墓参りを済ませ帰りは西武新宿線小平駅から練馬へ直行で帰ることにした。
途中に上石神井駅がある、ふと20代この駅近くの天野荘というアパートに居たことを
思い出した^^彼女がせっせとお弁当を作ってくれたりカーテンをこさえてくれたり^^
6帖一間のアパートで、ある晩ビールの勢いで気がデカくなったのか無性に彼女に
会いたくなって夜中、練馬まで歩いて朝方、彼女の家に押し掛けたこともあった。
「あなた、どういうつもりでウチのマ○○と付き合ってるの?」えらい剣幕で
たしなめられたのが、目の前にいる義母。あれから30余年・・・
今にしてみると無謀なことをしたものだと感慨にふけっている僕の目の前の座席に
ちょっと疲れた様子で目を閉じ座る白髪の義母・・・そして彼女。
義母の年代つまり大正生れの戦前の教育を受けた人は我が身のことより家族一族への
思いが強く敗戦後の厳しい時代を生き抜いて来た・・・まして生き馬の目を抜く
大都会の生活である、田舎ののんびりした自然頼りの生活とは違う知恵がなければ
生きて行けない・・・85歳を超えようとしているが相変わらず気丈な義母である。
練馬駅で下車し近くの西友で買物をし彼女の実家へ戻った。
翌日の午後、新宿へ出て、例の身延・新宿間のバスで帰宅することにしたが
久し振りの新宿、彼女の慌てて帰らない症候群に付き合って地下街と小田急の
デパ地下に付き合った・・・田舎のスーパーには無い多種多様な食料品の物量と
人込みに圧倒されながら、しばらく見物。ハム売場で100g780円のミラノサラミを
200gいとも簡単にお買い上げする彼女、都会ならではの豪快なお買い物である。
地下通路の一角で「北海道物産展」と題したワゴンセールが見えた。
他の通行人と合わせ近づくと鮭の薫製や小振りの花咲かに、バター飴にクッキー
乳製品やら昆布に海苔、海産物がずらりと並んでいたが、どれも食指が動かず
見るだけで通り過ぎた・・・「バスの時間までコーヒーでも飲もうか?」
彼女の提案で地下の奥にあった「東京カフェ」に入った。セルフ方式で先客の後に
続く、トレイ片手に欲しいメニューを選んで代金は前払いでテーブルに運ぶ。
この間のスターバックスもそうだった・・・若い売り子と店長が手早く客の注文を
さばく・・・何でも合理的なアメリカから取り入れた商法なのだろう。田舎の
年寄りならまごついてしまう、年寄りといえば都会の年寄りを見てるとオシャレと
いうか、ナイキや横文字の入った帽子やTシャツを着こなしている・・・若作りには
見えるが、僕にはやはり何かわざとらしく見えてしまう。年寄りには年寄りの人格で
オシャレは決めてみたい・・・なと僕は思った。まあ、何でもいいけどさ^^
テーブルの僕はグルグルと歩いたので足がジンジンしながら頼んだコーヒーをすすった。
彼女はエスプレッソ^^そういえばイタリアに行こうという二人の合言葉がなかなか
前に進まない・・・夢の熟年夫婦の旅イタリア、しかし熟年になればなったで
年代に応じた諸問題が起きてくる。出来れば問題を解決し晴れ晴れとした気持ちで
イタリアへ行きたい・・・・・矢沢の「もうひとりの俺」という曲があるが
♪なんの不安もなかった〜あの頃〜♪ふっと新宿20代の好奇心と夢で不安を吹き
消していた僕と彼女を思い出していた・・・・・・・・・・・・・・・つづく

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