2008/8/5

月イチ図書館・音楽と団地  

暑すぎて移動図書館のバスの中に入ってられません。
本が生ものやったら腐ってるとこやったわ。

『佳人の奇遇』島田雅彦 講談社
サントリー・ホールで上演されるオペラに集まる人々。それぞれのドラマ。
女ったらしのマエストロ、ノイローゼのテノール歌手、
ホームレス一歩手前の元会社員、妻を亡くした元新聞記者、等等。
オペラはもちろん音楽には全く縁のない生活をしてる身には、
さぞや華やかな世界なんやろうと想像するばかり。

『白の協奏曲』山田正紀 双葉社
資金難のため詐欺を働く楽団員たちにもちかけられた東京ジャック計画。
怪しげな美女、影の実力者、警察幹部やらが入り乱れ・・・。彼らの目的は?
30年前の作品。IT機器が全く登場しない分、却って時代を感じさせない。
最近でもドラマや映画に似たような話があったかなぁ。
日本の警察組織が進化してないってことなのね。

『イニシエーション・ラブ』乾くるみ 原書房
大学生の「鈴木君」と歯科衛生士「マユちゃん」の微笑ましい恋愛物語、
じゃなかった。表紙に「ミステリー」って書いてあるもの。
前編がA面、後編がB面と名づけられ、各章には懐かしいJポップのタイトルが。
CD育ちにはピンとこないだろうが、昔のカセットテープで録音した曲は
何度も続けて聞いているうちに、どちらがA面でB面なのか分からなくなってくる。
まるでオートリバースでカシャッと回転方向が入れ替わる瞬間のように、
最後の最後の1ページで愕然とさせられる。
おぉっ!こいつは確かにミステリーだ。女って怖いよ。

『みなさん、さようなら』久保寺健彦 幻冬社
小学校の卒業式で起きた事件が原因で団地の敷地内から出られなくなった悟。
元級友たちを守るため団地内を自主的にパトロールする。
団地と言っても1棟に約100戸入る建物が19棟の巨大な空間。
医院も図書館もお店もある。恋も仕事も友情も。
PTSD、トラウマなどと言葉にするのは容易いけれど、
彼が団地から一歩踏み出すのに17年の時間と経験が必要だった。

『聖者は口を閉ざす』リチャード・プライス 文芸春秋
レイ・ミッチェル、白人、男性、43歳。元、高校教師・タクシードライバー・脚本家。
離婚して妻・娘とは別に暮らす彼がニュージャージー州の生まれ故郷に戻ってきた。
そこは黒人とヒスパニックが多数を占める貧困層の住む団地。
高校で創作活動のボランティアを始めたレイが、何者かに殴打され瀕死の重症を負う。
幼馴染の刑事ネリーズが調査を始めるが、レイは犯人について何も語ろうとしない・・・。
格差の解消には教育が大切。でも適切な教育を受けるにはお金がかかると言う矛盾。
レイの行いは正しいことなのか。根本的な解決にはならないのでは。
「大人は子供にどうあるべきか示さなければならない」と語るネリーズの方が説得力がある。
冒頭に「右手で善き行いをするときは左手にさえ知られないようにそっと行いなさい」との
聖書の言葉が引用されている。(昔『左手に告げるなかれ』って小説があったな)

『オール』山田悠介 角川書店
仕事に飽きてアパレル会社を退職した荻原健太郎。
母親にも恋人にも内緒でフリーターで食いつないでいたが、
「難民」直前で「何でも屋」に就職。
犬の散歩、ごみ屋敷の掃除、暴力団の運び屋、年寄りの機嫌取り。
やがて彼は自分の仕事に誇りを持つようになってゆく。
どんな仕事でも(辞めちゃった会社でさえ)その気になれば
働く喜びは得られるはずなんだけど。若者には無理なんかしら。
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