2007/11/29

車両基地のある都市 & 二両の気動車/仙コリ氏  霊魂補完計画

以下はI.MAGiCレイアウトコンテスト2007参加作品のレビューです。作品は結果発表のページからダウンロード可能です。

主催者による講評文中でも「鉄道模型のプランとしてボード上に構築できそうな作品」という表現があったが、そこで例に挙げられていたローカルプラン/junichi氏山麓温泉/十衛門氏と並んで、鉄道模型レイアウト風のコンセプトを採用しているのが仙コリ氏の手になるこの二作である。

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<車両基地のある都市 by 仙コリ氏>

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<二両の気動車 by 仙コリ氏>

好みの問題かも知れないが、とお断りしつつ。

VRMで設計したリアル鉄道模型レイアウト作りを何度となくやってきて実感しているのは、VRMで見栄え良く感じる設計は、鉄道模型レイアウトの実装としてはやや五月蝿い、という印象である。逆に言うと、鉄道模型レイアウトとして丁度良い感じの実装密度は、VRMレイアウトとしてはやや間延びを感じる。

この観点からすると、忠実に鉄道模型レイアウトの定石に沿った十衛門氏の作品に対し、仙コリ氏の作品はよりVRM寄りの手法で手がけられた作品であると言えるだろう。これは、両作ともに長遠景を意識した背景テクスチャが採用されていることにも現れていると思う。一方で、junichi氏の作品と比べると(junichi氏があまりに突出しているがゆえに)VRMであるがゆえのインパクトにやや欠ける、という感はある。

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前年のレイコン覇者である櫻隼氏も絶賛した博物館をはじめとして、仙コリ氏のVRMスキルは極めて高い。特に上にも示した「二両の気動車」の駅と駅前構造は、余人には容易に真似の出来ないセンスを感じた。

惜しむらくは、これを無理に鉄道模型レイアウト準拠の世界に押し込んでしまったがゆえに、その魅力を引き出しきれていないのではないか、という点である。ここが、結果的に鉄道模型レイアウトでも再現できそうなモノになったが、方向性としてはVRM表現の極北を目指して至ったjunichi氏の境地との、些細ではあるが、同時に決定的な断絶なのではないだろうか。

一方で、仙コリ氏の作品は、VRMのノウハウをリアル鉄道模型レイアウト作りにフィードバックする、という視点で見ると、レイアウトコンテストとは違った意味での示唆を含んでいるように思える。これについては、ボクのライフワーク(?)との関わりもあるので後日稿を改めよう。
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2007/11/28

夕闇の駅/櫻隼氏 & 美濃赤坂駅/USO800鉄道氏  霊魂補完計画

以下はI.MAGiCレイアウトコンテスト2007参加作品のレビューです。作品は結果発表のページからダウンロード可能です。

スクリーンショット部門から、実在風景再現系の秀作を2つ。

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<夕闇の駅 by 櫻隼氏>

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<美濃赤坂駅 by USO800鉄道氏>

言うまでもなく、これらの作品へのボクの関心はVRM世界征服計画抜きには考えられない。諸兄ご存知の通り、量的な意味で世界征服計画を引っ張っているのは、第一には他の追随を許さぬまゆきち氏であり(余談ですが、次回更新で再現駅数が1,000の大台を突破しそうですね、これはこれで何かお祭りにしたいところです>ネットVRMユーザー各位)そこから大きく遅れを取りつつ続くのが、かく言うボクである。

しかしながら、まゆきち氏にせよボクにせよ、アプローチは異なりつつも、基本的に質よりも量、一発花火よりも安定した定期リリースを重んじているので、全体としての業績の評価はともかく、個々の作品の出来不出来を問えば、あまり褒められたものでないのもまた事実だ。

意味するところは、まゆきち氏もボクも、VRMの楽しみ方の1つとしての“実在の鉄道風景の再現”をそれぞれの方法論で唱導しているのだが、その一方で、質よりも量を重んじている(これはこれで意味がある、とボク自身は思っている)がゆえに「VRMはこの程度の鉄道風景しか作れないのか」という印象を、見る者に抱かせている可能性は否定できない。いや、確実にそうだろう。本質的に観客というものは、結果のみを見てそこに至る経緯や目的を省みないものであるし、また、表現者はそれを観客に求めるべきではないのだ。

そういう問題意識が根底にあったので、櫻隼氏USO800鉄道氏の、いずれも写真と見紛う出来のスクリーンショットには、大いに励まされるとともに、いくら量を優先しているとはいえ、このレベルの作品を量産することが叶わない自身の不甲斐無さに忸怩たる思いである。

まぁ、それはさておき。

この2つの作品に共通しているのは、スクリーンショット取得に特化していない点である。その証拠に、ご両所ともに動画別アングルからのスクリーンショットを既に公開されており、これまた素晴らしい出来である。これは、部門賞作が数度でもアングルを異にすると作品の価値が激変してしまうであろうことと対象的であり、VRMが本来、任意のアングルから仮想世界を眺めることを可能にすべく設計されていることを思えば、むらP氏には恐縮ながらも、VRMの本当の表現能力のデモとして相応しいのは、ここに取り上げた両作品だと言うべきだろう。

願わくは、ご両所ともに次回のレイアウトコンテストでは、その力量を出し惜しみすることなく(櫻隼氏は既にその実力を証明済みではあるけれども)並み居るライバルたちを震え上がらせて欲しい。ご両所の今回の作品は、然るべきギミックを組み込んでVRM4部門に応募していれば、45-50s氏の王座を脅かしたに違いない、と少なくともボクは思っている。不躾ながら、必要があればスクリプトについては援助するので。

そして、もし気が向いて時間が許すのであれば、その表現力でもって、まゆきち氏やボクに出来ないアプローチの世界征服にもご協力いただきたい。ボクが(そしてまゆきち氏が)量でもって世界征服計画を継続し続けるのは、彼らのような才気溢れた人々の質に衆目を集めるための舞台を、常に整えておくためでもあるのだから。
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2007/11/27

Out Urban/moko氏  霊魂補完計画

以下はI.MAGiCレイアウトコンテスト2007参加作品のレビューです。作品は結果発表のページからダウンロード可能です。

敢えて言おう。この作品の伊達と酔狂を解さぬ者は、ネットVRMユーザーとしてはモグリである、と。

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ま、それはちょっと大袈裟だけども。

何が伊達と酔狂かと言えば、この作品はVRM3第0号のみで楽しむことのできる、所謂“パッケージ限定レイアウト”であること。パッと見、あまりに見事な地形テクスチャに騙されてパッケージ限定とは思わせないのが、画像職人moko氏の職人たる所以。

そして、単なるパッケージ限定ではなく、敢えて“VRM3第0号限定”にしているのが本作のミソであり、その意図するところは作品に添付された資料を読めば理解できる。そう、本作は、VRMの黒歴史となって久しいBahnsim PROで楽しめるようにチューニングされたレイアウトなのである。その証拠に、添付資料はすべて日英併記されているのだ。

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となれば、これまた見事な地形テクスチャで既成部品の組み合わせかと見紛う公園に、新幹線0系が静態保存されているのもむべなるかな、今なお“Shinkansen”は世界的に日本の鉄道技術の代名詞なのだから。そう、一見地味な(ここがまたmoko氏らしさ炸裂でボクは好きなのだが)このレイアウトは、実は国際的なセンスの下に作られた作品であり、同時に、かの黒歴史をなかったかのように扱いつつある開発・販売元に対する最高の嫌味なのである。

いや、作者ご本人がそうお考えか否かは知る由もない。が、少なくとも、ボクはレイアウトコンテストの主催者/審査員はそのことに思いを馳せるべきだ、と思った。いや、今からでも遅くない。思いを馳せろ、コラ。

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まぁ、実のところは、ボクが対欧工作に飽きてしまったため、砲弾として提供しようと造営したもののお蔵入りしてしまった作品があって、それが今回のレイアウトコンテスト用に流用されたのではないか、という気もしないでもない。

そういう政治的(?)な観点は抜きにしても、本作の地形テクスチャの利用には、VRM3ユーザーのみならず、VRM4ユーザーも学ぶべき点が多い。特に、上掲スクリーンショットの学校のプールは、シンプルながら秀逸で、グラウンドやテニスコートの出来栄えもあって、目前のビルを校舎以外の何物でもなく見せているのが凄い。

潤沢な部品を過剰に組み合わせての無理やりストラクチャも面白いが、周囲の地面の工夫だけで、単品では変哲のない建物を他のものに見せてしまう、というアプローチは、Weblogの一発ネタとしてではなく、レイアウト作品の要素としての無理矢理ストラクチャのあり方を考える上で、ネットVRM界隈の現状に一石を投じている、とまで分析すると言葉が過ぎるだろうか?
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2007/11/26

貨物列車で行こう!/漆黒氏  霊魂補完計画

以下はI.MAGiCレイアウトコンテスト2007参加作品のレビューです。作品は結果発表のページからダウンロード可能です。

同じ作者の前年度の作品同様に、ダイナミックな地形が独特の雄大さを醸し出している逸品である。

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ボクは、漆黒氏の昨年の作品を“サイバーパンク的”と評したのだが、本作は良い意味でその奇矯さが抜けて、安心して眺めることのできる風景になったように思う。事実、本線上の全編成が自動運転されていることもあって、この作品はついついフライスルーカメラでレイアウトをウロウロしながら、長時間眺めてしまう、そういう魅力がある。

その一方で、はて、漆黒氏はこのレイアウトのどこを見て欲しいとお考えなのだろうか?、と疑問に感じるのも、これまた事実である。ボクは、自作のリアル鉄道模型レイアウトにしても、コーヒーを片手に手放し運転しながらボーッと眺めることを好むので、文句なしに漆黒氏のこの作品が好きである。が、勝敗を競うレイアウトコンテスト作品として考えた場合、インパクトを伴うメッセージ性が欠如している、という瑕疵は否めない。

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しかし、それは本作の価値を何ら貶めるものではない、とボクは思う。上掲スクリーンショットは、ボクが思わず見とれてしばし立ち止まってしまったポジションであるが、絶妙な地形テクスチャ配分の築堤に遊ぶ子どもの姿と、Zio氏の手になる天球テクスチャが織り成す何とも優しげな情景に、心が洗われた気分になった。おそらくはZio氏も、このように自作が利用されれば、作者冥利に尽きることだろう。

ある意味において、この優しさこそが、漆黒氏をしてレイアウトコンテストの大賞争いから脱落せしめた要因かも知れない。先だっても述べたように、年々レベルアップの激しいレイアウトコンテストにあっては、受賞争いは熾烈を極めており、優しい情景のみでは生き残れない厳しさがある。しかしながら、漆黒氏におかれては不本意かも知れないが、ボクは漆黒氏には是非この路線を貫いていって欲しい、と勝手な思いを抱きもする。だって、好きだもの、こういう風景。ボクには作れないし。

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閑話休題。

ネットVRM界隈における本作最大の意義は、上掲スクリーンショットに示すポイントマシンの表現である。コレはすごい、本当にすごい。と言うか、コレをやられてしまうと、来年以降のレイアウトコンテスト参加作品については、コレ相当のモノを何とかして組み込まないことには、恥ずかしくて応募できないぢゃないか!、とすら思う。

VRMユーザー発の無理矢理ストラクチャテクニックは数あれど、今後コレは標準装備だ、とまで思わされたものは、少なくともボクにはこれまでなかった。この一事のみをもってしても、本作はVRMレイアウト史に残る名作に数えるべきだろう。
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