2006/7/2

#21 クールかつホットなロック魂−45-50s殿(後編)  VRMユーザー紳士録
前編はこちら】

● メタ視点からネットVRM界隈を考えよう

VRM入道(以下入): 45-50sさんは、ネットVRM界隈をメタ認知できる数少ないネットVRMユーザーのお一人だと思っています。
45-50s氏(以下4): 僕自身が「自分の視点」を信じていないからそういう語り口になるんじゃないかと思います。もし僕が「自分の視点」だけからそのまま文章を書いたら、きっと今以上に独善とエゴと私利私欲でいっぱいの、とても読むに堪えない文章になるでしょう。
入: 私が45-50sさんをもう少しご年配の方だと思い込んでいたのも、なかなか20代でそういう認識に立てる人が少ないからです。大抵の人はエゴ剥き出しになるか、あるいはそう見られるのを恐れて沈黙しますから。
4: ありがちな言い方かもしれませんが、いま自分のいる場所からは地平線の向こうは、そして自分自身も見えないわけです。それを見るには、離れた別の場所に行く、つまり、他者の視点になりきるか、あるいは宇宙船に乗って上空から眺めるしかありませんよね。もちろん実際にはそんなことはできませんが、よく何か考えるときは想像、あるいは妄想でもってそれらの視点になったつもりで考えます。逆に言えばそうやって書いた文章は単なる妄想の産物に過ぎないのですが、それでも他所の視点に目もくれないよりは、妄想であっても思いを馳せること自体は大事だろうと思います。
入: そういう45-50sさんだからこそ、ネットVRM界隈全体を俯瞰したお話をしてみたいと思います。私の認識では、この半年くらいでネットVRM界隈の雰囲気が大きく変化したように思っています。これは、表面上はweblogの流行があるとは思いますが、それだけではないようにも感じています。
4: 変化とは、新しいユーザーが急に現れはじめた、あるいはより根本的に、新しいユーザーが現れうる環境が整ってきたということでしょうか。それとも逆に、現われはじめた新しいユーザーによって何か新しい流れができつつあるということでしょうか。
入: いい表現ですね。両方だと思います。
4: いずれにしても、weblog系ツールの充実が変化の理由かどうかはわかりません。むしろ個人的には、VRM侍の誉め殺しが遅効性の効果としてあらわれはじめたのではないかと考えています。誉め殺しに対してしばらく様子見を決め込んでいたネットVRM界隈の雰囲気がようやく緩んできたのが、半年前だったのではないでしょうか。最近はghostさん以外の方も、以前よりずっと積極的に他のユーザーの名前を挙げるようになりましたね。以前は一方的に自身の成果を発信するだけ、というと語弊がありますが、誰かから声をかけられることをただ待っていることが多かったのが、最近は相互交流に近いものができつつあるのかなという気はします。
入: ある意味、それは私が強く望んでいたことでもあります。
4: 僕のスタイルにも通じる話ですが、後発のユーザーはVRMにおいて自分固有のアイデンティティをもっていることは稀でしょうから、それを探すために必然的にそういう相互交流に流れが傾いたのではないでしょうか。

● 今、ネットVRM界隈に欠けているものは?

入: 同意します。さて、何事もそうなんですが、変化というものには常に良い面と悪い面があると思います。今のネットVRM界隈の良い点、というのは何ですかね。
4: まさに、より積極的な相互交流がはじまりつつあることです。これは将来、Bahnsim PROを介しての日欧の交流がはじまったときにも、間違いなくよい影響を与えるでしょう。あと、ネットVRM界隈って平和ですよね。荒らしとか、罵詈雑言とか、ネットVRM界隈はとりあえずそんなこととは無縁で、ネットVRMユーザーの皆さんの人柄ゆえだと思います。
入: でも、平和っていうのは、悪い面もありはしませんか?
4: そうですね。荒れないというのは、裏を返せば同じ様な人たちが馴れ合っているだけだから、とも言えますから。そういう意味では、ほかの仮想鉄道系ゲームやリアル鉄道模型のような隣人との交流はもっとあっていいかもしれません。そのためにはもっと我々の知名度を上げなければいけませんけど。
入: 私もそこが課題だと思っています。相互交流は確かに活発になっているんですが、まだまだ「自分のWeb/blogに他のVRMユーザーを招き寄せる」だけに留まっているように思うんですね。それはそれでいいんですが、こういうのって、チャネルが合わない人から見れば単なる内輪ウケだし、昔から交わってないと非常に入り辛くなってしまうと言うか。内部では交流が盛んな「閉じた村」と言うか。
4: 閉じた村といえば、せっかくユーザーたちが築き上げてきたVRMの資産が参照しにくいことがありますね。
入: そこですよ。VRMを知らないとVRMネタは読めない、わからない、というのでは、先ほどおっしゃったような「我々の知名度を上げる」にも貢献できないし。ただ、ネットVRM界隈ではそういう外へ向かう意識への評価がまだまだ低いのかな、という気がするんですね。ネットVRM界隈の中に限っても、わかってくれる人だけをターゲットしてネタを撒くことの繰り返し、みたいな。
4: でも、難しいですよね。外部にも理解されるように整理した情報発信を継続的に保守するのっておそらく想像する以上に面倒な作業でしょう。決して水を差すつもりはないのですが、たとえばあるネタが有用か否かの取捨選択にしても、有り体に言えば選択者の主観で決めてしまうのはあまりよろしくないですし、特に自分の選択眼は客観的だという自負のある人が行うのはまずいでしょう。かといってブレのない明確な採用基準を策定するのもなかなか難しいと思います。
入: むしろ私なんかは、その「選択眼」を複数の人が競い合ったりすると面白いと思うんですけどね。VRM侍はそういうあり方の例を狙っていたんですが、45-50sさんの仰るように「ghostは自分の選択眼が客観的であることを自負している」って誤読してた人の方が多いような気がしています、それが嫌で「出家」したんですが(笑)。こういうのって、ライバルがいないと駄目なんで。
4: さきほどネットVRM界隈が平和だと言いましたが、ghostさんも仰るように、それは健全な批判意識が欠落している、ということでもありますよね。その根っこには自己完結を良しとする観念があるように思います。ネットVRM界隈が外へ向かって閉じていると同時に、個々のVRMユーザーの多くがほとんど自覚なしに閉じている。
入: そこらへんが現在のネットVRM界隈の限界なのかな、と思いますね。もちろん、だから駄目だ、というワケではなくて、今はコミュニティ進化のそういうステップにネットVRM界隈が差し掛かっているってことだと思うんです。
4: 界隈がなんとなく停滞していることは感じていても、では具体的に何をなすべきか、についてはさっぱり思い至りません。できるのは、せめて自分の過去資産だけでもアクセス性を高めるために目次を作ることと、レイアウトやスクリーンショットに他のVRMユーザーの皆さんの資産を積極的に取り入れて、自ら開かれた相互交流の実例を示していくことくらいです。
入: いや、そういうことの積み重ねにこそ価値があるんだと、思いますよ。ネットVRM界隈的にも、そして、それに挑戦する本人にとってもね。

● そんな45-50sさんが“誉め殺し”たいVRMユーザーとは?

入: 期待に違わず、濃いお話を伺うことが出来て楽しかったです。蛇足的ですけど、対欧州工作にレイアウトを供出していただいてますが、UKロックに造詣の深い45-50sさんから、対欧交流の今後について一言。
4: 英語に慣れるべくUKロックを聴きまくることをお薦めします(笑)。
入: それ、あんまりVRMとは関係ないし(笑)。
4: 今回Bahnsim PRO砲兵隊に参加させていただいたのは、Bahnsim PROのためというよりも、自分のVRMレイアウトが欧州ユーザーに楽しんでもらえるかもしれないということへのワクワク感からです。大学生になったばかりの自分には、まだまだ外国は遠い存在ですから。日欧ユーザーの交流については、明確なビジョンはないです。何しろどんなものになるのか想像が付きません。ただ彼らがBahnsim PROを使って一体どんなレイアウトを作ってくるのかということには大いに興味があります。あとは、欧州ユーザーの中から「Homekoroshi - VRM Knight」みたいなのが出てくれば面白そうですが。
入: ああ、私もそれ読みたいです(笑)。向こうの人は一般的に批評精神旺盛ですから、私のような中途半端な斬り方ではなく、それこそ馬上から槍で串刺しにするような突っ込みをしてくれる人が出てくるかも知れませんね。では、お決まりのヤツを。ボクは出家して「誉め殺し」は止めたんですけど、遠慮なく誰かを誉め殺してください。
4: まずは啓明さんですね。啓明さんの作品には不思議なリアリティが感じられて、学ぶことが多いです。一見王道のつくりなのに誰にも真似ができないという、これはすごいことですよね。もう一人はfoxさんです。foxさんはいまのネットVRMユーザーで最もビギナーに開かれた方ではないでしょうか。ビギナーからエキスパートまで皆の役に立ついくつものWebといい、そこかしこにテクニックの詰まった巨大レイアウトやムービーといい、ネットVRM界隈に無くてはならない存在だと思います。
入: 最後に。ズバリ、45-50sさんにとってVRMとは何ですか?
4: “創造力のちから試し”です。
入: ありがとうございました。

注)本稿はQ&A式のメールのやり取りを元に、対談風の記事にまとめたものです。かならずしもご協力いただいたネットVRMユーザーの発言そのままを反映しているわけではありません。文責はすべてghostにあります。
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2006/7/1

#21 クールかつホットなロック魂−45-50s殿(前編)  VRMユーザー紳士録
久しぶりのVRMユーザー紳士録です。
今回は、ボクが個人的にこれからのネットVRM界隈を背負って立つ逸材と目している、この方をお招きしました。

VRM入道(以下入): と言うワケでよろしくです。
45-50s氏(以下4): おおッ、ついに赤紙が!

● 難読ハンドル名の秘密が今明らかに!

入: まずは、簡単な自己紹介からお願いできますか。以外に45-50sさんの素顔は知られていないように思いますので。
4: 去年の春から札幌に暮らす大学生です。半年前に酒が飲める年齢になりました。
入: ということは20歳ってことですよね。これは意外でした。私の見積もりでは、45-50sさんは、少なくとも私と同年代か、少し上だと考えていました。というのも、非常に感情が抑制された落ち着いた筆致でお書きになるので、よもや私よりも一回り以上年下の方とは想像しなかったからです。
4: それは僕にとってうれしいお誉めの言葉ですが、まー出家したとはいえ、ghostさんの仰ることですからね、話半分に聞いておきましょう。
入: ハンドル名ですが、本当に「よんじゅうご、ごじゅうっす」と読むのが正しいんでしょうか?
4: はい(笑)。このハンドル名はイギリスのバンド「22-20s」が「おっさんになったら45-50sに名前を変えて活動してるかもね」と冗談交じりに言っていたことからいただいたものです。僕は22-20sのことを無意識に「にじゅうに、にじゅうす」と読んでしまうので、45-50sも「よんじゅうご、ごじゅうす」なんです。
入: twenty-two twenties ですよね、元ネタの方の本来の読み方(笑)。と言うことは、weblogのタイトルになっている「such a cool」も・・・?
4: ヴォーカルのMartinの処女作「such a fool」からきています。他にも「such a wool」とか「such a pool」とか、意味不明な候補が多数ありました。
入: 以前もネタにさせていただいたことがありますが、名が体を見事に現していていいと思いますよ「such a cool」って。ネットVRM界隈への参戦は比較的最近という感がありますが、VRM歴自体は長いんですか?
4: 去年の7月にダイレクトショップでVRM3の0,2,3,5号を購入したのが最初です。このときVRM4と迷いましたが、部品の豊富さとPCのスペックへの考慮からVRM3を選び、あとはひたすら個人的に楽しむつもりでした。VRM4の新号がどんどん追加されようと、VRM5が出ようと、VRM3を買い込んだが最後、あとは黙々とひとりでVRM3で遊び続けるつもりだったんですよ。
入: ということは以外に短いんですよね。
4: そのうちにネットVRM界隈を見ているだけではつまらなくなったので、ranmei板の画像コンテストに参加し、次いでブログを始めました。VRM4をはじめたのは、such a coolの初日の記事をご覧になればわかるとおり、記事を書いているときに届いた第2号からです。

※ ranmei板デビュー当時の氏は「Gallagher」と名乗っておられました。これもUKバンド「OASIS」のメンバーに由来するハンドル名だそうです。

● such a cool スタイルの核心に迫る

入: 45-50sさんのスタイルには関心しているんですよ、いろいろと。
4: と仰いますと?
入: これは良い意味でとっていただきたいのですが、ネットVRMユーザーを見ているとですね、頑なに自分のスタイルを遵守する方が多いように思うんです。たとえば、まゆきちさんであるとか、Tatsuoさんであるとか。一方で、45-50sさんはネットVRM界隈を飛び交うネタを柔軟に吸収し、なおかつ、それを見事に「such a cool」ならではのものに昇華して再発信されているな、と思うワケです。
4: 僕自身、今の自分の作風はそこにあると思っているので、このことに言及していただけたことはとてもうれしいです。自分のような後発のユーザーは、先人が存在することこそが最大のメリットだと思います。僕はまだ自分にとっての完成形なるものをつかんでいないので、エキスパートの皆さんのテクニックを再解釈して自分のものにするのに躍起にならざるを得ないのです。
入: そこはとても重要なポイントだと思います。ネットVRM界隈も随分と賑やかになってきましたが、そこには暗黒面もあって、既にいろんなことが他の人にやりつくされているように見えてしまって・・・まぁ、それは実は錯覚で、本当はまだまだ未開拓の領域がたくさんあるんですけども・・・なかなか新しい人が入って来にくくなる、みたいな。
4: 確かに、界隈の外との交流があまり無いですよね。閉じた村のまま落ち着いてしまっているようです。
入: そういう意味で、他の人のネタを吸収し、それを自らの個性に転じるコツ、のようなものを45-50sさんの口から語っていただけると、これからVRM系のWeb/blogを始めようと考えている人に参考になると思うんですが。
4: それはもう、皆さんのレイアウトや動画やスクリーンショットなどの優れた作品を楽しむことです。例えばレイアウトで遊んでいて「おおっ、この風景の感じいいな」「ギミックが面白いな」と思うような部分がありますね。それを繰り返し眺めていると「そーか、ここが自分のやり方と違う部分か」と思えるところが見つかります。何かしら“決定的な”違いがあるものです。地形テクスチャーの使い方だったり、線路の配置だったり、建造物の間取りだったり、スクリプトだったり。つまりその“決定的な違い”をはっきり明文化できればこっちのものです。
入: なるほど、興味深いご意見です。その“決定的な違い”について何か例を挙げてみていただけますか。
4: 意識して取り入れたいと思っているのは、レイアウトにおける良い意味でのラフさです。今の僕のレイアウトは、枝葉末節に労力を注いだ結果、どうも思うような出来にならないことが多いのです。しかしエキスパートの皆さんの作品を見ていると、一見手抜きともとれるようなところが、実はレイアウト全体の完成されたイメージの形成に大きくかかわっていることが多いように思います。たぶん言葉ではどうやっても伝わらないと思うのですが、全てをきっちり作ったからといって完璧なVRMレイアウトになるとは限らない、ということが事実としてあるようです。
入: 鋭い指摘ですね。最近のネットVRM界隈のネタは、ともすれば細かいガジェットに向かう傾向がありますが、そういうメタ的なレイアウト論なんかにも挑戦する人が出てくると面白いのにな、と思います。さて、一方で45-50sさんの作品からは、他のVRMユーザーのそれにはない、独自の輝きもあると思うんですが、ご自身のこだわりのようなことは何かありますか。
4: 地形テクスチャーが自作のことが多いですから、それでなんとなく違いが感じられるんじゃないでしょうか。こだわりというほどのものは少なくとも意識の上ではないです。抽象的なユメならあります。ただの仮想鉄道模型レイアウトではなくて、何か+αが感じられるレイアウトを作れることです。ただのレイアウトならいつでも誰でも作れますし、「今」「自分が」作る必要はないのです。そうではなく「コレがオレのレイアウトだ!」と自身を持って言えるようなレイアウトを作りたい気持ちはあります。それは鉄道写真に対する思いもそうですし、ギターに対しても同じです。もっと言えば趣味に限った話ではありません。

後編へ続く】
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2006/2/14

#20 VRMビネットの先駆者−啓明殿(後編)  VRMユーザー紳士録
前編はこちら】

啓明氏(以下啓): VRMの楽しみ方って文字通り十人十色だと考えますし、VRMにはそれが出来る自由度があると思います。VRMビネットも、あくまでも楽しみ方の1つの例示なんですね。それぞれが自分なりの楽しみ方を見いだしてもらえればいいんじゃないかなっと。むしろ、私なんかが思い付かないようなことをやってもらえれば。だから、VRM4EG本も、VRMはこうでなくてはいけない、と押し付けるのではなく、あくまでキッカケとして、「こういうスタイルもあったのか」と気付いてもらうもよし、「本にはこう書いてあったが、俺は別のやり方でいく」と反発してもらうのもよし、ってところですにゃ。
VRM侍(以下侍): それは重要なご指摘です。私も、そしてしおじさんもこれは思いを同じくしていると確信していますが、我々が示して見せているのは、あくまでもVRMを楽しむ上での1つの切り口であって、唯一無二の解答ではありません。ですので、「オッサンどもは引っ込んどれ!!」とか言って若手のVRMユーザーが我々を乗り越えていってくれることを強く希望しています。そのキッカケと言いますか、燃料にVRM4EGがなってくれるといいのかな、と。

● これからのVRMに期待すること

侍: 執筆に当たって、ある意味で我々は、個々人のもっている「VRMかくあるべし」みたいな主義主張は、書籍としての公共性に鑑み控え目にしていたところがあると思います。が、遠慮しっぱなし、もアレですので、これを機会に啓明さんが今後のVRMに期待すること、あたりを伺いたいのですが。
啓: 私の場合、開発側に期待するってことはしないんですよ。むしろ、与えられた物を如何に使いこなすかが楽しいところ。スクリプトなんかも自分であれこれやるんですが、始めはエラーとか出てなかなか思ったようにいかない。でも、いろいろ試してみてやっとうまくいった時の喜びは何物にも替えがたいものがありますね。
侍: 私も、その「喜び」を、より多くのVRMユーザーと分かち合いたいと願っています。
啓: この感覚は他の人に理解できるかどうか分かりませんが、私の場合、VRMを使いこなすということは、アドベンチャーゲームで謎を解いて行くのと同じなんですよ。つまり、開発者との知恵比べ。VRMに新しい機能が加わったとなると、よし、それを使って、しかも、開発者が意図しなかったようなモノを作ってやろう……みたいな? あるいは、TVゲームで裏技を探し出すような感覚?
侍: I.MAGiCの開発の方とお話しした際も、I.MAGiCがユーザーのそういうムーブメントに期待しているのは強く感じました。
啓: そういう意味では、開発者には、自由度をさらに高くしてユーザーが付け入る隙を残しておいて欲しいなっと。VRM3と比べてVRM4は、いろいろな面で自由度が非常に高くなっていると思いますし、私としても使い切れていない機能はいっぱいありますので、今のところ、お腹一杯って感じかしら?
侍: おや、やはり遠慮気味ですね(笑)。
啓: 別の観点から考えると、開発者インタビューにもありましたし、ハード記事にも少し書きましたが、VRMとPCハードウェアとの関係というのはあります。ハードとソフトの進歩は追い掛けっこなのですが、ソフトがハードの進歩を促す、ということがよくあるのです。
侍: 永遠のイタチごっこですね。
啓: いわゆる3Dゲームの黎明期、QUAKEとかDOOMが出始めの頃ですね、今まで使っていたPCでは処理が重過ぎて快適に遊ぶことが出来なかったんです。それで、みんな競ってCPUをアップグレードしたり、最新鋭のビデオカードに買い替えたりしたものです。QUAKEが快適に遊べるPC環境を持っていることが自慢になりましたからね。さらに、QUAKEベンチといって、その3Dゲームの中でベンチマークを計ることが出来て、この数値をみんなで競ったものです。このように、とあるゲームの流行が、3Dパソコンの普及に大きく貢献したわけです。
侍: 確かに。一般的に、ハードウェアの「開発」がソフトウェアに先行しますが、その「普及」はいわゆるキラーアプリケーションと言うか、エンドユーザーのニーズをかきたてるソフトウェアの存否に依存します。どんなに素晴らしい開発も普及しなければ意味がありませんから。
啓: というわけで、ずばり言って、VRMにはQUAKEの役目を果たしてもらいたいところです。これは、開発サイドにもユーザーサイドにも期待したいところですね。実際、「限界への挑戦」DirectX9チェッカーというものがありますし、F2キーを押すとfps値が表示されるというのは、QUAKEベンチを意識したものじゃないのかなぁと想像するところです。ユーザー側としても、VRMを通して、ビデオカードの自慢や評価する、なんてことが、もっとあってもいいと思うんですがね。現状では、CHOさんのところでやってられるくらいでしょうか。そういったハード関係についても、VRM4EG本が「キッカケ」となって盛り上がってもらえれば嬉しいところです。

● VRMは芸術である!

侍: ズバリ、啓明さんにとってVRMとは?
啓: 私にとってVRMは芸術なんですよ。音楽や絵画と同じ。そういう意味では、レイアウターは「絵筆」や「絵の具」ですね。つまり、3Dの絵を描いているわけです。VRMと絵画の関係は、はやぶささんのインタビューにあった通りです。思いっきり影響されていますよん。そして、どんな絵を描くかと言うと、これは、自分が想像……いや、「創造」した世界を具象化することに他ならないです。現実の鉄道を模写した場合も、そこには必ず作者の主観が入りますからね。この「自分独自の世界」を確立されているのが、しおじさんであり、Tatsuoさんですね。
侍: しおじさんもTatsuoさんも、レイアウト職人であると同時にアーティストであられる。
啓: 私なんかは、まだまだだなぁってところですわ。自分独自の街を作ろうと思っても完成した試しがありません。そこで、ミニレイアウトとかビネットを作って修行しているわけです。小さなカンバスに描いたスケッチ絵、それがVRMビネットの正体です。
侍: ではお約束ですが。そんな啓明さんが誉め殺したいネットVRMユーザーは?
啓: ここまでにお名前が登場した二大巨匠は改めて誉め殺させて頂くこともないかも〜ってことで、最近、注目させてもらっているのが、ころすけさんです。彼のblogにある「流通センター」などのショットは印象的でした。見た目以上のリアル感というか存在感が画面の奥からひしひしと湧いてくる迫力があります。彼は私の知らない「何か」を持っていますね。というわけで、コメットさんによろしく(゚-゚)ノ
侍: 私もころすけ師匠には、ただならぬモノを感じています。お身内にご不幸があったとのことで、しばし活動を休止しておられるようですが、また、破天荒な活躍を期待したいところです。本日はありがとうございました。また、VRM4EGプロジェクト完遂、お疲れ様でした。
啓: なにより、RADEONくんが頑張ってくれましたし(謎)。
侍: 啓明さんもお好きでんなー。

注)本稿はQ&A式のメールのやり取りを元に、対談風の記事にまとめたものです。かならずしもご協力いただいたネットVRMユーザーの発言そのままを反映しているわけではありません。文責はすべてghostにあります。
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2006/2/13

#20 VRMビネットの先駆者−啓明殿(前編)  VRMユーザー紳士録
本日はVRM4EG宣伝企画の一環として、執筆者最年長となるこの方をお招きしました。

VRM侍(以下侍): どうも、お疲れ様でした。
啓明氏(以下啓): 紳士録もついに最終回ですか、長い間ご苦労様でした……え? 違いました?
侍: ハイそこ、勝手に幕を引かないように。まずは、簡単な自己紹介からお願いできますか。
啓: ええっと、自己紹介は苦手なので、VRM4EG本の著者略歴を見てくださいませ。
侍: と、読者に購入を迫る(笑)。
啓: VRM歴はたかだか2年の初心者ですよん。購入したのはもう少し前だったと思いますが、本格的に始め出した頃には、VRM3第5号が既に出ていたかと。
侍: まぁ、長くやってればいいってものでもないですから。なんて言うと古参ユーザーの方に怒られるか。

● 総本山襲撃の顛末

侍: 何はさておきVRM4EGに関するお話から。今回の執筆は半年以上を費やす長期プロジェクトだったワケですが、特に何か印象に残っているエピソードはありますか。
啓: やはり茅ヶ崎襲撃(※)かも。交通費自腹の文字通り採算度外視の英断でした。交通費削減のため、私だけ別ルート、「ムーンライトながら」で朝4時半に東京入り。取材の時間まで撮り鉄しまくっていました。

※ 2005年の8月、VRM4EGに収録される「開発者インタビュー」の取材のために、啓明さん、しおじさん、ghostの3人で、神奈川県茅ヶ崎のI.MAGiC開発室にお邪魔しました。

侍: そう言えばそうでしたね。私としおじさんは素直に新幹線で日帰りしましたし。
啓: 私がカメラ片手に関西では見られない車両に一喜一憂していたのに比べて、同行のお二人は冷静でしたね。列車の写真を撮っている様子もなく、「こいつら茅ヶ崎まで何しに来たんだ?」って思ったもんです。
侍: そりゃ、こっちの台詞ですよ(笑)。しおじさんと「啓明さん、一番年上なのにタフだなー」って、驚き半分、呆れ半分で。それはさておき、実際に総本山に乗り込んでみて、いかがでしたか。
啓: ずばり言うと、技術力はあるが企画営業は弱いかなっと。
侍: 技術力に関しては素直に同意します。ただ、企画営業については意見が分かれるところかも知れませんね。むしろ私は技術力よりもそちらを高く評価したい気もします。まぁ、これは好みの問題かも知れません。
啓: どうですかね。技術という点ではPCハードの話をすると「ノリ」がよかったのは驚きました。
侍: あぁ、それは同感です。と言うか、何か「聞き手に飢えてました!!」みたいな感じで研究中のCGテクノロジーに関する話題がポンポン出て来たので、技術指向の強さを感じました。
啓: こちらが言い出さなくてもハードウェア関連記事を書くための評価用ビデオカードを貸して頂きましたし。とてもいい人です(笑)。
侍: ・・・現金な評価ですなぁ。
啓: 冗談はさておき。技術力というか、本当に鉄道やPCがお好きなんだな、それで、すごく勉強されているなぁ、って印象でした。インタビューに行った時、鉄道や3DCGの資料を見せてもらいましたが、普通の人は持っていないですよね、あんな分厚い本は。
侍: 「I.MAGiCの中の人」が「普通の人」だったら、困りますがな(笑)。

● VRMビネットというスタイル

侍: VRM4EGの内容とも関わってきますが、啓明さんは、しおじさん、Tatsuoさんと並んで、独自のVRMスタイルを確立しておられる巨頭のお一人であると認識していますし、読者の大半もこの見解には同意いただけると思っています。特に「VRMビネット」と称する、情景の作りこみに注力し、敢えて車輌走行を無視したスタイルの唱導者たらんとされている点を私は注目しているのですが、この点について。
啓: 製作時間が短くて数がこなせること、とくに、完成させるということに意義があると考えます。その達成感というか充実感が次へのステップになると思うんですよね。だから、大きなレイアウトを中途半端に作るのではなく、小さなものでいいから、数多く完成させるのが重要でしょう。
侍: 強く同意します。特に「大きなレイアウトを中途半端に作る」というのは、VRMへの入門期において、基本的な操作を幸いにしてマスター出来た方が陥りやすい落とし穴ですね。イメージは浮かんでも、実際に作るのは口で言うほど楽ではない。
啓: ビギナーの方には、難しいとか、分からないとかゴタゴタ言わずに、まずは、あまり欲張らずに、何か小さなレイアウトを作ってみることをお奨めします。
侍: こうして「エキスパートガイド」なんて偉そうに書いている我々も、実のところ、それを地道に繰り返してここまでのスキルとノウハウを手にした、というのが、紛れもない事実ですから。
啓: 同時に、VRMビネットは、ビギナーだけじゃなくエキスパートユーザーにも効用があるかも、と思っています。
侍: と、おっしゃいますと?
啓: エキスパートといっても何ヶ月もVRMに触れないでいると、腕が鈍るのは確かだと思うんですよ。そこでビネットです。仕事で忙しくても、1ヶ月に1個くらいのペースで小さなレイアウトを作るのです。1ヶ月に1個といっても、そのうちの週末1回でビネットなら完成できます。というわけで、エキスパートユーザーの老化防止にもビネットは最適です。
侍: なるほど。ある意味、これはVRMならではかも知れません。リアル鉄道模型で同じことをしたら足の踏み場がなくなりますし、妻帯者だと下手をすれば奥さんに家から叩き出されますから(笑)。

後編へ続く】
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