東京ローカル・ホンクの木下弦二さんから初めて電話をもらったのは もう二年ほどまえの夏だったろうか その時にどういう会話をしたのかは忘れてしまったが 僕たちのバンドを知って欲しい 聞いてみて欲しいという彼の気持ちだけはまっすぐに伝わってきた これも何かの縁(えにし)かと思いその後の僕は彼らのライヴに幾度となく足を運び またこれからも もっとライヴに行ってみようという思いは募るばかりだ 東京ローカル・ホンクの良さをどう表現すればいいのかはよく解らないのだが 今日もまた僕と同じように東京の空を眺め 同じような街並を歩き 戸惑いながらも呼吸をしていることは間違いなかった そんな風に自分の側にいるという親しみを持てるバンドに出会ったことに奇跡にも近いような感慨を抱いた まるで広告代理店が書いたような気取った歌詞や 見せかけのポーズや虚勢 あるいは英雄的な態度に終始しがちな日本の音楽シーンのなかで 彼らはいつもの商店街を行き交う人々を観察し 各駅停車の窓から流れる雲を追いかけたりしていた 彼らの織りなすサウンドスケープもまた大向こうを張るのではなく 微妙な感情や陰影そして日向の匂いをデリケートに運び込んできた ときには伊豆半島まで遠出したり草の燃える匂いを嗅ぎながら 結論を急がない心のありようみたいなものは形になりにくい でも僕は東京ローカル・ホンクの答えとか結論を求めない音楽のあり方に惹かれ続けている そうまるで池に投げられた小石のように (小尾隆 2009年6月23日:記)

2007/6/5

メタボラ〜再生への意志  文学

圧倒的な590ページだった
桐野夏生の新刊長編小説「メタボラ」を溢れるような思いとともに
読み終えた
耳を塞ぎたくなるような過酷な現代社会で
二人の青年がある日偶然出会い 別れ 自問や煩悶を繰り返しながら
再会する物語
これは素晴らしい

あくまで自分の物差しでいえば
村上春樹の「羊をめぐる冒険」や
奥田英朗の「サウスバウンド」級の面白さ
むろん共通するテーマは<冒険>であり
<再生>への自発性だ

荒れ果てた光景や死のメタファーには震えがくるほどだが
これが日本の現実だと知るためにも必読だろう
一人の青年は集団自殺の生き残り
もう一人の青年は金持ちの家から脱走者
この二人の主人公が出会うことから
物語は始まっている

桐野さんのHPはhttp://www.kirino-natsuo.com/



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