東京ローカル・ホンクの木下弦二さんから初めて電話をもらったのは もう二年ほどまえの夏だったろうか その時にどういう会話をしたのかは忘れてしまったが 僕たちのバンドを知って欲しい 聞いてみて欲しいという彼の気持ちだけはまっすぐに伝わってきた これも何かの縁(えにし)かと思いその後の僕は彼らのライヴに幾度となく足を運び またこれからも もっとライヴに行ってみようという思いは募るばかりだ 東京ローカル・ホンクの良さをどう表現すればいいのかはよく解らないのだが 今日もまた僕と同じように東京の空を眺め 同じような街並を歩き 戸惑いながらも呼吸をしていることは間違いなかった そんな風に自分の側にいるという親しみを持てるバンドに出会ったことに奇跡にも近いような感慨を抱いた まるで広告代理店が書いたような気取った歌詞や 見せかけのポーズや虚勢 あるいは英雄的な態度に終始しがちな日本の音楽シーンのなかで 彼らはいつもの商店街を行き交う人々を観察し 各駅停車の窓から流れる雲を追いかけたりしていた 彼らの織りなすサウンドスケープもまた大向こうを張るのではなく 微妙な感情や陰影そして日向の匂いをデリケートに運び込んできた ときには伊豆半島まで遠出したり草の燃える匂いを嗅ぎながら 結論を急がない心のありようみたいなものは形になりにくい でも僕は東京ローカル・ホンクの答えとか結論を求めない音楽のあり方に惹かれ続けている そうまるで池に投げられた小石のように (小尾隆 2009年6月23日:記)

2007/11/1

第18回  Rock N Roll

〜このシリーズはobinがロックだと感じた曲を古今東西を問わず紹介しています
必ずしも原曲の歌詞に忠実というわけではありませんが これはfeel it ! by obinという
ことなので〜

☆マーサ&ザ ヴァンデラス「ダンシング イン ザ ストリート」☆

”夏が来た ブランニューなビートとともに町に繰り出して踊りましょう
あなたがシカゴ出身でもニューオーリンズでもニューヨークでも
そんなことは関係ない 肝心なのは音楽を感じる心なの”

というのが歌詞の大意
とにかく曲が明るい! 開放感を伴いひたすら天にまで昇っていくような響きが
ある 「ニューオーリンズでもニューヨークでも」と韻を踏むところも
鉄壁のモータウン サウンドに乗って実にカッコイイ!
素晴らしい映画「永遠のモータウン」のエンドロールに使用されていたのも
同曲だった

あの時代の賛美歌のようなものだったのかもしれない

一般的には60年代に全米で盛り上がった公民権運動の波と重なるように
語られている曲であり 歌詞を誤解したラジオ局が「暴動」の歌と思い込み
一時は放送を自粛することもあったらしい さもありなん

ちなみに同じR&Bでは バーバラ ルイスの「ハロー ストレンジャー」
にも崇高なメッセージが込められている
それは「知らない人よ、こんにちわ あなたを理解するには長い時間が
かかるかもしれないけれど」と
他者との関係性を辛抱強く築いていこうというアティチュードに満ちている

ちなみに佐野元春の「冒険者たち」には
「ラジオに流れるR&B」というくだりがある
歌の主人公は せっかくの土曜の午後だというのに
「仕事で車を走らせている」
つまりもうそれほど若くはなく もうそれほど
無邪気な年頃でもなく、、、といった設定である

その曲に佐野が込めたR&Bが果たしてどういう曲かは
私は知らない
ただ そこに「ダンシング イン ザ ストリート」や
「ハロー ストレンジャー」を
あるいは恋する気持ちが爆発した「ヒートウェイヴ」
(こちらもヴァンデラス)を重ね合わせてみる時
それらのR&Bも 佐野の「冒険者たち」も 
一層の輝きを見せていく

音楽とはそうしたイマジネイションの賜物だと思う






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