東京ローカル・ホンクの木下弦二さんから初めて電話をもらったのは もう二年ほどまえの夏だったろうか その時にどういう会話をしたのかは忘れてしまったが 僕たちのバンドを知って欲しい 聞いてみて欲しいという彼の気持ちだけはまっすぐに伝わってきた これも何かの縁(えにし)かと思いその後の僕は彼らのライヴに幾度となく足を運び またこれからも もっとライヴに行ってみようという思いは募るばかりだ 東京ローカル・ホンクの良さをどう表現すればいいのかはよく解らないのだが 今日もまた僕と同じように東京の空を眺め 同じような街並を歩き 戸惑いながらも呼吸をしていることは間違いなかった そんな風に自分の側にいるという親しみを持てるバンドに出会ったことに奇跡にも近いような感慨を抱いた まるで広告代理店が書いたような気取った歌詞や 見せかけのポーズや虚勢 あるいは英雄的な態度に終始しがちな日本の音楽シーンのなかで 彼らはいつもの商店街を行き交う人々を観察し 各駅停車の窓から流れる雲を追いかけたりしていた 彼らの織りなすサウンドスケープもまた大向こうを張るのではなく 微妙な感情や陰影そして日向の匂いをデリケートに運び込んできた ときには伊豆半島まで遠出したり草の燃える匂いを嗅ぎながら 結論を急がない心のありようみたいなものは形になりにくい でも僕は東京ローカル・ホンクの答えとか結論を求めない音楽のあり方に惹かれ続けている そうまるで池に投げられた小石のように (小尾隆 2009年6月23日:記)

2008/5/30

ライオンは寝ている  

雨の日 本日の電話は 計6本
何もないよりは いい

2008/5/29

鈴木博文『9番目の夢』  

音楽について語る言葉が
音楽に追いついていない
そんな貧しさを感じるときがある

そんなことで眠れない時に取り出す本が
僕の場合 友部正人の詩集であったり
鈴木博文の『9番目の夢』だったりする

音楽を自分に引き寄せてみせる
はちみつぱいやムーンライダーズの場合であれば
大田区や大森の匂いであったりする

音楽という抽象を捉える言葉が
具体的であればいいとは思わない
むしろ曖昧のなかに言葉は宿る




2008/5/28

デイヴ メイソン健在なり!  

あまり語ってくれないという風評だったメイソンですが
予想を覆して よく喋ってくれました
これも通訳さんのお陰だろう

詳しくは来月発売の『ストレンジデイズ』誌を読んで
頂ければと思うが ヘンドリクスのこと エリックのこと
ジム キャパルディのこと
そしてジョージ ハリソンのことなどを
とても素直な言葉で語ってくれました

かつての盟友であるウィンウッドのことに話を向けると
なかなか複雑でしたけれど、、、

ちなみに彼は今も年間80〜120回くらいのライヴをこなし
本当に久しぶりとなるニューアルバムも完成させたという








2008/5/26

5月25日  

東小金井にある海風(うみかじ)という店で
約半年ぶりに東京ローカル ホンクのライヴを見た
四人が出す音の混ざり具合がとにかく繊細で絶妙な
バンドなので 何度でも見たくなる

というか 彼らのなかに流れている淡いリズムの波
時間の緩やかな流れが 共有できる種類のものなので
あっと言う間に 心地好い時間が過ぎていった

どんな時代でも 音楽を感じる以前に
犬も喰わないような理屈(註1)ばかりを並べたてる人がいるが
もう少し静かに空間を楽しんだり
大きな時間に身を委ねることが出来ないものだろうか?

挨拶もそこそこに店から出て駅まで歩いていると
メンバーの木下弦二さんが走ってきて声を掛けてくる
律儀な人である(笑)
いやはや またお会いしましょう


(註1)たとえば70年代であれば
吉田拓郎の「知識」を思い起こされたい
この曲で拓郎は いわゆる文化人や高踏的(註2)な態度を
取る人々に 容赦なく怒りをぶつけている
またエリオット マーフィの曲に「考えすぎるな
感じろよ」というのがあるが これに関しては
去りゆく恋人を引き止める男の懇願とも解釈出来よう


(註2)高踏的(こうとうてき)
 世俗を抜け出して けだかく身を処すること
 または ”お高く” とどまっていること
 
 
 







2008/5/24

5月24日  文学

群像劇のようなものが好きなのかもしれない
そんなことを考えながら読み進めているのが
黒川創の『かもめの日』(新潮社)だ

この小説も 同時進行で ”主人公たち” が
複数で動き出し
期せずして符合していくストーリーが面白い

ひとりを主人公に据えた場合には
一本調子になりがちな場面も
他者の視点を介在させることで
重層的になっていく

というわけで
今日も書かなければいけない原稿を
見送ってしまった












2008/5/21

ウィンウッド、再び  

究極の1枚といったら77年のファーストソロでしょうが
本日はトラフィック時代の『ジョン バルレコーン』と
『ホエン ジ イーグル フライズ』を聞き直す
とても今から30数年以上前の音楽とは思えない

楽曲単位でいえば「エヴリ マザーズ サン」なんて
ザ バンドの「キング ハーベスト」級の出来なのだが、、、
音楽的に高度過ぎると大衆の支持を得られないというテーゼは
今も昔も変わらないのかも

言葉の人でも メロディの人でもない?!
じゃあ ウィンウッドはどういう人なんだ?
そうした問いには
サウンドスケープを描き出す人と答えるしかない

言葉による「共感」でも
メロディアスな「フック」でもなく
ウィンウッドは ”音”や ”響き” を辛抱強く熟成させていく職人なのだ

だから 理解するのにとても時間がかかる

一般的にテクノ時代の産物とされる
『アーク オブ ア ダイバー』や『トーキング バック トゥ
ザ ナイト』にさえも
彼のヒューマン ソウルは宿っている

「スローダウン サンダウン」で大きくグラインドするピアノに
僕は レイ チャールズの痕跡を感じてならない


















2008/5/18

5月18日  

スティーヴ ウィンウッドの新作『ナイン ライヴズ』が素晴らしい
もう30回くらい聞き惚れています

20日発売のストレンジデイズ誌で僕なりのウィンウッド考察をある程度
まとまった文字数で書かせてもらったのだが
とにかくこの人の紡ぎ出すリズムのさざ波というのは
繊細なうねりや 穏やかな起伏を感じさせる

音楽的にとても高度なことを シンプルに伝えること
そうした引き算の美学に価値を見出してしているような人なので
一見 何でもないように聞こえてしまうのだが
自由な空間に各楽器をフロウさせていく感覚は
トラフィック時代から培われてきたものだ

音楽的な自由とは何か?
ベースの音が重過ぎるなら ベースを外してしまう
ドラムスの定型ビートが息苦しいのであれば
パーカッションにシフトしながら
音楽の枠組みを考えていく
そんなことかもしれない

音の肌触りだけを取っても
ハモンドB3のヴィンテージな音色と
ナイロン弦を張ったギターとの取り合わせや
ミニマル〜アフロ ビート的な変拍子を中心に
据えるといった試みが 気持ちいい

とくに今回は
「アナザー ショア」という引っ掻き傷のような名曲も
最後に控えている















2008/5/16

発売日が若干遅れます  

お待たせしている拙書ですが
発売日がやや遅れます
これは印刷工程に於いてトラブルが発生したためで
現在やり直しを行っています                         
製品としてベストを目指すための措置として
ご理解いただければ幸いです

発売日の詳細が決定次第 担当者がここに書き込みを
しますので 何卒もう少々お待ちください

なお今月末から始まるイベントに間に合わない
ということはありませんので
その点はどうかご安心くださいませ

関係各位におかれましては
またご迷惑をお掛けすることになってしまいました
申し訳ありません

小尾










2008/5/14

5月14日〜されどレコードを売る日々  

マディのLP11枚組ボックスを
昨日から久しぶりに通して聞いている
素晴らしい! 圧巻である!
いわゆるシカゴのバンド サウンドを確立するまでの
つぶさな過程が克明に、、、というお勉強はともかく
結局は「マニッシュボーイ」「アイム レディ」最高!
という高校生程度のハナシになってしまう(笑)

本日は近所のレコ屋でクズLP15枚を処分
しめて4500円(平均300円)とまずまずのヒット
労働者以下のプーである私にとっては
恥ずかしながら大金である(涙)

そういえばフリーになってから
外に呑みに行く機会が減ってしまった











2008/5/13

5月13日〜only you know i know  

最近はヨットで仙人の如く暮らしているという
デイヴ メイソンですが
電話インタヴューの質問事項を午前いっぱいで
まとめた

何でもメイソン氏 寡黙な故に
「昔のことは、、、覚えていない」
「知らない、、、」と
取材者泣かせの人らしい

そんな彼であるからにして
なるべく意識してフラットな質問を
心掛けてみたのだが
実際に大変なのは通訳さんであろう

それにしてもメイソンがかつて洋楽シーン
を席巻したことなど
現在40代後半以降の方でないと
なかなか実感出来ないかも

それほど売れていたんですよ!
イギリス人であるとか トラフィックに在籍していた
とかは むしろ後追い情報だったんじゃないかな
70年代当時は

かつての仲間であるウィンウッドやエリックが
一緒にマジソンで喝采を浴びる昨今
片や メイソンは何を思う
ジム キャパルディのトリビュート ライヴに
ウィンウッドが参加する一方で
メイソンは不参加
ここら辺も いわゆる人間関係のねじれなのだろうか

それでも 私はメイソン好きです
今度 日本でも発売される近年のライヴ盤も
全盛期に歌もギターも劣っていません

才能とは別に
きっと 不器用な人なのでしょう







2008/5/12

黄金週間 消化中  

というわけでモラトリアム中年の
休日は本日も続く

新刊の表紙イメージをご覧になりたい方は
新宿ディスクユニオンルーツ&トラディショナル館の
ストアブログhttp://blog1.musicfield.jp/du_ds10/
を参考にしてください

(*表紙下段にジャケットが映っている部分は
 実際には帯となっています)

今週末から 私も営業に出向きます!


2008/5/11

流れる文章、流れない文体  

自分もまだまだだと認識したうえで書くのだが
いい文章というものは
時間を忘れて すらすらと読み進められるものだ

いわゆる「流れるような文体」である
リズムがあり 韻があり 何よりも隙間が感じられる
ページを進めるのが 少しも苦痛ではない

自分が10代 20代の頃読み進めた海外文学が
もう少し口語調で 自然に訳されていたらなあ
などと思うことが 僕にもある

先日読み直した『グレイト ギャツビー』は
村上春樹による新訳だったから よけいに感じる
いやあ 文章が綺麗に流れる 川の如く

こればっかりは英語的な経験に裏付けられたセンスだ
削ぎ落とし 削ぎ落とし その分だけ
含蓄が じわりと押し寄せてくる

こんなことを書くのも 
その音楽と釣り合っていない文章が多過ぎるから
とくにオーディオ雑誌のそれ

あるいは 僕のような人間が古いのだろうか?
ザ バンドには ザ バンドに相応しいような
そんな文体があると 想像を巡らすような























2008/5/10

5月9日  

吉田修一の『悪人』を読み始める
これは朝日新聞に掲載されていた新聞小説
(そういう意味では昨年のno1 桐野夏生『メタボラ』
と同じ)なのだが  実に面白い

出会い系サイトで知り合った若い男女が
悲劇を迎えるという実在の事件をもとにしているのだが
ワイドショウの訳知り顔のコメントとは違い
二人やその周辺の人々の心理まで描いていく点に
小説家としての 何よりの気概を感じる

僕は出会い系サイトなど利用したことはないが(笑)
見ず知らずの相手と手軽に会うことの危険は
実際に多くの残酷な事件となっている
そうした意味では極めて現代的な主題を扱った本だ

地方都市の停滞感までが重なってくる筆致
親世代(この本で言えば松田聖子世代)との断層を滲ませる会話
そうした断片断片が あまりにもリアルである

またある人は この20年あまりで様変わりしてしまった
日本の世相を嘆くのかもしれない

テレビは今日も ”事件” を伝え
”悪人” を伝えている








2008/5/9

5月8日  

表紙デザインなどの件で渋谷に出向き
お昼から ばしことミーティング
装幀は 予想以上の仕上がり
いやはや カッコイイ!

百軒店に足を運び ムルギのカレーも食べた
変わらぬ店内と味  美味かったっす!
創業は何でも昭和26年だとか
おじいちゃんの姿こそ見当たらず
二代目が切り盛りしていたけれど
移り変わりの激しいこの街で感動的な歳月です
すぐ近くのBYGも見てみたが
こちらも健在な様子


夜12時近く   彼女からメールが入り
すべての入稿作業をし終えたの旨
お疲れ様でした!


http://www.totteoki.jp/shibuya/murugi.htm

http://www.byg.co.jp/











2008/5/8

JASRAC BLUES AGAIN  

Almost Prayed さま

うう、難しい問題っすね

私が挙げた山口洋さんの記事でも
彼はJASRACの天下り的、官僚的な体制を批判しつつも
”保険” として自分たちの楽曲を保護するために
JASRACの許諾に申請せざるを得なかった、、、
といった矛盾をほんとうに素直過ぎるくらいに
吐露しています

ただ間違いなく言えるのは
現在のJASRACがやり過ぎだということですね
まあ ありていに言えば職権乱用です

引いていただいた記事も拝見しました
サンプリング(それ自体はクラブカルチャーの
良い側面だと私は認識しています)にしても
引用した相手がメジャーアーティストの場合
一回使用に関して200も300万も請求される
そんな現実も書かれてましたね
そうした意味では 本来のJASRACが
なすべき仕事も ありますから

ある意味 鷹揚でいいなと改めて思ったのは
古い話しで恐縮ですが
ランDMCがエアロスミスのリリック&リフを
引用して大ブレイクした80年代半ばのことです

これは結果的にエアロにも ”再度の黄金期” 
いわば ”幸福な結末” をもたらしましたが
行き過ぎた音楽ビジネスのなかでは
これまた昔話しになってしまいそうです

せめて出来ることがあるとすれば
以下のことではないかと思っています

1 JASRACの横ぶくれ的現体制を注視する

2 公取委による今回の強制捜査の行方を追う

3 ネットビジネスに於ける著作権の汎用性を 
  熟考する









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