田舎に帰って10ケ月、正社員となり11月に結婚をすることになった。
いざ、式を催すとなると費用が気になる。新郎新婦の衣装代も馬鹿にならない。
そうだ観光地にある記念撮影の看板みたいに僕が衣装の絵を描いて、丸い穴から顔だけ出して
やるのもいいなと、真剣に考えた(笑)しかし、彼女の両親にすれば娘の晴れ姿を
楽しみに生きてきたことを考えたら、そのアイデアはやめ型通りの衣装を頼むことにした。
親戚の叔父に仲人を頼んだが最初、あまり良い顔をしてくれなかった。その晩は
無性に荒れたことを覚えている。今にしてみれば、未熟な二人の仲人など不安がったのだろう。
それぞれの家族、親戚縁者、友人、そして僕の同僚達と近くの料亭でささやかな式を上げた。
皆から頂いた祝儀のお金から、かかった結婚費用や写真代を差引したら4万5千円残った^^
よし!これで新婚旅行だと二泊三日、予約もせず京都と奈良へ行った。
弟が車で東海道線蒲原駅まで送ってくれた。「兄貴、じゃあ」といって別れたが
その弟も今はいない・・・
新幹線の中の僕は、隣の彼女を眺めては、やっと正真正銘の夫婦になれたことを実感し
笑いが止まらなかった。京都に着くと観光案内所へ行き事前に知った素泊まり800円の宿の
ことを聞いた。「ありますけど、お客さん、お二人相部屋になるか分りませんよ」という
新婚旅行で別々というのもおかしい、「じゃあ、ちゃんとしたのお願いします」
白波だか白浜だかの京都にしては名前がオカシイ一人一泊2.500円の旅館に決めた。
いまさら初夜でもなかったが初めての二人旅に疲れて眠った。翌朝は雨で傘をさして
平安神宮、清水寺、本願寺など行ったが時々行き先の方向で意見が対立、僕と彼女の
感覚が違うことを初めて知った夫婦喧嘩(笑)、
互いに写真を撮り合いながら京都を散策して歩いた。
そして、今度は奈良へ向かった。東大寺の大仏、二人の幸せを祈ったり公園の鹿と遊んだ。
持っていったトランジスタラジオがローリングストーンズが初来日するという
ふたりで顔を見合わせ、帰ったら彼女の妹シっちゃんにチケット頼もうなどと浮かれていた。
(後日談、チケットは取れたがストーンズの麻薬疑惑で中止だった。招聘したのが
のちに政治家となった糸山英太郎だった。)
さて、今夜の泊まるとこ探さなくてはと一軒目のホテルを尋ねたら体よく断られた。
フーテンのような身なりの二人だからかと僕はひねくれてみた。街並の奥に安宿を見つけ
そこに泊まることにした。アパートの6畳みたいな部屋だったが泊まれればいい二人だった。
翌日、新婚旅行予算4万5千円でしっかりお土産も買い帰路についた。
本当の二人の旅がこれから始まった・・・
さて、伊坂芳太良を目指し都会のサクセスを夢見た僕だったが考えてみると
人生の伴りょと引き換えに断念したのか・・・それとも・・あれから30余年、
大金持ちには成れなかったが(爆)
CHECKMANという看板だけは彼女の支えで今もある。(大爆笑)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・おしまい^^

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