2009/4/16

『傍聞き』  

『傍聞き』長岡弘樹 双葉社
表題作他、「迷い箱」「899」「迷走」、全4編を収録。
どれもが一悶着ありそうな設定なのに、人間に信頼を回復する結末。

「迷い箱」とは・・・捨てるかどうか迷ったものを入れておく箱。
一週間毎日眺めて過ごし本当に必要かどうか判断する。
刑期を終えた人物を社会復帰させるための更生施設長の保護司の女性が主役。
彼女のつてで就職を果たした男が夕方になると姿を消す。自殺?禁酒を破った?

「899」とは・・・ある消防署内で使われている「要救助者」の符丁。
近隣に住むシングルマザーに恋した消防士が主役。
彼女のアパートが火災に巻き込まれ、駆けつけた彼女は
部屋に赤ん坊がいると消防隊に知らせるが、どこにも見つからない?

「傍聞き(かたえぎき)」とは・・・ある情報を本来聞かせたい相手ではなく、
第三者に語っている場面を漏れ聞かせることで信用させる方法。
強行犯係で反抗期の娘を育てる女性刑事が主役。
自宅近くで起こった事件が以前逮捕した犯人の報復ではないかと怯える。

「迷走」とは・・・そのまんまです。ぐるぐる走ります。
娘が交通事故に合い車椅子生活になった救命士。彼女の婚約者もまた救命士。
2人が乗った救急車が搬送するのは、その交通事故を不起訴処分にした検事。
どの病院も受け入れを拒否。加害者だった外科医に連絡を取るが・・・。


普段私が好んで読む本や映画は誰かが死んで、
犯人や周囲の人たちが心理的に追い込まれる系のものが多い。
素直に「人間ってなかなかええやん」みたいなのは珍しい。
性格曲がってましたかね。たまにはこういうのもいいかも。
目の前のガラスの曇りが取れて、開けた窓から心の中に漂っていた
黒いモヤモヤが流れ出て行くような感覚(すぐにまた曇るんだけど)。
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タグ: 長岡弘樹



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