東京ローカル・ホンクの木下弦二さんから初めて電話をもらったのは もう二年ほどまえの夏だったろうか その時にどういう会話をしたのかは忘れてしまったが 僕たちのバンドを知って欲しい 聞いてみて欲しいという彼の気持ちだけはまっすぐに伝わってきた これも何かの縁(えにし)かと思いその後の僕は彼らのライヴに幾度となく足を運び またこれからも もっとライヴに行ってみようという思いは募るばかりだ 東京ローカル・ホンクの良さをどう表現すればいいのかはよく解らないのだが 今日もまた僕と同じように東京の空を眺め 同じような街並を歩き 戸惑いながらも呼吸をしていることは間違いなかった そんな風に自分の側にいるという親しみを持てるバンドに出会ったことに奇跡にも近いような感慨を抱いた まるで広告代理店が書いたような気取った歌詞や 見せかけのポーズや虚勢 あるいは英雄的な態度に終始しがちな日本の音楽シーンのなかで 彼らはいつもの商店街を行き交う人々を観察し 各駅停車の窓から流れる雲を追いかけたりしていた 彼らの織りなすサウンドスケープもまた大向こうを張るのではなく 微妙な感情や陰影そして日向の匂いをデリケートに運び込んできた ときには伊豆半島まで遠出したり草の燃える匂いを嗅ぎながら 結論を急がない心のありようみたいなものは形になりにくい でも僕は東京ローカル・ホンクの答えとか結論を求めない音楽のあり方に惹かれ続けている そうまるで池に投げられた小石のように (小尾隆 2009年6月23日:記)

2009/11/30

11月30日  

本格的に冬が到来したのだろうか
今朝は今年初めての底冷えを感じた
それでも毎朝バイト先に向かう途中
千川通りの樹木を眺めるのは ささやかな楽しみだ
銀杏がひたひたと舞うたびに 季節を感じる

こんな時には思いっきり包容力のあるヴァン モリソン
の音楽を どうしても聞きたくなる
なかでも晩秋に合わせたら91年の傑作『Hymns To
The Silence』だろうか

若き日の熱情を迷宮のなかに探っていくような
68年の『アストラル ウィークス』から20年と少し
ヴァンが辿り着いたのは
まさに ”静寂への賛歌” だった

こと自分に限っても
思ってもいないことを口にして後悔することがある
その誤差を埋めようと思えば思うほど
無口になっていく自分を感じる
ものを言うことが正しいのか
ものを言わないことが 果たして正しくないのか
少なくともぼくは
その誤差を自覚していきたい

それはともかく ヴァン モリソンは
若い時から聞いてきて本当に良かったと思える
音楽家の一人だ
これからの季節だったら『ヴィードン フリース』
や『コモン ワン』そして『アイリッシュ ハートビ
ート』などのアルバムも
佳き伴侶となるに違いない

何も語らない冬の大樹は
ぼくを黙らせる



















teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ