2007/12/3

桜色の風景/海飛氏 & SL四季の旅/ハリー氏  霊魂補完計画

以下はI.MAGiCレイアウトコンテスト2007参加作品のレビューです。作品は結果発表のページからダウンロード可能です。

ボクの記憶が正しければ、
巨大なレイアウトを作成される場合は、全体に散漫にならないようにしてください。要所を的確に表現すると高く評価されます。
という断り書きがレイアウトコンテストの募集要項に現れたのは、2004年度のそれからだと思う。以降、一字一句変わらず、なのかどうかは未検証だが、ほぼ同趣旨のことが毎回謳われるようになった。しかし、その要請はVRMユーザー全体には届いていないようだ。

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<桜色の風景 by 海飛氏>

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<SL四季の旅 by ハリー氏>

今回取り上げる2作品は、部門(VRMのバージョン)こそ異なるが、いずれも今回の参加作品の中で、巨大であり、かつ、全体に散漫なレイアウトである。

海飛氏の「桜色の風景」は、ミクロ的に見ていくと旨い部分も見つかるのだが、一見するとそれらの要素は完全にレイアウト全体の中に埋もれてしまっている。作品タイトルが活きていないのも、同じ原因による。本稿中でピックアップしたスクリーンショットには、いずれも“桜”が映っているが、これはレイアウト全体から見れば、ほんの一部に過ぎない。

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対して、ハリー氏「SL四季の旅」も、作品タイトルが活きていない点では同様だ。が、見方を変えると(良い意味で)プラレール的な、執拗なまでに込み入ったトラックプランには一見の価値がある。昨年のおいちゃん氏の作品と本作を足して2で割ったら、前代未聞の、さぞかし壮観なVRM3レイアウトになるのではなかろうか。

冒頭で触れた断り書きに戻るが、「高く評価されます」と書いている以上、これはレイアウトコンテスト参加作品を、ある方向に誘導する意図があって言っているのであろう。VRMの可能性として、今回とりあげたような巨大で散漫なレイアウトを作ることは決して特殊ではなく、かつ、それでありながら大賞級の作品が現れる可能性もまったくは否定は出来ないのであって、であれば、審査員は気に入らなければ黙って減点し、素晴らしければ大賞を与えれば済む話である。

それを、敢えて事前に「巨大、散漫は評価しない」と表明しているのは、主催者/審査員側に「VRMはこのように使うべきである/優れたVRMレイアウトとはこのようなものである」という、何らかの価値判断があることを意味している、明確に自覚されているか否かはともかくとして。

であれば、なぜ彼らは普段からそれをちゃんとユーザー(=潜在的レイアウトコンテスト参加者)に向かって理解される形で発信しないのか?が、ボクの中で長年に渡っての疑問になっている。これまでにも幾度となく触れてきた話題ではあるが、後日総括にて改めて言及してみよう。
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2007/12/2

鉄模の大都会/ライドル氏 & 貨物ターミナル/t.niwa氏  霊魂補完計画

以下はI.MAGiCレイアウトコンテスト2007参加作品のレビューです。作品は結果発表のページからダウンロード可能です。

地力がありつつも、力の入れ所を誤った感のある2作。

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<鉄模の大都会 by ライドル氏>

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<貨物ターミナル by t.niwa氏>

両作品とも、一定水準以上の作り込みがなされた良作であり、上掲スクリーンショットのように切り出して見れば、VRM未体験者にも「自分も鉄道模型シミュレーターをやってみようかな?」と思わせるに足る魅力があると思う。

のではあるが。

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上掲スクリーンショットは、楕円エンドレス構造を基本とするライドル氏の作品の折り返し部分の一角。複々線を表題通りの「大都会」で取り囲む戦略で造営が進められたようにお見受けするのだが、ここだけが放置されていて画竜点睛を欠く。

一方で、先に紹介したスクリーンショットでは、線路から見て駅舎の裏側になる駅前広場(フライスルーカメラで俯瞰しないと見えない)が「これでもか!」と言わんばかりに作り込まれている。これが“力の入れ所を誤った”と申し上げる理由。この部分へ投入したエネルギーが放置箇所に転じられていれば、もう少し評価が高くなったのではないか。

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対するt.niwa氏の「貨物ターミナル」は、上掲スクリーンショット奥手に注に浮いたレールが敷設されていることからわかるように、拙レイアウトコンテスト2003受賞作「ShinOsaka 2022」や、2005年度の新電氏作「o-saka umeda」と同じ、カメラ列車でレイアウトを眺める趣向の作品である。

t.niwa氏が、これらの作品にインスパイアされたのか、独自に同じ方法論へ至ったのかは定かでないが、2005年度以降のレイアウトコンテストの規約を素直に読む限り、この手法は“禁じ手”になっているはず(※)で、これだけの技量を真っ当に評価されない作品につぎ込んだことに対しては、やはり“力の入れ所を誤った”と申し上げる他ない。

個人的には、レイアウトコンテストのゴチャゴチャした募集要項には批判的な立場を取ってはいるが、あそこに書いてあることは決しておかしなことではなく、間接的に“作品を見る人が、見る人の好みに応じて楽しめるものを作って参加してね”と訴えているものだと理解している。地力のあるご両所だけに、その辺に配慮して、次年度でのリベンジを図っていただきたい。

※ 厳密には“特定の操作を見る者に強いること”が禁じ手なのであって、カメラの誘導が禁止されているワケではない。結果的にVRM3でそれをやろうとすると禁じ手になってしまうのであって、VRM4のスクリプトを使った視線の強制誘導演出は、今後も挑戦されるべきだと考えている。

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2007/12/1

レイアウトコンテスト2007作品レビュー祭開催中  霊魂補完計画
鉄道模型シミュレーターレイアウトコンテスト2007参加作品のレビューを書きまくろう祭が進行中です。

レイアウトコンテスト参加作品の批評をお互いにやりまくって、せまくは翌年のレイアウトコンテストの、ひろくはネットVRM界隈のさらなる発展に資する知見やノウハウを引き出そうという試みです。

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2007/12/1

Developing Town/MOTOKI氏 & H島ニュータウン/Ytig氏  霊魂補完計画

以下はI.MAGiCレイアウトコンテスト2007参加作品のレビューです。作品は結果発表のページからダウンロード可能です。

努力賞の2作。

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<Developing Town by MOTOKI氏>

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<H島ニュータウン by Ytig氏>

作風は異なるものの、いずれもVRM4の基本テクニックをしっかり押さえた上で、スクリプトによる各種ギミックも組み込まれた意欲作。

「Developing Town」は、十衛門氏の「山麓温泉」同様にリアル鉄道模型準拠の作風で、俄かに真似がたい突飛なところがなく、それでいてそつなく仕上がっているという意味において、初心者から一歩抜け出したいとお考えのVRMビギナー諸兄には、是非参考にしていただきたい作品である。

駅前の工事の雰囲気や、下掲スクリーンショットの鉄橋を中心とした立体的な造形は、MOTOKI氏の地力の存在を予感させる見事な仕上がりだ。しかしながら、レイアウト中央の、見るからに「処理に困ったので水田にしてみました」的な空間や、規則的に過ぎる建物配置が、全体としての印象に冴えを失わせている。

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対して「H島ニュータウン」は、スクリプトギミックとしては難度の高い“折り返し/機回し”まで組み込んだ労作である。加減速や信号制御に不自然さがあるものの、コーディング力はVRMユーザー全体の平均を大きく上回っていることは疑いない。

一方で、おそらく作った本人であるYtig氏からすれば「やった、ここで思った通りのことが起こった!」と面白いのだろうが、見る側からすると、それぞれのギミックがあまりに唐突で「何が起こっているんだ?」という不安感を覚えてしまう。

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両作品に共通して欠けているものは「まったく作品について前提知識を持たない第三者の視点」に尽きる。言い換えると、これらのレイアウトには、そのレイアウトにゲストとして訪れる鑑賞者に対する「もてなしの心」がない。

もっとも、本質的にVRMを含む鉄道模型レイアウトは個人的な趣味なのだから、常にそのような観点に立脚せねばならないという法はない。されど、レイアウトコンテストである以上、作品は必ず衆目に晒されるのであって、その衆目をして何をどう見るべきか、楽しむべきか、が一見してわからない作品、というのは、どうしても、それを意識した作品、すなわち「ゲストに対するもてなしの心」がこもった作品に遅れを取ってしまう点は否めない。

既に十二分なVRMスキルをお持ちのご両所だけに、次年度はそこらへんを意識してリベンジを図っていただきたい。本年の45-50s氏の手になる大賞作は、まさにそこを究めた作品なのであって、無論そこへ至る道程は決して短くはないが、隔てる壁は実は紙一重なのである。
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