東京ローカル・ホンクの木下弦二さんから初めて電話をもらったのは もう二年ほどまえの夏だったろうか その時にどういう会話をしたのかは忘れてしまったが 僕たちのバンドを知って欲しい 聞いてみて欲しいという彼の気持ちだけはまっすぐに伝わってきた これも何かの縁(えにし)かと思いその後の僕は彼らのライヴに幾度となく足を運び またこれからも もっとライヴに行ってみようという思いは募るばかりだ 東京ローカル・ホンクの良さをどう表現すればいいのかはよく解らないのだが 今日もまた僕と同じように東京の空を眺め 同じような街並を歩き 戸惑いながらも呼吸をしていることは間違いなかった そんな風に自分の側にいるという親しみを持てるバンドに出会ったことに奇跡にも近いような感慨を抱いた まるで広告代理店が書いたような気取った歌詞や 見せかけのポーズや虚勢 あるいは英雄的な態度に終始しがちな日本の音楽シーンのなかで 彼らはいつもの商店街を行き交う人々を観察し 各駅停車の窓から流れる雲を追いかけたりしていた 彼らの織りなすサウンドスケープもまた大向こうを張るのではなく 微妙な感情や陰影そして日向の匂いをデリケートに運び込んできた ときには伊豆半島まで遠出したり草の燃える匂いを嗅ぎながら 結論を急がない心のありようみたいなものは形になりにくい でも僕は東京ローカル・ホンクの答えとか結論を求めない音楽のあり方に惹かれ続けている そうまるで池に投げられた小石のように (小尾隆 2009年6月23日:記)

2008/4/2

アストラル ウイークス  

「僕を探し出すことが出来るかな?」と歌われる
冒頭の表題曲から「あなたのそばに」へと連なる
そんな流れが好きで 何度でも針を降ろしたくなるのが
ヴァン モリソンの『アストラル ウィークス』(68年)だ

音楽も言葉もことさら定型に終始せず
時間や意識のぼんやりとした流れに沿って
ゆっくりと進められていく
そんな意味ではリチャード ディヴィスと
コニー ケイによる
なだらかな丘陵を昇っていくような
リズムがアルバムに淡い彩りを与えていく

この作品をティム バックリーやラヴの音楽に
通じていると指摘していた若い書き手を
つい最近 見つけたのだが
なるほど

それにしても『星のような週間』というタイトルの
何と秀逸なこと
それが一週間であっても 四週間であったとしても
聞き手はそれぞれの ”ウィークス” に思いを馳せる
朝のまどろみから
ムーンシャイン ウィスキーが溢れる夜までを

終曲「スリム スロウ スライダー」では
”雪のように白い馬に乗って” いる恋人が
まるで長距離列車のように やって来る
夜明けにそっと訪れる


















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