラウンシュガーと
   キャロン・ウィラーのソウルのために
   そして優しいリコ・ロドリゲスのために

   あなたたちの音楽と出会ったことに
   僕は感謝しています

               winter 007
                小尾 隆
   

2007/2/3

ピアニストを撃つな!〜ケンタローのブギ  

ブルース〜ブギウギのピアノマン、ケンタローさんのライヴを
@池袋ポルカドッツで楽しんだ
「ファイヴ・ロング・イヤーズ」「モージョ・ウォーキン」「ストーミー・マンディ」
といった定番ブルース・ナンバーからプロフェッサー・ロングヘアやヒューイ”ピアノ”
スミスのニューオーリンズR&Bまでを
ときに自身の吹くカズーや相方であるウメサキさんのドラムスを交えながら弾き 歌う
後半レイ・チャールズの名曲「ハード・タイムス」が始まった頃には
ちょっと目頭が熱くなってしまった

以前も書いたけれど 生のピアノを聞ける機会は意外と少ない
持ち運びの不便さといった点でも
ギターに大きく水を開けられてしまった感がある
それでも ピアノはいいなあと思う
いやあ 生で聞くピアノは本当にいい

ざっとストーンズ周辺に限って見渡してみても
イアン”スチュ”スチュワート、ニッキー・ホプキンス、イアン”マック”マクレガンと
いった地味ながら立派な達人たちが脇をビシッと締めていた

開演まえと開演後に何度かお話をさせて頂いたケンタローさん
またお会いしましょう!
ジョニー・ジョンソンからジェリー・リーへ
ファッツ・ドミノからドクター・ジョンへ
そんなピアニストたちのとても大きな水脈にも   
改めて 祝杯を




2007/2/2

きみは川のほとりで最後のため息を付く  Rock N Roll

一体 僕は何のためにロック バーに行くのだろう?
たぶんほとんどのLPやCDは 自宅にもある
家で聞いたほうが ずっと安上がりだなあと思う
家で聞いたほうが ずっと集中出来るし 終電を気に留めることもない

もうひとつの声が聞こえる
もうひとつの声が聞こえてくる
僕はロック音楽の向こう側に 彼や彼女の現在を知りたいのだ
彼は僕と同じように向こう見ずな高校生だったかもしれないし
彼女は放課後の教室で一人俯いていた 僕と同じような高校生だったかもしれない

すべてのことは移ろいていく 
すべての季節は変わっていく
でも 僕の手のひらは
きみに「さようなら」を言えなくて
ポケットのなかで  まだ宛先を探している
探している


 








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