東京ローカル・ホンクの木下弦二さんから初めて電話をもらったのは もう二年ほどまえの夏だったろうか その時にどういう会話をしたのかは忘れてしまったが 僕たちのバンドを知って欲しい 聞いてみて欲しいという彼の気持ちだけはまっすぐに伝わってきた これも何かの縁(えにし)かと思いその後の僕は彼らのライヴに幾度となく足を運び またこれからも もっとライヴに行ってみようという思いは募るばかりだ 東京ローカル・ホンクの良さをどう表現すればいいのかはよく解らないのだが 今日もまた僕と同じように東京の空を眺め 同じような街並を歩き 戸惑いながらも呼吸をしていることは間違いなかった そんな風に自分の側にいるという親しみを持てるバンドに出会ったことに奇跡にも近いような感慨を抱いた まるで広告代理店が書いたような気取った歌詞や 見せかけのポーズや虚勢 あるいは英雄的な態度に終始しがちな日本の音楽シーンのなかで 彼らはいつもの商店街を行き交う人々を観察し 各駅停車の窓から流れる雲を追いかけたりしていた 彼らの織りなすサウンドスケープもまた大向こうを張るのではなく 微妙な感情や陰影そして日向の匂いをデリケートに運び込んできた ときには伊豆半島まで遠出したり草の燃える匂いを嗅ぎながら 結論を急がない心のありようみたいなものは形になりにくい でも僕は東京ローカル・ホンクの答えとか結論を求めない音楽のあり方に惹かれ続けている そうまるで池に投げられた小石のように (小尾隆 2009年6月23日:記)

2009/12/13

12月12日〜静かなロック バンドがもたらす大きなもの  

           
帰り道の足取りさえ軽やかになり 心が晴れてい
くような演奏だった
東京ローカル ホンク年内最後のワンマン ライヴ
は そんな余韻を最後まで残していくような特別
な夜となった 会場の渋谷BYGを歓喜の表情が
包み 満たす 

うずまき時代からの熱心なファンの方々に比べれ
ば ぼくのホンク歴などまだまだ浅いものだが
それでも思わず目頭が熱くなる瞬間が何度も何度
も訪れた 封印されていた? 「おいのりのうた」
が選曲されていたことも含めて 生と死のことが
心をよぎる(初期から彼らに声をかけていた清志郎
を慈しむ言葉もあった)

「つまらないことでも大きな声で歌いたいんです」
そんなMCを弦二さんは衒いながら言っていたけれ
ど そうした視界と彼らの音楽との間に齟齬や嘘は
少しもありはしない 音楽を聞いていてハッとさせ
られるのは 体の芯から何かが込み上がってくるの
は いつも決まってそんな時だ

普段は終盤に用意され ジャム的な広がりを感
じさせる「社会のワレメちゃん」と「カミナリ」
を第一部と二部それぞれの冒頭に持っていく冒険
そこから歌ものへとじっくり入っていく緩急自在
ホンクの四人は 時間軸さえ揺らしながら
起承転結やお約束ではない(ぼくの言葉で言えば
結論を求めない)音楽のあり方を
今日もそっと差し出していく

その手の先にあるものは 薄曇りの朝であったり
夕方になっても止まない雨の音だったりする
それも いいかな
それも いいかな

クニオさんのワンドロップの後の静寂に
音の魂のようなものが宿る
その後に続くシンバルはまるで さざ波のようだ
それはぼくに 静かなロック バンドがもたらす
大きなもののことを考えさせる

自分の沿線がある道を歩く
いつもの商店街をトボトボ帰る
そんな時でさえ彼らの「サンダル鳴らしの名人」
が聞こえてくる

ぼくも靴を宙に放り投げてみようかな

当日のセットリストは以下の通り
http://d.hatena.ne.jp/QRR/20091212

「東京ローカルにはいち地方人としての、
生活の街である東京という意味がこめられて
います。そして”東京ローカル・ホンク”には
自分たちの周りの人々のささやき、鳥や虫の
声、車の騒音などを含めた喧騒すべてを包み
込んで、郷土料理のような音楽に変えていこ
う、それも子供のような真剣さで--。そんな
私たちの意志がこめられているのです。」
(2001年 木下弦二)
*彼らのHPより引用させていただきました




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