東京ローカル・ホンクの木下弦二さんから初めて電話をもらったのは もう二年ほどまえの夏だったろうか その時にどういう会話をしたのかは忘れてしまったが 僕たちのバンドを知って欲しい 聞いてみて欲しいという彼の気持ちだけはまっすぐに伝わってきた これも何かの縁(えにし)かと思いその後の僕は彼らのライヴに幾度となく足を運び またこれからも もっとライヴに行ってみようという思いは募るばかりだ 東京ローカル・ホンクの良さをどう表現すればいいのかはよく解らないのだが 今日もまた僕と同じように東京の空を眺め 同じような街並を歩き 戸惑いながらも呼吸をしていることは間違いなかった そんな風に自分の側にいるという親しみを持てるバンドに出会ったことに奇跡にも近いような感慨を抱いた まるで広告代理店が書いたような気取った歌詞や 見せかけのポーズや虚勢 あるいは英雄的な態度に終始しがちな日本の音楽シーンのなかで 彼らはいつもの商店街を行き交う人々を観察し 各駅停車の窓から流れる雲を追いかけたりしていた 彼らの織りなすサウンドスケープもまた大向こうを張るのではなく 微妙な感情や陰影そして日向の匂いをデリケートに運び込んできた ときには伊豆半島まで遠出したり草の燃える匂いを嗅ぎながら 結論を急がない心のありようみたいなものは形になりにくい でも僕は東京ローカル・ホンクの答えとか結論を求めない音楽のあり方に惹かれ続けている そうまるで池に投げられた小石のように (小尾隆 2009年6月23日:記)

2007/4/20

サザーン・ボーイがそっと胸に手を当てた  

19日はトニー・ジョー・ホワイトの取材を
横浜国際ホテルで行った

編集部の祢屋康さん 通訳の前むつみさんと
ロビーで待っていたら
あのトニー・ジョー・ホワイトが登場!
こちらに歩み寄ると いきなり握手を求めてくる

約1時間 用意した20の質問はほぼ出来たし
ロリー・ギャラガーやエディ・ヒントンへの賛辞
そして勿論 彼が思う「スワンプ音楽」のことまで
いろいろな話を聞くことも出来た

当日の夜 横浜サムズアップで行われたライヴ演奏は
渋谷公演と同じく「リッチー・ウーマン・ブルース」や
「ストックホルム・ブルース」の弾き語りに
始まりティナ・ターナーに書いた「スティミー・ウィンドウズ」まで
基本的な構成に変わりはない

しかし 前述したロリーとエディの話に絡めれば
渋谷で演奏した「飛ぶカラスのように」はやらずに
「ホングリー・オブ・300ポンド」を歌うなど
部分部分はやはり流動的なもので
お楽しみのリクエスト・タイムでは
なんと「フォー・オールド・タイム・セイク」の声に応えた
まさに懐かしい曲だ

ブルースのライヴをコール&レスポンスだと短絡して
やたら大きい声で掛け合いをする弱冠約1名の客が
うるさいなあ とは正直思った
それも静寂を聞き取るようなバラード「雨のジョージア」の時なら
なおさらだ
みんながそれぞれ内なる「ブルースとの対話」をしているのに
それはないだろう

とはいえ 「うわあ濃いものを聞いたなあ」という確かな手応えが
取材も含めて今もまだ残る素晴らしい一日だった
「ツアーが終わったら釣りに行くのさ」と語っていたトニー・ジョーは
飾らず実直でリアルなサザーン・ボーイといった風情だ

音楽の動機に関わる根本的な質問をぶつけたら
彼は分厚い胸に そっと手を当てた









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