東京ローカル・ホンクの木下弦二さんから初めて電話をもらったのは もう二年ほどまえの夏だったろうか その時にどういう会話をしたのかは忘れてしまったが 僕たちのバンドを知って欲しい 聞いてみて欲しいという彼の気持ちだけはまっすぐに伝わってきた これも何かの縁(えにし)かと思いその後の僕は彼らのライヴに幾度となく足を運び またこれからも もっとライヴに行ってみようという思いは募るばかりだ 東京ローカル・ホンクの良さをどう表現すればいいのかはよく解らないのだが 今日もまた僕と同じように東京の空を眺め 同じような街並を歩き 戸惑いながらも呼吸をしていることは間違いなかった そんな風に自分の側にいるという親しみを持てるバンドに出会ったことに奇跡にも近いような感慨を抱いた まるで広告代理店が書いたような気取った歌詞や 見せかけのポーズや虚勢 あるいは英雄的な態度に終始しがちな日本の音楽シーンのなかで 彼らはいつもの商店街を行き交う人々を観察し 各駅停車の窓から流れる雲を追いかけたりしていた 彼らの織りなすサウンドスケープもまた大向こうを張るのではなく 微妙な感情や陰影そして日向の匂いをデリケートに運び込んできた ときには伊豆半島まで遠出したり草の燃える匂いを嗅ぎながら 結論を急がない心のありようみたいなものは形になりにくい でも僕は東京ローカル・ホンクの答えとか結論を求めない音楽のあり方に惹かれ続けている そうまるで池に投げられた小石のように (小尾隆 2009年6月23日:記)

2007/4/18

Who’ll Stop The Rain?  Rock N Roll

朝起きてテレビを見たら衝撃的なニュースが飛び込んできた
そう ご存じのように 長崎市の現職市長が選挙中に凶弾に倒れた事件である
さまざまな識者や関係者が 政治的なメタファーや時代背景のことを
絡めて いろいろな発言をしている

少しの想像力を働かせてみれば
ミック・ジャガーやニール・ヤングがライヴ演奏の最中に
銃殺されることの重みと まったく変わることがないことに
否応なく気が付かざるを得ない
あるいは80年の寒い12月に撃ち抜かれた「彼」のことを

佐野元春が6月に発表する新作アルバム「COYOTE(コヨーテ)」の
サンプルCDを 今日激しい気持ちで聞いた
まだ多くの感想を言える段階ではないが
「きみが気高い孤独なら」の一曲を聴くだけで
佐野がこの厳しく困難な時代と拮抗する希有な表現者であることが
すぐに解る

もっと平たくいえば
無邪気で従順なポップ・アイドルが「雨」を歌うのと
多くの試練と体験を積んだ佐野が「雨」を歌うのでは
その意味 暗喩 込められた感情の度合いが違うのだ
別にポップ・イコンを貶めるのではない
ただ 音楽の持つ重層性のことを 僕は言いたいのだ

この「雨」を止めるのは誰なんだい?
ジョン・フォガティが70年のはじめに歌ったこの曲さえ
未だに多くの意味を聞き手に促す
それをどう感じるのかは きみの自由だ











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