なんだかとても気持ちいい。磨き終わったあとはできれば吹きたくない。神々しいばかりの輝き、凜としたスライド、なまめかしい曲線を描くベル…なんと美しい楽器だろう。
しかし、かつてはこの最高の芸術品を乱雑に扱い、振り回すだけの自分がいた。派手なアクションに重きを置き、故障すれば応急処置のみ。派手に動けばお客さんは喜ぶ、それでいい。そう思っていた。
実は最近、少しばかり高額だったかトロンボーンのある部分を付け替えた。厳密に説明すれば、チューニングのための抜差管。スライドとは対極部分にある、あまり故障をしないパーツである。
しかし、ここを交換してその痛々しさに改めて気付いた。凹み方が常軌を逸している。それでも無理強いして使い続けるわけだから、ピッチやスライディングなどに不具合が生じても不思議ではない。
パーツを交換してからは多少の不具合は解消されたが、トロンボーンの生命線とも言えるスライドの不具合は直っていない。スライドとは関係のないパーツだから、当たり前といえば当たり前だが。
近々、オーバーホールしようと思う。悟空と活源のファーストアクトが近づいているが、今後の悟空、そして相方の活源、さらには聞いてくれる人達のためにも、あの芸術品をよりクオリティーの高い芸術品にしようと思う。もちろんトロンボーンだけでなく、俺も。

0