2007/12/13

レイアウトコンテスト2007総括(その3)  霊魂補完計画
どーでもいい話ですが、夕べの職場からの帰り道、初めてN700に乗りました。っつーか、その車中でこの原稿を書いていたりするワケですけども、なんか、室内灯の色がノーマル700系と違って黄色がかってて落ち着きません。

それはさておき。

主催者による講評中でも触れられていましたが、リアル鉄道模型レイアウトとして施工してもおかしくないコンセプトの作品が、VRM3/4を問わず多数寄せられたことも、今回のレイアウトコンテストの特徴と言えるでしょう。

思えば、そもそも商品名が「鉄道模型シミュレーター」であるにもかからわず、VRMは必ずしも名前通りの使われ方を(表立っては)してこなかった不遇(?)の製品です。とりあえず目の届く範囲でネットVRM界隈を見渡しても、リアル鉄道模型レイアウトの設計ツールとしてVRMを利用している方はごく僅かで、また、いたとしても“ネタ”的な扱いを受けていることがままあります。

昨日、I.MAGiC HOBBY WORLDのお知らせにも紹介されていましたが、成り行きで書いた拙新刊『鉄道模型シミュレーターレイアウト設計入門』が、去る10日に皆様お馴染みの工学社から出版されました。これとの絡みで一言申し上げよう、というのが本稿の趣旨です。

ああいう本を二冊も書いておいて言うのもアレゲですが、ボク自身は、リアル鉄道模型レイアウト風のVRMレイアウトがVRMの王道である、とは毛頭考えていません。VRMをリアル鉄道模型レイアウト設計に利用するのは、あくまでもVRMの使い方の一例に過ぎない(でありながら、広く鉄道ファンに対して訴求力のある例であるとは思いますが)のであって、VRMユーザーすべてがそのようなVRMレイアウト作りに挑戦しなければならない法はありません。

それでも敢えてネットVRMユーザー読者諸兄に訴えたいのは、腕に覚えのあるVRMユーザーは、是非ともリアル鉄道模型レイアウト風の、つまり、やろうと思えば物理的に施工することができるVRMレイアウト作りに挑戦し、さらにはその力作をネット上でスクリーンショットや動画を交えて公開していただきたい、ということです。

必ずしも、貴兄自身がリアル鉄道模型レイアウトの施工までをおこなう必要はありません。VRMレイアウトを何らかの形で然るべく公開すれば、ときにリアル鉄道模型レイアウトとして作ってしまう方が現れることは既にボクが証明済みで、『鉄道模型シミュレーターレイアウト設計入門』でも3つの事例を紹介しています。

が、ボクが皆さんにリアル鉄道模型風のVRMレイアウトをお奨めするのは、「誰かがそれを施工してくれるかも知れないから」ではありません。それはそれで面白いですが、あくまでもそれは嬉しい副産物です。

鉄道模型レイアウト作りにあっては、我々VRMユーザーはリアル鉄道模型のみ手がける方々に対して、一方的に有利な立場にあります。そのココロは、鉄道模型レイアウトは、そんなにいくつもポンポンと作るものではない(もちろん、例外はあるでしょうが、あくまでも例外です)ので、鉄道模型愛好家のレイアウト設計・施工経験というものは、個人単位で見るとたかが知れている、という点です。

これに対し、VRMユーザーは、時間の許す限り、原理上は無限のバリエーションの鉄道模型レイアウトを設計できます。極端な言い方をすれば、仮にVRMなんぞに引っかかった我々が、まっとうな鉄道模型愛好家に対して知性で50%劣っていた(苦笑)としても、数にして10倍のレイアウト設計を自ら試行錯誤して経験すれば、その設計センスにおいては、引き分けることはあっても決して負けることはないし、負けてはならない、という話です。

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<リアル鉄道模型風の秀作「山麓温泉/十衛門氏」より>

で、そういうモノをインターネット等の手段でバンバン世の中に公開しまくってですね、世の人をして「鉄道模型と言えば、NとHOとVRMだよね」と言われるまで持っていきましょう、というのがボクの意図です。VRM世界征服計画以上に無茶な話に聞こえるかとは思いますが、その世界征服計画も、日本全国四十七都道府県制覇は既に達成され、通算1,000作例も2008年中にはほぼ確実に手が届くのが見えています。どんな無茶な目標であっても、地道に日々積み重ねていけば、決して手が届かないことはないことを、ボクらは既に自ら経験しているんですね、実は。

そういう観点で今回のレイアウトコンテスト参加作品を見ると、部門賞作“ローカルプラン/junichi氏”は当然として、上掲の“山麓温泉/十衛門氏”“車両基地のある都市/仙コリ氏”などのVRMレイアウトは、一見リアル鉄道模型レイアウト風でありながら、VRMレイアウトとしてでなければなかなか思いつかないアイデアを多数含んでいるという点において、まさにボクが本稿で言わんとするところを先取りした作品であると言うことが出来ます。やや我田引水に過ぎる感もありますが、少なくともボクはそう信じています。

『鉄道模型シミュレーターレイアウト設計入門』の執筆意図もそこにあります。あれは、本屋の棚でリアル鉄道模型愛好家を釣り、その視線をVRM入道の読者諸兄たるネットVRMユーザーの活動へと誘導する目的で書かれました(アレを既に読んだ方は、これが極めて手の込んだ“ギャグ”であることに気付くことでしょう)。あとは、鉄道模型愛好家を驚かせるような作例を作って、とれたてVRMのホットエントリにでもしてしまえば、千客万来とまでは申しませんが、拙著を手にとってくださった方々の視線が皆さんに届くはずです。

なぜなら、VRMに関心を持った彼らの次なる関心は「これは著者・鷲尾宣明=ghostの極端な個性によるものなのか、それともVRMユーザーであれば大なり小なり共通して実現可能なものなのか=VRMユーザーになれば自分にも出来るのか?」に向かうはずだからです。VRMを鉄道模型界の一角を占める存在に押し上げるべく、それを証明して見せるのは、ボクももちろん努力を続けますが、本質的には皆さんの仕事です。大袈裟に言えば、皆さんのうちの誰かが、山崎喜陽先生、とまではいかなくとも、日本の鉄道模型、果ては鉄道趣味の世界にその名を残すチャンスなんです、これは。

そういう(いささかキチガイっぽい)観点に立ったとき、junichi氏の“ローカルプラン”をはじめとする、今回のレイアウトコンテストのリアル鉄道模型風の作品群は、たちまちに目に見える目標です。そういうワケで、かの作品群でもって応募された諸兄の“古くて新しい”先見性に改めて表敬するとともに、読者諸兄の中から「我こそは!」と名乗りを挙げる方が現れることを期待します。

っつーか、いつまでもボクが独りで暴れてたらつまらんでしょ、いろんな意味で?
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2007/12/11

レイアウトコンテスト2007総括(その2)  霊魂補完計画
ある意味において、レイアウトコンテストの大賞作品というのは、その時々の、広くはいわゆる“ネットVRM界隈”に対しての、狭くはVRMを楽しむ銘々のVRMユーザーに対しての“課題設定”だ、と考えることが出来ます。

2005年2006年の大賞作は(それぞれの作者にそういう意図があったかどうかはともかく)どちらかというとミクロな一発ネタに走りがちであったネットVRM界隈に対し、マクロ的な情景作りへと皆の目を向けさせるカウンターアタックの役割を果たしました。

そして、今年の大賞作は、いよいよ充実してきたVRM4を使って、情景のみならず(レイコンの総評の表現を借りれば)「架空の鉄道」を作ることが出来ること・・・しかもそれは、見るだけではなく、参加することが出来る!こと・・・が可能であることを強く印象づけるものでした。

これに追従するには“VRMスクリプト”という大きな壁(後日論じますが、スクリプト自体は本質的な壁ではありません)があるため、必ずしもマクロな情景作りほどの勢いで浸透することはないと思われますが、それでも、今後のVRMユーザーの作品傾向に少なからず影響を与えることは確実でしょう。

ここで問題となるのが、その作品の見せ方、特に“非VRMユーザーに対する見せ方”ではないか、というのがボクの只今の関心事です。

マクロな情景作りがなされたVRMレイアウトは、もちろんVRMビュワーでその情景の中を飛び回ってこそその魅力を満喫できるものではありますが、引き気味のスクリーンショットによっても、その魅力を非VRMユーザー=これからVRMユーザーになるかも知れない鉄道ファンに伝えるには十分であったと言えるでしょう。

これに対して、45-50s氏の今回の大賞作のようなVRMレイアウトは、前回述べたようにスクリーンショットのような手法のみでは、その本当の面白さが伝わりそうにないですし、むしろそれは、本当の面白さを矮小化してしまう恐れすらあります。

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<情景もスクリーンショットだけで本当にOK?/junichi氏「ローカルプラン」より>

いや、それを言えばマクロな情景作りにしても、スクリーンショットのみで十分にその魅力を伝えることが可能であったかどうか怪しいものです。

たとえば、上掲スクリーンショットはjunichi氏の部門賞作です。パッと見、細部まで作り込まれた立体的な情景に魅入られますが、実はこの部分の最大の魅力は、上下線に見える向かって左側の分岐が、全体ではリバース線構造となっていて、一方の線を通過した列車がもう一方の線を続けて通過することであり、さらには、巧妙な沿線の地形造成の効果で、運転台視点からでは俄かに同じ駅を通過したと感じさせないところ、にあります。

この面白さはスクリーンショットだけでは伝わりません。であるからこそ、junichi氏はコンテストの結果発表からほどなくして、運転台視点から撮影した動画を公開されたのであろう、思います。

思えば、ボクが2003年以来、VRM動画にこだわり続けているのも、スクリーンショットだけではVRMの面白さを、未体験の人に伝えるのは困難だ、と考えているからです。が、そのボクですら、今回の大賞作については、仮に音声付の動画を生成したとしても、その真の魅力を伝えるコンテンツを作れる自信がありません。

しかしながら「この面白さを知りたければVRM(作品鑑賞に必要なパッケージすべて)を黙って買え!」と言うのは、どうにも乱暴に思えます。いかんせん、VRMは使う人を選ぶアプリケーションであり、万人にお勧めできない一面もあります。が、同時に、VRMの購入にまで至らなくとも、その魅力を知る人を少しずつでも増やしていきたい、という衝動もまた、抑え難く抱いているのはボクだけではないはずです。

そういう意味で、読者諸兄に対し、今から翌年のレイアウトコンテストのレビュー祭まで、を目安に各自で考えてみて欲しいと思っているのが「どうすれば、インターネット上のコンテンツとして(たとえば)45-50s氏の大賞作の魅力を非VRMユーザーに伝えることができるか」その方法論の研究です。

ボク自身、その答えは持ち合わせがありません。また、仮にそれが見出せたとして、少なくないネットVRMユーザーが真似ることが出来るような、一般的な方法論に落とし込めるかも未知数ではあります。

もちろん「VRMはそういう製品なんだから、しょーがないじゃん、なんでユーザーが開発販売元の至らなさをフォロしなきゃならないのよ」という態度もアリかとは思います。なので、誰にも無理強いはしませんし、この研究に参加しない人に対して「オマエは真のネットVRMユーザーではない!」みたいなことを言うつもりもありません。

つまるところ、これはmoko氏の今年度の作品にボクが見出したのと同じ“伊達と酔狂”です。VRMという、与えられたものを与えられたまま遊び、思いつくままに不平を述べる・・・まぁ、それはそれで楽しいのですが、そこから一歩はみ出してですね、与えられたものを与えられた以上に使いこなし、思いついたら無理やり実行あるのみの“伊達と酔狂”、その狂気的な面白さを、皆さんと分かち合っていきたいな、というのが、ボクの思いです。

あ、もちろん、開発元/スーパーバイザー各位におかれては、伊達と酔狂のユーザー風情に笑われないように、翌年のレイアウトコンテストを目指して精進してください、と申し上げておきます。
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2007/12/9

レイアウトコンテスト2007総括(その1)  霊魂補完計画
ここまで、レイアウトコンテスト2007参加作品の全作(スクリーンショット部門については一部抜粋)勝手にレビューをお届けしてきたワケですが、翌年以降のレイアウトコンテストに資するべく、総括を何回かに分けて書いておこうと思います。

と、以上は去年のリードからの使い回しです。

昨年は、どちらかというとレイアウトコンテストの参加者=VRMユーザーが、翌年(つまり今年)のレイアウトコンテストを目指してどうしていこうか、という視点から書きました。同じ視点で書くと、きっと、以降も去年の使い回しになるので、ちょっと視点を変えて書いていこうかと思います。

*     *     *

今回、45-50s氏の「海峡を往く」が大賞に輝いたワケですけれども、これは、今後のネットVRM界隈のコンテンツの見せ方を考える上で、非常に象徴的であったと思っています。

と言うのも、昨年までのレイアウトコンテストは、結果発表ページに掲載される作品のスクリーンショット・・・当然のことながら、これは作品のほんの一部に過ぎません・・・を見た時点で、あぁ、なるほど、コレは大賞だ、これは受賞作だ、と納得がいく場合がほとんどでした。しおじ氏の「敦賀」然り、櫻隼氏の「現代ローカル風景」然り。

然るに、今回の大賞作は(主催者のスクリーンショットの撮り方がナンセンスであることを割り引いても)パッと見の印象だとjunichi氏十衛門氏の作品と甲乙つけ難く感じてしまうワケです。が、「海峡を往く」のレビューにも書きましたが、これはもちろん45-50s氏が大賞に相応しくない、という意味ではなく、熟達したVRMユーザーが増えてきたことと、そしてそれ以上に、特にVRM4レイアウトの作品の魅力が、スクリーンショット=見た目だけではわかり辛くなってきたことに起因している、とボクは考えておるワケです。

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<船入れたいならこのアングルじゃね?/45-50s氏「海峡を往く」より>

事実、VRMビュワーで「海峡を往く」と「ローカルプラン」を実際に動かしてみるとその差は歴然としていて、“絵”として強烈なインパクトを有する「ローカルプラン」に対し、「海峡を往く」は“絵”としてもさることながら、“動き”そして“音”、さらには仮想鉄道世界への“参加感”が、今回の参加作の中では突出したレベルでした。

つまるところ、「海峡を往く」を、見る者をして“これこそ、まさに大賞作だ!”と納得せしめるべくプレゼンテーションするには、スクリーンショットという方法はまったくの論外であって、少なくとも音声を伴った動画か、そして当然のことながら実VRM環境で見せるしかないワケです。

これは、狭くにはレイアウトコンテスト主催者側が、そのような応募作品の傾向変化を把握せず、旧態然とした結果発表をおこなったことに対する問題提起ではあります。まぁ、主催者側からしても(そしてボクからも)「海峡を往く」の突出した世界構築力は予期せぬ事態であって、それに対応する手法も持ち合わせがなく、心構えも出来ていなかった、という見方も出来るでしょう。が、厳しいことを言えば、古くは2002年度のTatsuo氏の大賞作(カメラ列車視点で道路を走行する)や、2005年度の拙作「お召しトワイライト」あたりが、既にこの方向性を内包していたワケで、やはり、主催者側の認識の甘さは指摘せずにはおれません。

そして、広くには、ネットVRMユーザーたる我々全員への問題提起です。さて、何を言い出すのでしょうか。銘々で想像しながら(←これが重要です)次回をお待ちください。
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2007/12/8

都市開発その1/ototetsu氏 & 新幹線と整備工場/文ちゃん氏  霊魂補完計画

以下はI.MAGiCレイアウトコンテスト2007参加作品のレビューです。作品は結果発表のページからダウンロード可能です。

既にお気づきかと思いますが、ボクはレイアウトコンテスト作品のレビューを書くにあたり、取り上げる順序にあるルールを定めています。

大賞作/受賞作から始めて、それ以降はボクの中での評価が高いものから順に書いていってます。また、甲乙つけがたい場合は、VRM4部門作をVRM3部門作に優先して先に取り上げてきました。つまり、2007年度に関して言えば、受賞作を除いてボクが最も高く評価した作品はhirochi氏の“SD・東京ぬりえ”であり、それに続いて山麓温泉/十衛門氏WAMU-HACHI ADVENTURE/45-50s氏都市開発/かずぼっくり氏が甲乙つけがたかった、という順序になっています。

ただし、どう考えても受賞作には(良い意味で)なり得ない“SD・東京ぬりえ”が上位に来ていることからわかるように、ボクの評価基準は必ずしもコンテスト審査員のそれと一致しませんし、ましてや、それぞれのVRMレイアウトとしての絶対的な価値とは無関係です。

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<都市開発その1 by ototetsu氏>

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<新幹線と整備工場 by 文ちゃん氏>

そのような流れで、今回がレイアウトコンテスト2007作品レビューの最終回になるワケですが、最終回ということは、ここが(少なくともボクの中では)ボトムラインということになりますので、ototetsu氏と文ちゃん氏には、いささか申し訳ない気分にもなるのであります。

ご両所の作品を拝見して感じるのは、VRMの基本はやはり90度のカーブから始まるのだな、という点。かく言うボクも、初めてVRM2で作ってみたレイアウトは、4つの90度カーブからなる四角いトラックプランでした。そして、そこからどのように脱却していくか、が、VRMユーザー銘々の個性として後々まで強く反映されていく、と思っているのですが、はてさて、ご両所はこれからどのような方向へと伸びていかれることでしょうか。

しかしながら、これらの作品が価値のないものであるとか、こんな作品をレイアウトコンテストに出すべきではない、などという気持ちは毛頭ありません。なぜなら、今回取り上げている2作こそが、VRMを初めて手にとった初心者=大多数のVRMユーザーにとっては、最も身近な作品だと思うからです。そう、誰もがここから始まるのですから。

有り体に言えば、45-50s氏junichi氏の作るVRMレイアウトは、ビギナーから見れば神作品なのであって、普通の感性の人であれば、自分にも同じものが作れる、とは考えないだろう、と思うワケです。そして、レイアウトコンテスト参加作品すべてがそのような作品で占められてしまうとすれば、それは事実上のビギナーユーザーに対する締め出しに他なりません。

そういう意味で、ボトムラインの作品がある、ということは、それがあるということ、ただそれだけで価値がある、とボクは思います。と同時に、そのような雰囲気を維持していくためには、たとえば、I.MAGiCはユーザー登録の履歴を調べることで参加者の“VRM歴”を容易に知ることが出来るのですから、VRM歴1〜2年未満のユーザー限定の“新人賞”を設けても良いのではないか、と提案しておきます。
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