東京ローカル・ホンクの木下弦二さんから初めて電話をもらったのは もう二年ほどまえの夏だったろうか その時にどういう会話をしたのかは忘れてしまったが 僕たちのバンドを知って欲しい 聞いてみて欲しいという彼の気持ちだけはまっすぐに伝わってきた これも何かの縁(えにし)かと思いその後の僕は彼らのライヴに幾度となく足を運び またこれからも もっとライヴに行ってみようという思いは募るばかりだ 東京ローカル・ホンクの良さをどう表現すればいいのかはよく解らないのだが 今日もまた僕と同じように東京の空を眺め 同じような街並を歩き 戸惑いながらも呼吸をしていることは間違いなかった そんな風に自分の側にいるという親しみを持てるバンドに出会ったことに奇跡にも近いような感慨を抱いた まるで広告代理店が書いたような気取った歌詞や 見せかけのポーズや虚勢 あるいは英雄的な態度に終始しがちな日本の音楽シーンのなかで 彼らはいつもの商店街を行き交う人々を観察し 各駅停車の窓から流れる雲を追いかけたりしていた 彼らの織りなすサウンドスケープもまた大向こうを張るのではなく 微妙な感情や陰影そして日向の匂いをデリケートに運び込んできた ときには伊豆半島まで遠出したり草の燃える匂いを嗅ぎながら 結論を急がない心のありようみたいなものは形になりにくい でも僕は東京ローカル・ホンクの答えとか結論を求めない音楽のあり方に惹かれ続けている そうまるで池に投げられた小石のように (小尾隆 2009年6月23日:記)

2009/12/8

12月8日  文学

奥田の短編集『ガール』を読了
http://yaplog.jp/you_1102/archive/315
「女同士の友情はレベルが同じことで保たれる」とか
「会社はおじさんと女の子で成り立っている」とか
ぎくりとするフレーズが随所に散りばめられて
いる

青山にあるマンションに憧れつつも やがて
身の丈に合った物件を探して行く「マンション」
での心理の変化も面白かった

とくに「ワーキング マザー」が秀逸だ
シングル マザーの主人公が会社の企画会議で
キャリア ウーマンと意見が対立するのだが
”子持ち”という奥の手を使って主人公は”独身貴族”
を皮肉っぽくやり込めてしまう
「斎藤さんはいいなあ 自由にお金が使えて」

妙な優越感に浸ったのも束の間 自責の念に駆られた
彼女は翌日詫びて 二人は邂逅する

「人はそれぞれだ 幸せかどうか物差しをあてること
自体が不遜だ」
「立場は違っても 女同士は合わせ鏡だ 自分が彼女
だったかもしれないし 彼女が自分だったかもしれない」

主人公のそんな心映えが美しく 爽やかな余韻をもたら
していく



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