東京ローカル・ホンクの木下弦二さんから初めて電話をもらったのは もう二年ほどまえの夏だったろうか その時にどういう会話をしたのかは忘れてしまったが 僕たちのバンドを知って欲しい 聞いてみて欲しいという彼の気持ちだけはまっすぐに伝わってきた これも何かの縁(えにし)かと思いその後の僕は彼らのライヴに幾度となく足を運び またこれからも もっとライヴに行ってみようという思いは募るばかりだ 東京ローカル・ホンクの良さをどう表現すればいいのかはよく解らないのだが 今日もまた僕と同じように東京の空を眺め 同じような街並を歩き 戸惑いながらも呼吸をしていることは間違いなかった そんな風に自分の側にいるという親しみを持てるバンドに出会ったことに奇跡にも近いような感慨を抱いた まるで広告代理店が書いたような気取った歌詞や 見せかけのポーズや虚勢 あるいは英雄的な態度に終始しがちな日本の音楽シーンのなかで 彼らはいつもの商店街を行き交う人々を観察し 各駅停車の窓から流れる雲を追いかけたりしていた 彼らの織りなすサウンドスケープもまた大向こうを張るのではなく 微妙な感情や陰影そして日向の匂いをデリケートに運び込んできた ときには伊豆半島まで遠出したり草の燃える匂いを嗅ぎながら 結論を急がない心のありようみたいなものは形になりにくい でも僕は東京ローカル・ホンクの答えとか結論を求めない音楽のあり方に惹かれ続けている そうまるで池に投げられた小石のように (小尾隆 2009年6月23日:記)

2007/11/14

言葉の復権〜虹を追いかけて  コミック、文学

本日は例によって図書館に行く

自分で買った本をわざわざ図書館で読むというのは
本末転倒のような気もしないではないが
自宅を離れるという緊張感が
より読書に集中出来るので
そんな習慣を繰り返している

まず 渡辺ペコのコミック「ラウンダバウト1」(集英社)を
これは14歳 中2の女子〜真と彼女の周囲をめぐる物語
登校拒否の子と真が心を通わせていく「自転車にのって」の編が
僕は とくに好きになった

いったん自宅に昼食のため帰宅後
再び 図書館へ

今度は 中島京子の新刊「冠 婚 葬 祭」(筑摩書房)
を読み始める
冠婚葬祭をめぐる四つから連なる短編集であり
本日は ”冠” にあたる「空に、ディアボロを高く」の
ページを進めていく

地方新聞社の駆け出し記者が書いた成人式の記事
それがトラブルとなり ネットでも ぼろくそに叩かれる
彼らの論調は一様に ”事実に即していない”
記者の上司は首になり
まだ若い記者もまた その地方を離れる手はずを
整えた そんな最後の日、、、

物語は反転し 逆転し
ささやかで 密やかな
そして まるで虹のような収束を描き出していく

中島京子の ”ものを見る眼” の濃やかさは
きっと さざ波となって 読者にそっと訴えかけるだろう
励まされる諸氏も
少なくないはずだ

読み終わって図書館から出た僕は
僕に「ヨシ!」と
言葉を掛けていた

町の時報は やがて
「4時半です」と告げていった






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