東京ローカル・ホンクの木下弦二さんから初めて電話をもらったのは もう二年ほどまえの夏だったろうか その時にどういう会話をしたのかは忘れてしまったが 僕たちのバンドを知って欲しい 聞いてみて欲しいという彼の気持ちだけはまっすぐに伝わってきた これも何かの縁(えにし)かと思いその後の僕は彼らのライヴに幾度となく足を運び またこれからも もっとライヴに行ってみようという思いは募るばかりだ 東京ローカル・ホンクの良さをどう表現すればいいのかはよく解らないのだが 今日もまた僕と同じように東京の空を眺め 同じような街並を歩き 戸惑いながらも呼吸をしていることは間違いなかった そんな風に自分の側にいるという親しみを持てるバンドに出会ったことに奇跡にも近いような感慨を抱いた まるで広告代理店が書いたような気取った歌詞や 見せかけのポーズや虚勢 あるいは英雄的な態度に終始しがちな日本の音楽シーンのなかで 彼らはいつもの商店街を行き交う人々を観察し 各駅停車の窓から流れる雲を追いかけたりしていた 彼らの織りなすサウンドスケープもまた大向こうを張るのではなく 微妙な感情や陰影そして日向の匂いをデリケートに運び込んできた ときには伊豆半島まで遠出したり草の燃える匂いを嗅ぎながら 結論を急がない心のありようみたいなものは形になりにくい でも僕は東京ローカル・ホンクの答えとか結論を求めない音楽のあり方に惹かれ続けている そうまるで池に投げられた小石のように (小尾隆 2009年6月23日:記)

2009/4/2

不定形なジャズビートと弦楽器による奔放な自由詩  

昨日は中野のレコミンツで
ヴァン モリソンの新作『アストラル ウィークス 
ライヴ』を購入しました

ご存知のように実質的なソロ デビュー作である
68年の『アストラル ウィークス』をおよそ40年
ぶりにライヴの場で再現したもので
オリジナルのシークエンスをやや変更しつつ
また幾つかの補足曲を加えながら
ステージは進行していきます

”不定形なジャズビートと弦楽器に彩られた自由詩”
『アストラル』の音楽をひと言で言い表すとしたら
こんな表現はどうでしょうか
ヴァイオリン、ヴィオラ、セロといった楽器が
アップライト ベースとともに たおやかな流れを
作っていく様を  今回はライヴという場だけに
より鮮やかに実感することが出来ました
まさに『星のような週間』の訪れです

むろんオリジナルでは若く高かったヴァンの声が
ここでは年齢相応の落ち着いたものへと変化して
いますが そうした歳月こそは<再訪>に相応しい
響きをもたらせています
さあ、あのサイプラス アヴェニューに帰るんだ!

静寂との共鳴  再生への願い そして自己探求
これらはヴァンの音楽に欠かせない主題ですが
こうした要素がほぼ『アストラル』の時点で
現れていたことも いま演奏し直す動機としても
十分でしょう

ひと通り『アストラル』全曲が終わると
歓喜の波に包まれつつ
あの雄大な「リッスン トウ ザ ライオン」
そして「コモン ワン」が始まります
その流れはまるで大河のようです
主人公はどんどん川を下っていきます

ヴァン モリソンという人物がひとつの音楽ならば
彼の人生が一曲の長い交響曲のようなものかも
しれないですね そんな意味では
時を経て 場所を変えながら選ばれていく曲は
その時々の変奏曲のようなものではないでしょうか

ふと そんなことを思いました




















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