東京ローカル・ホンクの木下弦二さんから初めて電話をもらったのは もう二年ほどまえの夏だったろうか その時にどういう会話をしたのかは忘れてしまったが 僕たちのバンドを知って欲しい 聞いてみて欲しいという彼の気持ちだけはまっすぐに伝わってきた これも何かの縁(えにし)かと思いその後の僕は彼らのライヴに幾度となく足を運び またこれからも もっとライヴに行ってみようという思いは募るばかりだ 東京ローカル・ホンクの良さをどう表現すればいいのかはよく解らないのだが 今日もまた僕と同じように東京の空を眺め 同じような街並を歩き 戸惑いながらも呼吸をしていることは間違いなかった そんな風に自分の側にいるという親しみを持てるバンドに出会ったことに奇跡にも近いような感慨を抱いた まるで広告代理店が書いたような気取った歌詞や 見せかけのポーズや虚勢 あるいは英雄的な態度に終始しがちな日本の音楽シーンのなかで 彼らはいつもの商店街を行き交う人々を観察し 各駅停車の窓から流れる雲を追いかけたりしていた 彼らの織りなすサウンドスケープもまた大向こうを張るのではなく 微妙な感情や陰影そして日向の匂いをデリケートに運び込んできた ときには伊豆半島まで遠出したり草の燃える匂いを嗅ぎながら 結論を急がない心のありようみたいなものは形になりにくい でも僕は東京ローカル・ホンクの答えとか結論を求めない音楽のあり方に惹かれ続けている そうまるで池に投げられた小石のように (小尾隆 2009年6月23日:記)

2007/7/25

おまえらはどないやねん?  

下の世代の評価が気になっていた
本を出したばかりの当事者というのは
案外 臆病者であり メディアでの紹介や批評に
神経質になるものなのだ
その点について 僕は言い訳をしない

九州在住のソングライター/ギタリスト/バンドマンである
CAKE氏が 僕の本について的確な感想を述べられている
http://blog.livedoor.jp/yamadacake/


ある意味 同世代と”馴れ合う”ことほど楽なものはないけれども
70年代を語りつつも そっと足音を伝えていくような書き方に
関しても 僕はそれなりに考慮してきた
ときに厳しく 同世代に鞭を打ったこともある

CAKEくんの言葉は明晰だ
自分が音楽のなかに座っていなければ
あるいは「自分はどないやねん?」という問い
それがなければ そうした問いが発せられなければ
恐らく ロックンロールなんていう音楽は
どっかの豪邸の観葉植物のようになり果てていたのかも
しれない

その枯れそうになっている花に水を注ぎ
息を吹き込み直すのは「自分」である
つまり名詞ではなく動詞
他人の物語ではなく
自分のストーリーなのだ

ありきたりの表現になってしまって申し訳ないくらい
なのだが
古いロックンロールを蘇生し 土埃のなかから
救済するのは ロック音楽の新しい守護者たちなのだ

「おまえらはどないやねん?」

カタログ的に音楽も文章も消費されていくなかで
CAKE氏の感想こそは 優れた音楽であると確信する





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