東京ローカル・ホンクの木下弦二さんから初めて電話をもらったのは もう二年ほどまえの夏だったろうか その時にどういう会話をしたのかは忘れてしまったが 僕たちのバンドを知って欲しい 聞いてみて欲しいという彼の気持ちだけはまっすぐに伝わってきた これも何かの縁(えにし)かと思いその後の僕は彼らのライヴに幾度となく足を運び またこれからも もっとライヴに行ってみようという思いは募るばかりだ 東京ローカル・ホンクの良さをどう表現すればいいのかはよく解らないのだが 今日もまた僕と同じように東京の空を眺め 同じような街並を歩き 戸惑いながらも呼吸をしていることは間違いなかった そんな風に自分の側にいるという親しみを持てるバンドに出会ったことに奇跡にも近いような感慨を抱いた まるで広告代理店が書いたような気取った歌詞や 見せかけのポーズや虚勢 あるいは英雄的な態度に終始しがちな日本の音楽シーンのなかで 彼らはいつもの商店街を行き交う人々を観察し 各駅停車の窓から流れる雲を追いかけたりしていた 彼らの織りなすサウンドスケープもまた大向こうを張るのではなく 微妙な感情や陰影そして日向の匂いをデリケートに運び込んできた ときには伊豆半島まで遠出したり草の燃える匂いを嗅ぎながら 結論を急がない心のありようみたいなものは形になりにくい でも僕は東京ローカル・ホンクの答えとか結論を求めない音楽のあり方に惹かれ続けている そうまるで池に投げられた小石のように (小尾隆 2009年6月23日:記)

2010/4/18

4月18日  

音楽的な志の高さといえば スティーヴ・ウィンウッドも
また ぼくにとって特別の人
08年の『ナイン ライヴス』には心底感動したなあ
この人が長い歳月をかけて試みてきたリズムへの取り組み
が こんなにも美しく結晶するなんて!

音楽する心に関して 迷った時期も悩んだ日々もあったと
思う(実際失敗だと思える作品もあった)けれど
卑屈にならず 天狗にもならず
こういう人の音楽は形になりにくい(笑)

言葉の人ではない
あえて言うならメロディの人でもない
じゃあ何かって?
ビートの含蓄 リズムのさざ波の人です

もう一体何百回聞いたことだろう
彼の音楽をずっと聞いてきて本当に良かった
そう思える瞬間が このアルバムには鮮やかに刻印
されている

空疎なスローガンでもなく
退屈なフォーマットでもなく
ましてマーケッティングであるはずがない

ウィンウッドは きちんと自分の音楽を奏でる
そのことが 愛おしい
そのことが 誇らしい

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