東京ローカル・ホンクの木下弦二さんから初めて電話をもらったのは もう二年ほどまえの夏だったろうか その時にどういう会話をしたのかは忘れてしまったが 僕たちのバンドを知って欲しい 聞いてみて欲しいという彼の気持ちだけはまっすぐに伝わってきた これも何かの縁(えにし)かと思いその後の僕は彼らのライヴに幾度となく足を運び またこれからも もっとライヴに行ってみようという思いは募るばかりだ 東京ローカル・ホンクの良さをどう表現すればいいのかはよく解らないのだが 今日もまた僕と同じように東京の空を眺め 同じような街並を歩き 戸惑いながらも呼吸をしていることは間違いなかった そんな風に自分の側にいるという親しみを持てるバンドに出会ったことに奇跡にも近いような感慨を抱いた まるで広告代理店が書いたような気取った歌詞や 見せかけのポーズや虚勢 あるいは英雄的な態度に終始しがちな日本の音楽シーンのなかで 彼らはいつもの商店街を行き交う人々を観察し 各駅停車の窓から流れる雲を追いかけたりしていた 彼らの織りなすサウンドスケープもまた大向こうを張るのではなく 微妙な感情や陰影そして日向の匂いをデリケートに運び込んできた ときには伊豆半島まで遠出したり草の燃える匂いを嗅ぎながら 結論を急がない心のありようみたいなものは形になりにくい でも僕は東京ローカル・ホンクの答えとか結論を求めない音楽のあり方に惹かれ続けている そうまるで池に投げられた小石のように (小尾隆 2009年6月23日:記)

2009/11/22

11月22日  文学

奥田英朗の最新刊『無理』が
めちゃくちゃおもしろい
まだ途中だが 今日は朝から読んでいた

『無理』というタイトルのインパクトにも
凄いものを感じるが 巨大なショッピングモール
だけがある地方都市の停滞感が 何ともリアルに
描かれていく そんな意味では吉田修一『悪人』
を思い起こさせる

主な登場人物は
相原(バツいちの地方公務員:行政の表裏を知りつつ
ある年頃)
久保(進学校の高校二年の女子:この田舎を抜け出し
東京の大学に行くことに憧れている)
加藤(元暴走族:これまたバツいちで押し売りセール
スマンが現在の仕事)
堀部(スーパーの保安官をしている離婚歴のある女:
新興宗教にすがっている)
山本(市議会議員:ばりばりのエリートで県議への道
を狙っている)

一章ごとにこの五人が第三人称の主役として
立ち代わり物語を 推し進めていく
後半にこの五人がどう交差しながら結末へと向かう
のだろうか
すでに脇役での伏線もある

歯切れのいい文体や会話のなかにも
ユーモアと皮肉と現代への警句があって
飽きさせない

それにしても『無理』という言葉が
キーワードになってしまう今の時代は
なんだか






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