東京ローカル・ホンクの木下弦二さんから初めて電話をもらったのは もう二年ほどまえの夏だったろうか その時にどういう会話をしたのかは忘れてしまったが 僕たちのバンドを知って欲しい 聞いてみて欲しいという彼の気持ちだけはまっすぐに伝わってきた これも何かの縁(えにし)かと思いその後の僕は彼らのライヴに幾度となく足を運び またこれからも もっとライヴに行ってみようという思いは募るばかりだ 東京ローカル・ホンクの良さをどう表現すればいいのかはよく解らないのだが 今日もまた僕と同じように東京の空を眺め 同じような街並を歩き 戸惑いながらも呼吸をしていることは間違いなかった そんな風に自分の側にいるという親しみを持てるバンドに出会ったことに奇跡にも近いような感慨を抱いた まるで広告代理店が書いたような気取った歌詞や 見せかけのポーズや虚勢 あるいは英雄的な態度に終始しがちな日本の音楽シーンのなかで 彼らはいつもの商店街を行き交う人々を観察し 各駅停車の窓から流れる雲を追いかけたりしていた 彼らの織りなすサウンドスケープもまた大向こうを張るのではなく 微妙な感情や陰影そして日向の匂いをデリケートに運び込んできた ときには伊豆半島まで遠出したり草の燃える匂いを嗅ぎながら 結論を急がない心のありようみたいなものは形になりにくい でも僕は東京ローカル・ホンクの答えとか結論を求めない音楽のあり方に惹かれ続けている そうまるで池に投げられた小石のように (小尾隆 2009年6月23日:記)

2007/7/24

ニルスの不思議な旅  

ときどき人から「どんな音楽が一番お好きなんですか?」と
尋ねられることがある
簡単な答えをすぐに出しても 理解してはくれないだろうし
一晩かけて説明するというのも 野暮というものだろう
だいいち 人と人とが そんなに簡単に了解し合えるものだとは
僕は思っていない

同じような服装のセンス 同じような音楽の趣味
あるいは同じような価値観
そんな親しげな空間に身を預けた途端に
息苦しくなってしまう瞬間が僕にはある
そんな時は 無性にひとりぽっちになりたくなる

ニルス ロフグレンの歌やギターを聞きたくなるのは
きまって そんな時だ
溌剌としているけれど 威張ってはいない
早弾きもするけれど 曲芸に終わらない
飄々としながらも照れ屋みたいな部分がすごく感じられて
きっと いい人なんだろうなと
しみじみ思わせる

キャロル キングがジェリー ゴフィンと作った
「ゴーイング バック ホーム」をニルスが歌うと
切迫感が増す
けっして力量のある声の持ち主ではないのだが
本当に家に帰りたいと思っているように
ニルスは歌うのだ





2007/7/24

価値あるもののために#2  Rock N Roll

小尾が最も信頼を寄せる音楽家、佐野元春のHPにて
小尾の著作が紹介されています
way to go→ http://www.moto.co.jp


なお 同ページでは 佐野本『ロックンロールとセンチメンタリズムの間に』
について 小尾が「佐野元春〜ラジカルな知性」というテキストを
佐野の新作アルバム『COYOTE』に関して 「曇り空の彼方に描かれた一筋の光」
という評論文を寄せています

よろしければ読んでみてください



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