東京ローカル・ホンクの木下弦二さんから初めて電話をもらったのは もう二年ほどまえの夏だったろうか その時にどういう会話をしたのかは忘れてしまったが 僕たちのバンドを知って欲しい 聞いてみて欲しいという彼の気持ちだけはまっすぐに伝わってきた これも何かの縁(えにし)かと思いその後の僕は彼らのライヴに幾度となく足を運び またこれからも もっとライヴに行ってみようという思いは募るばかりだ 東京ローカル・ホンクの良さをどう表現すればいいのかはよく解らないのだが 今日もまた僕と同じように東京の空を眺め 同じような街並を歩き 戸惑いながらも呼吸をしていることは間違いなかった そんな風に自分の側にいるという親しみを持てるバンドに出会ったことに奇跡にも近いような感慨を抱いた まるで広告代理店が書いたような気取った歌詞や 見せかけのポーズや虚勢 あるいは英雄的な態度に終始しがちな日本の音楽シーンのなかで 彼らはいつもの商店街を行き交う人々を観察し 各駅停車の窓から流れる雲を追いかけたりしていた 彼らの織りなすサウンドスケープもまた大向こうを張るのではなく 微妙な感情や陰影そして日向の匂いをデリケートに運び込んできた ときには伊豆半島まで遠出したり草の燃える匂いを嗅ぎながら 結論を急がない心のありようみたいなものは形になりにくい でも僕は東京ローカル・ホンクの答えとか結論を求めない音楽のあり方に惹かれ続けている そうまるで池に投げられた小石のように (小尾隆 2009年6月23日:記)

2007/7/11

今夜は毛沢東と話したくない  

掛かってくる電話といえば まず原稿依頼やら原稿催促であることが
圧倒的に多いワタクシだが
平日の夕方  近所のスーパーで買い物をしていると 
友達から携帯に連絡が入る
何でも仕事の休憩中 コーヒータイムとのこと
「風の噂に聞いたが 本を出すんだって? 
良かったな〜!」

そういえば先日も図書館にいたら
遥か遠くの土地から電話が入った
「おびっち、東京に戻りたいよ」
あ 俺にも友達がいたんだ(苦笑)

電話だとどうしても必要最低限の連絡内容になってしまうし
かつてあった「深夜の長電話」の役割は今や
メールへと完全に移行しつつあると思うが
直に肉声が聞こえるというのはやはりいいものだ
そして背後にその人を取り巻く空気を感じる

親から自立して社会人となり勤め人になったり
結婚して出産するというのが人生の大きな選択肢だとすると
そうした環境で新しい友達を作ることは とても難しい
職場や家庭というしがらみがどうしても名をもたげてしまうからだ
僕の場合?  飲み屋で知り合った連中ばっかり(笑)

ただし 酔った勢いで「また今度!」とか「必ず連絡するから」と言う
人間はとても多いが
重要なのはその後の時間なのだ
人を天秤にかけるような物言いはあまりしたくないけれども
一定の信頼関係を築くためには時間というスパンがいるし
何よりも こんなにちっぽけな自分のどこを見ていてくれているか
が やがて太い幹となる
そうでなければ「へえ、音楽の記事とか書いているんですね」で
話は終わってしまう

だから今夜は毛沢東とは話したくない
だから今夜は安倍晋三とは話したくない
だから今夜はジョージ ブッシュとは話したくない
だから今夜は赤城徳彦とは話したくない




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