東京ローカル・ホンクの木下弦二さんから初めて電話をもらったのは もう二年ほどまえの夏だったろうか その時にどういう会話をしたのかは忘れてしまったが 僕たちのバンドを知って欲しい 聞いてみて欲しいという彼の気持ちだけはまっすぐに伝わってきた これも何かの縁(えにし)かと思いその後の僕は彼らのライヴに幾度となく足を運び またこれからも もっとライヴに行ってみようという思いは募るばかりだ 東京ローカル・ホンクの良さをどう表現すればいいのかはよく解らないのだが 今日もまた僕と同じように東京の空を眺め 同じような街並を歩き 戸惑いながらも呼吸をしていることは間違いなかった そんな風に自分の側にいるという親しみを持てるバンドに出会ったことに奇跡にも近いような感慨を抱いた まるで広告代理店が書いたような気取った歌詞や 見せかけのポーズや虚勢 あるいは英雄的な態度に終始しがちな日本の音楽シーンのなかで 彼らはいつもの商店街を行き交う人々を観察し 各駅停車の窓から流れる雲を追いかけたりしていた 彼らの織りなすサウンドスケープもまた大向こうを張るのではなく 微妙な感情や陰影そして日向の匂いをデリケートに運び込んできた ときには伊豆半島まで遠出したり草の燃える匂いを嗅ぎながら 結論を急がない心のありようみたいなものは形になりにくい でも僕は東京ローカル・ホンクの答えとか結論を求めない音楽のあり方に惹かれ続けている そうまるで池に投げられた小石のように (小尾隆 2009年6月23日:記)

2008/9/25

鋭利な眼を持つ詩人  Rock N Roll

(前回の書き込みで触れたルー リード「ストロウマン」の
 梅沢葉子氏による歌詞対訳を一応掲載しておきます
(河出書房新社『ルー リード詩集』より 一部変更しつつ)
この曲が収録された『ニューヨーク』というアルバム自体が
引き締まったサウンドとともに素晴らしいので
未聴の方は ぜひ)

当てにならない奴/ルー リード

こんなにも持っている我々
なけなしのあなた方へ
無一文のあなた方へ
一人が必要とする以上に持ち過ぎている我々と
無一文のあなた方
100万ドルの映画がまだ必要な奴は誰だ?
100万ドルのスターがまだ必要な奴は誰だ?
同じことを何度も何度も言われている奴は誰だ?
風に向かって吐いたツバは
二倍の強さで自分に返ってくる

当てにならない奴 悪魔に向かって一直線
当てにならない奴 地獄に一直線

10億ドルのロケットを本当に必要なのは誰だ?
6万ドルもする車に乗るのは誰なんだ?
別の大統領が必要なのは誰なんだ?
テレビ伝導師の罪状が6 7 8 9と
必要なのは誰なんだ?
ズボンを下ろしてケツの穴に金を突っ込んでいる
ような政治家が必要なのか?
人種差別の聖職者とかね
風に向かってツバ吐けば 結局自分に返ってくるのさ

月や金星や火星に発射するシャトルをまだ
必要とするのは誰なんだ?
自分の鼻が神への導きなんだと言わんばかりの
そんな自己満足のロックシンガーがまだ欲しいのは
一体誰なのか? と考えてみろよ
空き部屋ありのビルディングがまだ欲しいのは誰だ?
燃える剣とかハドソン河に浮かぶ金色の箱船とか
俺はそのくらいの小さな奇跡で満足だけどな
天にツバすりゃ 自分に返ってくる

当てにならない奴 悪魔に向かって一直線
当てにならない奴 地獄に一直線














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